【子どもの熱中症対策】とまらぬ猛暑!子ども目線で「暑さ」を検証
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セコムの舟生です。
先週末から、全国的に多くの地域で猛暑日となる猛烈な暑さが続いています。
平年を大幅に上回る気温が各地で記録され、暑さの影響から局地的に突然激しい雷雨や突風に見舞われるなど、戸惑うほど、極端な天候となっています。気象庁によれば、ふたつの高気圧が日本列島上空を覆っていることが原因で、今週いっぱい7月13日(土)ぐらいまでは「猛暑」を覚悟したほうが良さそうです。
大人よりも気温の変化に敏感な子どもたちは、今の暑さをどのように感じているのでしょうか。
その過酷さを保護者のみなさまに少しでも感じていただくべく、7月8日(月)に屋外で検証してきました。
今回は緊急記事として、その結果をご報告します
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▼ 子どもの顔の高さで50℃を超える暑さ!子どもは顔の位置が低いので、地面から照り返しの影響を受けやすいと言われています。
実際のところ、子どもはどのくらいの温度にさらされているのでしょうか。検証を行ったのは、7月8日(月)午後1時から2時、天候は晴れ。
場所は東京都渋谷区にあるセコム本社付近のアスファルト道路上です。
気象庁の発表によると、この日の東京都心の気温は午後1時の時点で34.9℃でした。炎天下に立つと、ジリジリと照りつける日差しもさることながら、アスファルトから立ちのぼってくる熱がすさまじく、長くいたら本当に熱中症になってしまいそうです。
さっそく温度を測ってみました。<日なた>
地面の温度:57℃
ベビーカー(人形の頭の位置):50℃
地表から120cmの位置:41℃上のデータは、午後1時にベビーカーを路上に置いてから15~20分経過後の測定でしたが、驚くほど高い温度が計測されました。
アスファルトの上では、太陽の照り返しも強烈なので、気温も非常に高くなります。アスファルトに近づくにつれ、温度は高まると予想していましたが、その通り、小学1~2年生の身長を想定した120cmの高さの温度より、地面により近いベビーカー内の温度のほうが高く、その差はおよそ10℃にもなりました。
<日陰>
地面の温度:38℃
ベビーカー(人形の頭の位置):36℃
地表から120cmの位置:35℃上の日陰のデータは、やはり移動して15~20分経過後のものですが、建物の陰に入るだけで、ずいぶん気温が下がるものですね。
日陰ではアスファルトからの照り返しがないせいか、ベビーカーと120cmの高さの温度も、それほど差がありませんでした。
ちなみに、木立の中で気温を測ってみると34℃。
ちょうど日盛りの時間帯でしたが、爽やかに感じるほど暑さが和らいで、体感温度としてはもっと低く感じられました。子どもの遊び場所としては、アスファルトやコンクリートよりも土や芝生のほうが快適なのは明らかです。熱中症予防を意識するなら、立っている地面にもぜひ目を向けてみてください。
▼ 黒いものほど熱が集まるこの日の検証によれば、日なたに置いたベビーカー内の気温は50℃。
熱画像カメラを通してみると、特に人形の頭の部分に熱が集まっていることがおわかりいただけると思います。
髪の毛のように黒っぽい色は、光を集めて熱を多く吸収するため、温度も高くなります。
反対に、白っぽい色は光を反射するため、熱も跳ね返してくれるのです。
熱中症対策に帽子が必要なのは言うまでもありませんが、帽子だけではなく衣服も含めて、身につけるものの「色」にも注意が必要です。
ベビーカーの赤ちゃんが直射日光にさらされないよう、日よけのほろを下げたり、紫外線対策用のカバーをかけたりすることがあると思いますが、黒っぽい色のものだと、紫外線をカットすることはできても、熱は吸収してしまいますので、通気や冷却の対策についても考えてあげてくださいね。
▼ 自動車内では移動中も子どもの様子に注意を
今回の検証では、自動車を用意して、エアコンを切って15~20分経過後の車内の温度も計測してみました。日なたに駐車させた車のダッシュボードの温度は46℃。
座席に人形を座らせて頭の位置で計測したところ、47℃でした。このような環境に置かれたら、子どもの場合、命に関わることも考えられますね。
たとえエアコンがついていても、日差しがあたっていたり、空気の循環が悪かったりすると、熱中症を引き起こすことがあります。短い時間でも、子どもは車内に残さないことが絶対です。
運転中も、後部座席にいるお子さんには十分注意してください。急におとなしくなったときなどは、「もしかしたら...」と疑ってみたほうがいいと思います。
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気象庁から発表される気温は、風通しや日当たりの良い場所で、芝生の上1.5mの位置で観測しています。直射日光には当てず、外気を取り入れて測った温度です。一方、私たちが計測場所に選んだのは、「アスファルト」「直射日光」という環境でした。
日常生活において、芝生よりアスファルトを歩くほうが多い人は、想像以上の高温下で活動していて、子どもの場合はより厳しい暑さにさらされているということをおわかりいただけたのではないでしょうか。
たとえ大人には乗り越えられる暑さだとしても、子どもにとっては非常に過酷な環境かもしれません。汗は出ているか、顔色は悪くないか、水分は足りているか...などなど、こまめに様子を見てあげてください。
特に屋外での活動は、休息をたくさん挟みながら、体を定期的にクールダウンさせることが重要です。もちろん水分補給もお忘れなく。水分補給は、量より頻度です。
今回の測定結果からもおわかりいただけるように、猛暑の中では、幼児や小学校低学年のお子さんは、不要不急の外出は避け、炎天下の路上には出ないようにしたいものです。
細心の注意をはらって、この夏最初の「猛暑」を乗り切りましょう。
2013.07.12