AEDは子供に使っても大丈夫?
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セコムの舟生です。
みなさんはAEDをご存じですか? 最近では空港や駅、市役所、図書館、学校などの公共施設に数多く設置されています。街で見かけたことのある方も多いことでしょう。
AED(Automated External Defibrillator:自動体外式除細動器)とは、心室細動により、心筋の動きがバラバラになり、心臓のポンプ機能が失われた状態に陥った際に、心臓に電気ショックを与えることで、正常な状態に戻す医療機器です。
ところで、AEDって子供に使っても問題ないのでしょうか?そのあたりも含めて、AEDについて基本的なことを知っておきましょう。
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心室細動とはあまり聞きなれない言葉ですが、心臓突然死の主な原因であり、日本では病院外で年間2万~3万人の方々が心臓突然死によって命を落とすと言われています。また、心室細動は発生から1分経過するごとに救命率が7~10%下がるといわれ、早急な救命活動が生死を分けます。心室細動を起こした心臓を正常な状態に戻すには、心臓に強い電気ショックを与えて心筋のバラバラな動きを一定の秩序あるリズムに戻す、電気的除細動が最も効果的だといわれています。この電気的除細動を自動的に行う医療機器がAEDです。
◇ AEDは一般市民でも使えます
2004年7月から、AEDは医療従事者ではない一般市民でも使用できるようになりました。操作は音声ガイダンスに従って、電極パッドを傷病者の胸部へ張り付け、電気ショックのボタンを押すだけです。電気ショックを与えるか否かの判断はAEDが行うので安心です。救急車が到着する前に傷病者の近くにいる私たち市民が、AEDを使用して電気ショックをできるだけ早く行うこと。これが傷病者を救う鍵になるのです。心肺蘇生の手順などを記した国際ガイドラインの中では、AEDは救急蘇生の一連の手順に含まれています。
◇ AEDは子供に使っても大丈夫?
子供は胸郭が未発達なので、胸部に比較的弱い衝撃を受けただけで心室細動に陥ることがあり、これを心臓震盪といいます。心臓震盪に備えて、スポーツを行う団体、自治体、子供会などにもAEDの普及が進んでいます。以前、「体の大きさが違う大人と子供が同じAEDを使っても大丈夫なの?」という質問を受けたことがあります。AEDは電極パッドを体に貼り付けて電気ショックを流します。電極パッドには成人用電極パッドと小児用電極パッドがあります。1歳以上8歳未満(体重25kg未満)の小児には、「小児用電極パッド」を使用します。ただし、小児用電極パッドが無い場合や、年齢や体重が分からない場合は、躊躇(ちゅうちょ)せずに、速やかに成人用の電極パッドを使用します。確認に手間取り、救急蘇生法の開始が遅れたり、AEDの使用が遅れたりすることがないよう、心に留めておいてください。
セコムのAEDは、3ステップで電気ショックまで完了します。音声ガイダンスに従い操作するので手順はいたって簡単です。使用方法をビデオで紹介していますので、ぜひ、ご覧になってみてください。
◇ 大切な人の命を救うため「救命講習を受けよう!」
救急車到着まで傷病者のそばに居合わせた人が速やかに行えば、救命効果は向上します。緊急事態で適切な処置ができるようになるためには、応急手当について知識と技術を身に付けておく必要があります。例えば、成人に対して心臓マッサージを行う場合、両手で使って、乳首と乳首の間の胸骨を圧迫しますが、小児の場合は負担が掛かりすぎる恐れがあるため、片手で圧迫します。乳児の場合は、指2本で圧迫してください。
このように、小児や乳児を対象とする場合は心肺蘇生法のやり方が成人と異なる点がいくつかあるので、消防機関や病院などが実施している「救命講習」を一度受けておくことをおすすめします。
2008.04.30