インターネットをめぐる子供のトラブルについて
~インターネット協会大久保さんとの対談 後編~
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セコムの舟生です。
前回は、初めてお子さんが携帯電話やパソコンでインターネットを使用するときの注意点についてお伝えしました。
今回も、財団法人インターネット協会主幹研究員 大久保 貴世さんのインタビューをお伝えします。最近のインターネット事件や相談事例から、子供がインターネットトラブルに巻き込まれたときの対処法などについてお聞きしました。
好奇心旺盛で知識の吸収が早い子供たちは、インターネットや携帯電話の使い方もどんどん身につけていきます。保護者もインターネットの知識を身につけていくよう努力しましょう。
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■ 将来、社会に入ってからインターネットを使う機会は必ずある 大久保さん:子供たちにとってインターネットは、社会に入ってから必ず使うものですし、絶対になくならないものです。だからこそ、失敗しながらでもインターネットの正しい使い方を覚え、上手に活用し、役立ててもらいたいと願っています。舟生:これだけインターネットが「危ない」と騒がれているなかで、保護者たちも「何が危ないかは漠然としているけれど、危ないんだな」という意識があって、「危ないならやめさせよう」という感じになっていると思うんです。それに、子供は知識の吸収も行動も早いですから、親がついていけないご家庭も少なくないようです。
大久保さん:子供は動作が早くて、入力するときも、次々と進んでしまう傾向があります。その場でワンクリック請求に引っかかって、「会費3万9800円をすぐに振り込んでください」といった請求書がきて初めて親がトラブルを知ることもあれば、何カ月も経ってから「君のこと、知っているよ」といった、変なメールが届くといった気味の悪いこともインターネットの世界では起こります。
舟生:インターネット自体はずいぶん前からありますが、「子供がインターネットを使う危険」が表面化して、大きく問題視されるようになってきたのはいつ頃からでしょうか?
大久保さん:インターネットホットライン連絡協議会に寄せられる相談は、2005年まではほとんどが大人からの相談でした。子供の相談が目立って増えたのは2007年からですので、その頃かと思います。
■ 実際に起こっているインターネット事件や相談事例
舟生:相談の中身はどういった内容が多いですか?大久保さん:最近の相談事例では
・「約1年前に、ネットで知り合った人に心理を巧妙に操られて個人情報や写真を送ってしまい、それが今でもネットに出回っている。対策を教えてほしい」
・「学校裏サイト内に自分の情報が載り、学校で噂が広まって通学するのが嫌になった」
・「掲示板で知り合った男の人に本名・電話番号・メールアドレス・学校名を教えてしまったところ『エッチな写真を送らないと学校に連絡してイタズラするぞ』といわれ、要求を断ったら、実行すると言われてしまった」
などがありました。また、「なりすまし」といって、プロフの個人情報を使って、別人になりすまし、いじめや詐欺などの犯罪に利用されるといったケースもあります。
舟生:例えば、「君の写真を送ってくれないと、学校に連絡してイタズラするぞ」と言われたら、子供は驚いてしまいますね。学校にはバレたくないので送ってしまう、なんてことにもなりかねません。このようなときにはどう対処するのが望ましいでしょうか?
大久保さん:「学校に連絡するぞ」などと脅されても、絶対に写真を送ってはいけません。送ってしまった場合、ずっとインターネット上で個人情報と一緒に写真がさらされる可能性があり、とても危険です。
舟生:いろいろな脅し文句が使われることを想定して、子供にいい聞かせる必要がありますね。では、万が一、掲示板、プロフ、学校裏サイトなどで、誹謗中傷を受けた場合にはどのような対処の方法がありますか。
大久保さん:書き込みに対処する方法には、「書き込みを消してもらう」・「無視をする」・「犯罪ならば警察へ通報する」・「発信者を教えてもらう」といった方法があります。自分の身に危険が迫っているような書き込みは警察へ通報するべきです。また、書き込み者については教えてもらえる場合と教えてもらえない場合がありますが、悪質な発信者については追跡して特定することもできます。
舟生:「無視をする」というのも対処方法の一つなのですね。
大久保さん:場合によっては、無視するのは有効な手段です。書き込みを消してもらうことはできますが、消すことが逆効果になることもあります。もちろん、悪いのは書き込みをした人ですが、反発すると余計に書き込みがエスカレートする傾向があります。また、書き込みが消されるとまた別のサイトに書かれてしまう可能性もあります。こちらが無視していると、書いた相手は次第に飽きてきます。インターネットの世界では、書き込みを無視する勇気もときに必要です。ただし、住所や電話番号など個人情報が掲載されている場合、その部分は消してもらったほうがいいですし、先ほども述べたように、身の危険が迫っているような書き込みは警察へ早く通報すべきです。
舟生:インターネットは匿名性が高いので、どうしても書き込みがエスカレートする傾向がありますね。
大久保さん:覚えておいていただきたい知識は、インターネットでは匿名でも、だれが発信したのかは特定ができるということです。悪いことをすれば、プロバイダーに協力してもらい、発信者を追跡することができます。ただし、悪いことをしていないのなら、「IPアドレス」や「携帯番号」で個人情報(住所など)が分かることはありません。
■ もし、子供から相談されたらどうすればいいか
舟生:もしも、お子さんからインターネットのトラブルについて相談を受けた場合、保護者はどのように対応するのが望ましいでしょうか?大久保さん:わたしが7年間相談を受けていて心がけていることがあります。まずは、お子さんの話をよく聞いてあげてください。自分の悩みを打ち明ける相手がいるだけで、悩みは半分以上解決します。親としては、ついお説教をしたくなってしまうでしょうが、お説教ではなく、そっと語りかけるようにアドバイスをしてあげてほしいのです。つい「だから注意しなさいって言ったじゃない!」と言ってしまいがちですが、ひょっとしたら、お子さんは悪い人に巧みに誘導されてしまったのかもしれません。インターネットを使っていると思いがけないことがあるからです。ただ、もし自分のお子さんが加害者になってしまった場合は、きちんと、ただし簡潔に叱る必要があります。そうすれば今後何かあっても、次も親に相談しようという気持ちになることでしょう。インターネットは将来ずっと使っていくものなので、インターネットは悪者だと思ってほしくないですから。インターネットでイヤな思いをすると、イヤなことはしないと思うようになり、インターネット上でも責任のある言動、やさしい振る舞いができるようになるのです。
舟生:お子さんから相談を受けて保護者の方も迷ってしまったら、専門の窓口に相談するといいですね。
大久保さん:さまざまな機関でインターネットに関する相談を受け付けています。困ったときにはぜひ相談をしてください。
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子供をひとりで悩ませない。困ったら親に相談することを約束させる。これがポイントのようです。そのためには、日頃から何でも話せるような親子関係を築いておくことが大切だとあらためて感じました。今の時代、パソコンやインターネットが私たちの生活をとても便利にしています。その一方、インターネットを子供が使った場合の危険性を知っていて、子供に教えてあげることができる保護者は意外と少ないのではないでしょうか。
インターネットの世界にもルールやマナーがあります。大久保さんが所属するインターネットホットライン連絡協議会のホームページから小冊子『ちょっと待って!はじめてのケータイ』『ちょっと待って!ケータイ』が閲覧、印刷できます。これらの小冊子は携帯電話の必要性やどのような機能が必要なのかチェックシートで描くなど、親子で話し合いやすいよう工夫されています。親子で読んで、各ご家庭でオリジナル・ルールを考えてみてはいかがでしょうか?
★ インターネットトラブルの相談サイト
・インターネットホットライン連絡協議会
・全国web カウンセリング協議会
・法務省 インターネット人権相談受付窓口
~ お知らせ ~
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2009.05.13