中国のセキュリティ事情
悠久の歴史と文化
経済の中心都市である上海市は驚くほどの高層ビルの数で、20階以上のビルの数は日本全国の高層ビルの数を超えているそうです。未だに建設中のビルも多く、街の様相は日々変化している街でもあります。
上海市の常住人口は2,400万人超、長期滞在の日本人は4万人を超えており、旅行者や出張者を合わせるとおよそ10万人が滞在しています。(2017年時点)
中国では約960万平方キロメートルという広大な土地に、50を超える少数民族が暮らしています。方言が無数にあり、方言が違うと全く理解できないほどの別言語です。
そして、各所に魅力的な観光地が数多く存在しています。例えば桂林には綺麗な山水風景があり、お札の背景となっているスポットがあります。そこでは、皆が船上でお札を持ちながら自画像を取り、SNSに投稿するのが通例です。また黄山では、山頂から日常の煩悩を忘れ去る絶景が広がります。
上海料理は「甘い」、四川料理は「辛い」というように、各地で豊富な食材を使用したバリエーション豊かな食べ物があります。舌の肥えた人でも、中国の食文化に触れるとその奥深さに感銘し舌鼓を打つでしょう。
革新し続ける巨人
中国の総人口は約14億人、漢民族と55の少数民族がいます。改革開放政策以降、目覚ましい経済発展を遂げてきました。外資企業も数多く進出し、日本企業の中国進出数は2019年で約1万4千社となっています。
最近では商取引の爆発的な広がりと、それに付随した中国ベンチャー企業が数多く起業され経済を牽引していることが特徴です。現在ではあらゆる取引において現金ではなくスマートフォン等を利用した電子決済でなされます。毎年11月11日は「双十一(独身の日)」と呼ばれ、当日限定特価イベントの効果もあり毎年取引額が増え続けています。2018年は1日で約3.5兆円が取引されました。日本製品はその品質の良さから人気が高く、多くの企業が数多くの日本製品を販売しています。また、「シェアサイクル」や「外売(ワイマイ)」などの商取引をベースとした新ビジネスが多く生まれています。
一方で、従来の製造業においては「開発区」や「特区」などで手を緩めることなく誘致活動を展開しています。このように新旧形態が混在し、高い経済成長率が維持されています。
中国の治安と犯罪傾向
都市の近代化に伴い、中国における凶悪犯罪の発生件数は減少してきましたが、窃盗、置き引き、スリ、詐欺などの犯罪は依然として多いのが現実です。その数は、身近に被害経験をした人間がどれだけいるかでも分かりますが、それは日本とは比較にならないほどです。
これは近年、貧富の格差の問題、農村と都市市民の格差の問題、急激な物価の高騰などから、社会不安が高まっていることも一因と考えられます。北京には全国からお金持ちが集まり、高級マンション、別荘、贅沢品などがあふれていますが、一方で職を求めて各地から流入する労働者が後を絶たず、外地からの労働者や失業者、老人世帯などは、苦しい生活にあえいでいることも多いのです。この傾向は、政府も一朝一夕に解決できない社会問題として、年々顕著になりつつあります。
中国の特徴的なセキュリティ事情の一つにマンション管理が挙げられます。日本では、マンションの敷地は植木等の公開空地はありこそすれ、外部と完全に区切られることはほとんどありません(部外者が建物内に簡単に侵入できないことはもちろんです)。一方、中国ではマンションなどの敷地自体が壁(有刺鉄線やセンサー付きがほとんど)で区切られていることが一般的であり、いくつかあるゲートに「物業」と呼ばれるスタッフが24時間体制で管理しています。車、人の出入りをチェックしてくれるので部外者は入りにくい環境です。最近では「外売(ワイマイ)」と呼ばれるフードデリバリーが頻繁に出入りするので、その管理だけでも大変な業務になるものと考えられます。
中国でのセコムの取り組み
セコムグループの中国での事業は1992年の北京市を皮切りに、上海、北京など沿岸部の主要都市でセキュリティ事業を開始。その後、成都や西安など内陸部の都市にも進出し、現在は13社が25都市に拠点を持ち、中国最大のセキュリティネットワークを築いています。また、上海には機器の製造拠点を開設し、その供給を通じて、中国各地のお客さまの多様なご要望にお応えしています。
日本と同様、オンライン・セキュリティシステムを始め、監視カメラや出入管理システム、屋外のボーダー型センサー、機械化・省人化など各種商品によるセキュリティの総合的な提案を行っています。
日系企業だけではなく、内資企業の契約実績も多く、地域に信頼されるセキュリティ会社として毎年成長を続けています。
執筆日:2020年2月末