高齢者に必要な防災対策と災害時の対処方法|見守り(みまもり)・防犯対策・ホームセキュリティのセコム

高齢者に必要な防災対策と災害時の対処方法

日本では毎年のように、大きな地震や大雨や台風などによる洪水や土砂災害、高潮などが発生し、多くの被害がでています。大きな自然災害が発生すると避難が必要になり、在宅介護のご家庭にとっては、とても大変なことです。

特に、認知症の症状がある方は、環境の変化やストレスに敏感なため、ご自宅以外の場所で避難生活を送ることになると落ち着かない状態が続いたり、症状が悪化してしまったりすることも考えられます。
認知症の方との避難は、介護するご家族にとっても負担は大きくなります。

ご自宅以外の場所で避難生活をおくることになったとき、どうしたら認知症の方が落ち着いて過ごしてもらえるのでしょうか。在宅介護における災害への備えのひとつとして、高齢者や認知症の方との過ごし方について考えてみたいと思います。

高齢者が災害に備えておきたいものとは?

自然災害は、いつどこで発生するか分かりません。
皆さまのご家庭でも、自然災害に備えて「非常持ち出し袋」をご用意されていることと思います。ただ、ご高齢者や介護が必要な方は、災害に備えて準備しておくべきものが増えてきます。どのようなものが必要になるか、セコムの介護応援コンテンツ「あんしん介護のススメ」のモデレーターであるセコム医療システムの武石が、以下のように解説しています。

在宅介護のご家庭で準備しておきたい備蓄品

要介護状態の方がいるご家庭でも、災害対策の考え方は基本的に同じです。
ライフラインが止まったときのことを考えて、3日~1週間程度は自力で生活できるよう、備蓄品などを準備しておくのが基本です。

まずは「ないと困るもの」「あったら便利なもの」をリスト化してみましょう。
在宅介護のご家庭の場合は、おむつなどの衛生用品、介護食などを多めに用意しておくと安心です。

災害時に支給される食べ物は、おにぎりやパンなどが多く、嚥下(えんげ)機能が衰えている方の場合は誤嚥(ごえん)性肺炎が心配。普段食べ慣れているものを、十分に用意してくことが重要です。お水やお茶は、在宅介護の時と同様に簡単にとろみをつけられるよう「とろみ剤」を準備しておくことも大切ですね。

また、おむつは吸収力が高いので、汚れそうなところに敷いたり、水を使う処置のときに下に敷いたりして使うこともできます。
ビニール袋を入れたダンボールの中に敷くと、簡易トイレとしても使え、後始末も簡単です。
避難所などのトイレが使いにくいこともありますので、普段はあまりおむつを使用しない方でも、多めに準備しておくと使い勝手が良いと思います。

災害に備えた「薬」の準備は?

介護状態の方は、慢性疾患などで複数の薬を飲んでいることも多いもの。
災害の被害状況にもよりますが、薬がなかなか手に入らないことも考えられます。

血圧や血糖をコントロールする薬や、けいれん止めなど、疾患によっては絶対に途切れさせてはいけない薬もあります。ご本人の身体の状態によって、必要不可欠な薬は異なりますので、いま飲んでいる薬がどういうものなのかをご家族が把握しておくことも重要です。

かかりつけ医や薬剤師と相談して、どの薬をどれくらい準備しておけば良いかを聞き、災害に備えた量を確保しておくようにしてください。
また、「お薬手帳」は医療者が服薬履歴や健康状態を知るための情報がつまっています。

災害後はデジタルデータによる確認ができなくなることも考えられますが、お薬手帳があれば、避難先の薬局でも必要な薬を処方してもらうことができます。
避難時に「お薬手帳」を忘れずに持ち出せるよう、日ごろから大切に管理しましょう。

電源が必要な医療機器は「非常時」の確認を

電動の介護用ベッドやエアマット、人工呼吸器、たん吸引機、在宅酸素療法機器など、電源が必要な医療機器を使っている方は、停電したときの対応方法を確認しておくことも必要です。

どの機器にも、必ず非常時の使用法があります。
たとえば、電動の介護用ベッドなら、手動で操作する方法が取扱説明書に書かれているはずです。

人工呼吸器なら、予備のバッテリーも含めて、どれくらいの時間もつのかを知っておかなくてはなりません。電源がなくなったときのために手動で空気を送るアンビューバッグも備えられているので、こちらの使い方もきちんと覚えておく必要があるでしょう。

ご自身で調べるだけではなく、専門家に確認することをおすすめします。
福祉用具のレンタル元や、機器を製造している会社に、災害時にどんなことが起こり得るか、非常事態が起きたらどうすれば良いかを聞いておきましょう。

どれほど準備していても、災害時には平時では考えられないことが起こることがあります。
医療機器の取り扱い先、かかりつけ医や訪問看護師、ケアマネジャーなど、緊急連絡先をまとめてメモしておくこと。すぐにわかるところに貼っておけば、落ち着いて対応できると思います。

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災害時に認知症の方と安全に避難するには?

最後に、災害時に認知症の方と安全に避難する方法をお伝えします。

災害時に認知症を悪化させないためのコツ

デイサービスにいらっしゃる認知症のご利用者様でも、環境が変わったことで落ち着かなくなる方がよくいらっしゃいます。
けれども、こちらの対応や話し方ひとつで、驚くほど穏やかになることがあります。
認知症の方の不安を軽減する接し方のコツをまとめてみましょう。

笑顔を心がける

認知症の方には言葉がうまく通じないこともありますが、表情は伝わります。
怒ったりイライラしたりしている表情は、認知症の方を不安にさせますので、笑顔で接することを心がけてください。
認知症の方は「相手に受け入れられている」と感じると、安心して心が落ち着きます。

話しかけるときは、正面から顔を近づける

認知症の方は、知覚できる範囲が非常に狭いので、なるべくそばに行って、顔を近くまで寄せて話しかけましょう。
上から見下ろしたり、横や後ろから急に話しかけたりすると、恐怖感を与えます。
正面から、こちらが少し見上げるくらいの角度で接してみてください。

触れるときは「下から」

スキンシップは心を落ち着かせますが、触れ方にもコツがあります。
認知症の方に触れるときは、「下から」が基本。
手を取るときも、下からそっと優しく握ります。
体を支えるときなども、ご本人が認識できるところまで近づいて、下から腕を取るようにします。上から押さえつけたり、後ろから急に触れたりすることは、認知症の方にとって大変なストレスです。

否定的な言葉を言わない


記憶障害や見当識障害などで、現実とは違う発言をすることがあります。
たとえ間違っていても、「違うよ」「ダメだよ」といった否定的な言葉は避けましょう。
「そうだったの」「それじゃあ○○しようか」など、なるべく肯定的な言葉を返してあげると、穏やかさを取り戻すことができます。
会話を成立させようとするのではなく、感情のキャッチボールをするような気持ちで言葉を返してあげてください。

ゆっくり、穏やかな口調で話しかける

なるべくゆっくり、短い文章でわかりやすく話すのがコツです。
一度にたくさんのことを伝えたり、声を荒らげたりすると、混乱や不安が増します。
またイライラした気持ちや焦る気持ちは、言葉からも伝わります。
優しい気持ちで穏やかに話をすることを心がけてください。

認知症の方は、外見からはわからないことも多いので、周囲の方から理解を得ることも大切です。
事情を伝えて、認知症の方への接し方を説明しておくと良いかもしれません。
認知症を理解してくださる方が多いほど、不安やストレスの要因が減ることになるのです。

2020.02.19公開

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