ご高齢者のお風呂入浴時の注意点やサポートに便利なグッズのご紹介|見守り(みまもり)・防犯対策・ホームセキュリティのセコム

ご高齢者のお風呂入浴時の注意点やサポートに便利なグッズのご紹介

要介護者の方にとって「入浴」は、ハードルが高い生活動作のひとつ。リハビリにおいてはひとつの到達点としてもあげられています。ご家族にとっても負担が大きいので、苦労している方も多いのではないでしょうか。

今回は、入浴介助を少しでもラクに、安全にしていただくための便利グッズのご紹介と、冬場の入浴時に特に注意したい「ヒートショック」について、セコムの介護応援コンテンツ「あんしん介護のススメ」のモデレーターであるセコム医療システム株式会社の武石が解説していきます。

介護者の負担を軽減してくれるお役立ちグッズ

浴室は転倒のリスクが高い場所でもあります。スペースもせまく、支えやすい姿勢がとりにくいこともありますし、手が滑ってしまうことも考えられます。介助する方が力任せにがんばるだけでは、安全に入浴介助をするのは難しいものです。入浴用の介助グッズを取り入れて、便利に楽に介助していきましょう。

「シャワーチェア」
座位が安定している方はどのタイプでも使用できますが、座った姿勢が安定しない方は、背もたれや肘かけがあるタイプを使用すると安定します。

「バスボード」(渡し板)
立った姿勢で浴槽をまたぐのが難しい方は、浴槽をまたごうとして片足立ちになった際に転倒してしまうという危険があります。このような方には「バスボード」(渡し板)の利用がおすすめです。ボードの上に座ったままお尻をずらして、片足ずつ浴槽に入れていくので、立って浴槽をまたぐよりも安全性が高くなります。

「すのこ」
浴槽と床の段差を解消してくれます。

「バスリフト」「介助用ベルト」
立ち上がりなどの入浴動作をサポートするために利用します。

「滑り止めマット」
浴槽内で体を安定させるために敷きます。

安全に入浴するためにどんな介助グッズが最適なのかは、ご本人の身体の状態によって異なります。ケアマネジャーや理学療法士の方(リハビリの先生)などに相談してみましょう。

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入浴時に気をつけたい、滑りやすいポイント

お風呂で転倒しやすいのは、「滑りやすさ」によるところが大きいです。濡れているせいもありますが、石けんの泡で滑ってしまうことがよくあります。お風呂に入る前、シャワーチェアから立ち上がるとき、浴槽から出てくるときなど、移動する先に泡が残っていないか、必ずよく見てください。足元だけではなく、手すりや浴槽の縁など、つかまったり手をついたりする場所も同様です。

体を洗っているときもこまめに泡を洗い流すようにしましょう。体が泡でツルツルしていたら支えきれません。腕を片側洗ったら、まずシャワーで洗い流す、足を洗ったらシャワーでまた洗い流す...といった具合です。手のひらは支えるときに重要な部位なので、ご自身の手についた石けんは都度よく洗い流すようにしてくださいね。

都度、手についた石けんを洗い流すために、蛇口をひねったりシャワーでお湯を出して洗い流すよりも、洗い桶を常にきれいなお湯で満たしておき、それでご自身の手を洗って石けん分を落としておくことも大切な危険防止です。

また、浴室や浴槽のおそうじ不足も転倒の原因になることがあります。残り湯のぬめりで滑ってしまったり、排水口につまった髪の毛で水の流れが悪くなり足を取られてしまったりすることも考えられますので、こまめに掃除をしておきましょう。

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冬場は注意したいヒートショックとは

ヒートショックとは、短時間で急激な温度差にさらされることで、血管や心臓に負担がかかり、身体に悪影響を及ぼす現象です。冬場の浴室のように寒い場所では、熱を逃さないよう血管がぎゅっと縮むため、血圧が上昇。湯船に入って身体が温まると、血管が広がるため、血圧は下がります。短い時間のあいだに血圧が乱高下することで、身体にさまざまな異変が起きるのです。

たとえば、脳の血流が不足して意識がもうろうとしたり、失神したりすることもありますし、心臓が過剰な活動を強いられるため、動悸(どうき)がひどくなることもあります。
また、急激な血圧の変化で血管が詰まったり破けたりすることもあり、脳卒中や心筋梗塞などの疾患を引き起こすことも。最悪の場合は、「突然死」の原因になることもあるのです。

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ヒートショックを防ぐための対策とは

入浴時のヒートショックを防ぐには、以下のようなことに留意してください。

  • 《入浴の時間》気温が下がる前の午後の時間帯に入浴を済ませましょう
  • 《暖房の設置》浴室だけでなく、脱衣所に暖房を設置する。浴そうにフタをせずにお湯をためる、熱いシャワーを15分ほど流しておくなどの「お湯の蒸気」を利用して、浴室ドアを開けて脱衣所まで温めることも有効です。すぐに温める小型の電気ストーブもお勧めです。
  • 《浴そうの温度》熱すぎたり、長湯だったりすると心臓に負担がかかります。
  • 《飲酒・喫煙》入浴前のお酒、タバコは控えましょう。タバコは血管を縮める作用があり、血圧が上がってヒートショックのリスクが増します
  • 《かけ湯》手や足先など心臓から遠い部位からかけ湯(またはシャワー)をして、少しずつお湯の温度に慣らしてから入浴しましょう
  • 《お風呂上がり》身体が温まると血圧が下がり、脳への血流が追いつかず脳貧血の状態になることがあります。浴そうから急に立ち上がるとめまいを起こすので、一旦浴そうのふちに腰かけるなどして、ゆっくり立ち上がってください
  • 《血圧チェック》入浴前に血圧をはかり、いつもより高いときや低すぎるときは入浴を控えたり、いつもより入浴時間を短めにしたりして、無理をしないようにしましょう

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異変が起きたときの対処方法

ヒートショックによる症状は、人によって、またそのときの体調によってさまざまです。入浴中に意識を失った、気分が悪くなった...といったときは、お風呂から上げて、温かい部屋で身体を横にしましょう。血圧が下がって脳の血流が不足している状態ですので、軽症なら横になってしばらくすると回復するはずです。可能であれば、足の下に枕を入れるなどして頭の位置が低く(低頭位)なるようにすると、より効果的です。のぼせているように見えても、身体を急激に冷やすのはかえって危険です。今度は血圧が上がって、違う疾患を引き起こす可能性があります。水分補給をしながら、様子を見ましょう。

「胸(心臓)が痛い」「頭が痛くて吐き気がする」といったときは、心臓や脳に異変が起きている可能性があります。心臓の場合は、狭心症や急性心不全、脳の場合は脳出血や脳梗塞など、血流不全にともなう重大な疾患が考えられます。様子見をするのではなく、かかりつけ医や救急電話相談などに連絡をして、対応を確認してください。

毎日のお風呂を楽しみにしている方も多いと思いますが、介助中に浴室に一人残して不足品を取りにいったりしないよう、介助する方は全体の流れをイメージして必要な場所に必要なものを置くなど、事前の準備をおろそかにせず、入浴介助をしていきましょう。そうすることで、ゆったりとリラックスした入浴時間となると思います。

2019.12.25公開

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