認知症のご高齢者とのコミュニケーションのポイント~会話の際の注意点や話し方~|見守り(みまもり)・防犯対策・ホームセキュリティのセコム

認知症のご高齢者とのコミュニケーションのポイント~会話の際の注意点や話し方~

認知症を発症しているご高齢の方と会話するとき、場合によっては意思疎通がうまくいかず、もどかしい思いがつのることがあっても不思議ではありません。

そこで今回は、セコムの介護応援コンテンツ「あんしん介護のススメ」のモデレーター武石による「認知症の方とのコミュニケーション方法」をご紹介していきます。認知症の方への言葉掛けや、どのような接し方が良いのか、などと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

認知症の方との「コミュニケーション」のポイント

認知症の方とのコミュニケーションは、相手の言葉をどう受け止めれば良いかがわかると、少しラクになります。

「言葉」ではなく「感情」に話しかける

認知症の方の介護にあたっていると、「何を言いたいのかわからない」ということがあります。伝える言葉が見つからず、考えていることも混乱しているので、話が意味をなさないことも多いのです。

そのようなときは、言葉ではなく、「感情」を受け止めるようにしてみてください。
言葉の中に答えを探すのではなく、言葉が発せられる元となる「感情」を読むのがコツです。

たとえば、介護するご家族に対して(お母様ではないのに)「お母さん」と呼びかける方がいらっしゃいます。普通に答えれば「私はお母さんじゃないよ」となりますが、それでは会話を遮断してしまうことになります。

そんな時は、どのような思いで「お母さん」と呼びかけたのかを考えてみましょう。
寂しいのか、お腹がすいているのか、それとも本当に母親を探しているのか...。
それによって、返すべき言葉も違ってきます。

「どうしたの、寂しいの?」「ここにいるから大丈夫だよ」と言ってあげるだけで、落ち着くこともあります。「お腹がすいたの?」とにっこりおやつを渡すことが正解かもしれません。

言葉にとらわれず「感情」を受け止めて、安心させてあげる言葉を返すのが大切です。「違うよ」「そうじゃないよ」という否定の言葉は、認知症の方にはなるべく使わないようにしてくださいね。

会話として成立しなくても、ご本人の気持ちをくんでいるうちに、何となく言いたいことがわかるようになったらこちらのものです。そこは推理ゲームです。

言葉ではなく、「感情」のキャッチボールができるようになるといいですね。あせらず、のんびり会話を楽しむ気持ちで向き合ってみましょう。

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認知症の「怒り」の本質はどこにあるのか

被害妄想(もうそう:現実的でない内容に、確信をもってしまうこと)や怒りの感情がまさった言動は、認知症の症状のひとつです。
「認知症だから仕方がない」とわかっていても、理不尽さに介護する方の気持ちが追いついていかないこともあるでしょう。

私も以前、いつも怒ってばかりいる認知症の方と接したことがあります。
なぜ怒っているのかを知るために、感情を理解しようとしたところ、負の感情の奥には「ご家族に関係するつらい過去」が秘められていることが分かりました。
ご本人がずっと抱えていた後悔の念やご自身に対する怒りが、認知症になったときに押さえきれなくなっていたのです。

ほかにも、「きちんと暮らす」ことにプライドをお持ちで、寝起きの乱れたベッドを見られ、ちょっと掛布団を直しただけで、あのヘルパーは私が「だらしない」と失礼なことをいって帰ったと怒り、クレームに発展した方などもいらっしゃいました。
怒りの背景にある感情はさまざまなのです。

お世話する際、たとえ納得がいかないことを言われたとしても、すぐに言い返したり、理屈で説得したりするのは逆効果。ご本人の言い分を頭から否定するのではなく、できるだけ同調するような言葉を返すことがポイントです。

認知症の方の「怒り」の多くは、特定の人に向けられているものではありません。今ここで介護する方を責めているわけではないです。介護されるような状況であること、自分らしさ、自分の自信が脅かされる状況であることに対して、不安や怒りを表出するのだと覚えておいていただきたいと思います。

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認知症の介護をしている方へ

認知症の方の介護は、むき出しの感情をぶつけられることも多く、精神的に傷つき、怒りを覚え、とても疲弊するものです。ときには正常な判断ができなくなることもあると思います。言ってはいけない言葉を言い返してしまうなどして、苦しまれている方がたくさんいらっしゃいます。

もしあなたがそのような状況だったとしても、どうかご自分を責めないでください。
人間ですから、どうしてもストレスをコントロールしきれずに感情的になってしまうことがあっても不思議ではありません。

ずっと我慢してばかりでは、いつかは限界がきてしまいます。
家族は対等なのですから、ときには介護される方に我慢してもらうことがあっても良いと思います。たとえ介護される方が認知症であっても、介護する方にばかり負担がのしかかる関係は長続きしませんから、その負荷を少しでも軽くする工夫をぜひなさってください。

例えば、訪問介護やショートステイを利用して、ご本人の生活リズムを整えることも大切なことです。規則正しく生活していただくことが、きっと不安や混乱の軽減につながると思います。

もしも認知症の方の介護をされている中で、「自分の感情を抑えきれない」「向き合うことがつらい」という状況が続くようでしたら、ケアマネジャーさんや地域包括センターにぜひ相談してみてください。ひとりで悩まないでくださいね。

思い切って誰かに話をしたことがきっかけで、変えられることがきっとあるはずです。

2019.12.25公開

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