老老介護、認認介護の問題を解決する方法

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老老介護、認認介護の問題を解決する方法

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

ふたりが「どうしたいのか」を考えることが大切です。今回は「老老介護、認認介護」シリーズの最終回。
高齢者ふたりで支えあう介護生活も、どちらかの健康状態が悪化するなどすれば、それまでの日常生活が維持できなくなってしまう場合があります。

「これ以上、高齢者ふたりの在宅介護生活は、無理だろう」と感じたとき、介護家族はどのように対応すればいいのでしょうか。

「同居か?施設か?」
2択を迫られると考えがちですが、ほかにも選択肢はあります。

さまざまな選択肢から可能性を広げ、「最後までふたりで暮らしたい」という望みをできる限り支えてあげてください。

【あわせて読みたい!集中連載「老老介護、認認介護」】
(1)増え続ける老老介護、認認介護。それって不幸なこと?
(2)老老介護、認認介護をサポートするには?

● 「子どもは老いた親の面倒を見るべき」の呪縛
「同居か否か」
「自宅か施設か」

どの選択をしても家族は罪悪感を覚えたり、負担を感じたりするものです。

「老いた親の面倒は、子どもが見るのが当然」
「高齢の親を放っておくと、近所や親せきから何か言われそう」

義務感や世間体から悩んだり、自己犠牲を強いるような選択をしたりしていませんか?
たとえ息子、娘であっても、親のために自分の人生を犠牲して良いはずはありません。
自分を押し殺して選択しても、悔いのない介護ができるわけではありませんし、距離が必要な親子関係もあります。

大切なことは、老老介護・認認介護の当事者であるふたりが「どうしたいのか」を考えること。
義務感や世間体に惑わされず、いちばん大切にすべきものをどう守るかを考えてみましょう。

ふたりが今の生活を継続することを望んでいて、家族がその意思を尊重すると決めているなら同居か施設かの2択に縛られず別の選択肢を考えることができるはずです。

老老介護や認認介護の家庭は、今後ますます増えていきます。
状況に応じて柔軟に支える方法のバリエーションを増やしていかなければなりません。

在宅介護を、家族だけで抱え込まない。
高齢者の暮らしを、チームで、地域で、社会全体で支える。
それがこれからの在宅介護のあり方だということも、覚えておいてください。

【あわせて読みたい!関連コラム】
在宅介護で知っておきたい「2025年問題」とは?


● 「住み慣れた家で暮らし続ける」方法もいろいろある
老老介護・認認介護を継続する場合、離れて暮らす家族はどのように関わるべきなのでしょうか。
ポイントは、「状況把握」です。

完全同居でなくても、週末だけ、あるいは平日の数日だけ様子を見に行ったり、ふたりにはできない用事を代わりにすませたりすることはできます。

また、ショートステイを活用して自宅で過ごす日を減らし、自宅にいるときだけ泊まって面倒を見るというやり方もあるでしょう。
自宅とショートステイの配分は、高齢介護者の負担や離れて暮らす家族の状況に応じて、考えていけば良いのです。

「それくらいなら今もやっている」という方も、老老介護・認認介護のふたりの希望を尊重すると決めたら、これまでより少しだけ注意深く関わる意識を持ってください。

ちょっとした変化を感じたり、心配に思うことがあったりしたときは、ケアマネジャーや主治医にありのままを報告して、「どうしたら良いですか?」と相談しましょう。

理解のあるケアマネジャーや医師なら、家族の事情にも配慮して、高齢者ふたりの在宅介護生活をサポートする方法を考えてくれるはず。自分の考えだけで「ふたりだけではもう無理だ」と決めつけないようすることが大切です。

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● 家族のストレスになりやすい「キタナイ」問題をどうするか?
離れて暮らす家族が、高齢者ふたりの在宅介護生活の様子を見に行ったとき、気になるのはどんなことでしょうか。
危ないことなら、「これはやめて」「気をつけて」と伝えられますが、衛生面については、なかなかお互いの意見があわないものです。

お風呂やトイレが汚い。
寝床が湿っぽい。
床が埃だらけで歩くとざらつく。
食器がきちんと洗えていない。
家のなかがなんとなく臭い。

このようなことは老老介護や認認介護のご家庭では珍しくありませんが、「キタナイ」に対する拒否感は人間なら誰もが持っています。親子でも我慢ならないこともあるでしょう。

「キタナイ」の基準がどうしても相いれないなら、様子を見に行ったときでも家には泊まらない、一緒に食事は摂らず、自分は外食するというつきあい方もあります。

冷たく感じるかもしれませんが、「キレイ」「キタナイ」の基準を言い争ったり、イライラしたりすれば、お互いにとってストレスです。誰のプラスにもなりません。

精神的にも物理的にも距離をとることはあって良いのです。
親子の良い関係性を保ちつつ老老介護・認認介護を支えるには、不可欠なのだと割り切ってください。

決して悪いことではありません。後ろめたく思わず、「ふたりの生活を続けるかわりに私の条件も認めてね」とはっきり伝えても良いと思います。「私が長居してアレコレ、口出ししたら、ふたりともやりにくいでしょう?」と明るく伝えることもできますね。

ご本人たちが「良い」としていることに、必要以上の介入はやめましょう。
子どもに言われても、高齢のふたりがこれまでのスタイルを変えることはできませんし、無理に変える必要もないことです。

残された時間を、自分たちのペースで穏やかに過ごせることが、在宅介護の良さ。
そのペースを乱さないよう支える意識こそ、離れて暮らす家族が心得ておくべきことだと思います。

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