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増え続ける老老介護、認認介護。それって不幸なこと?

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

本人たちの「らしく生きる」を尊重しましょう。日本では高齢化、長寿化傾向が続いており、在宅介護のカタチも少し変わってきています。
65歳以上の高齢のご夫婦、ごきょうだい、あるいは親子による「老老介護」。
高齢の認知症の方が同じ高齢の認知症の方を介護する「認認介護」。
核家族が増えている現在、こうした高齢者が高齢者を看る在宅介護が珍しくなくなってきているのです。

「何かあってからでは遅い」
「世間の目もあるし、放ってはおけない」

離れて暮らすご家族にとっては、老老介護や認認介護が心配の種になっているかもしれません。

老老介護、認認介護はそんなに悪いことなのでしょうか?
ご高齢者のふたり暮らしを「不幸」と決めつけたら、本質的な問題を見誤りかねません。

そこで今回から3回にわたって、「老老介護、認認介護」をさまざまな視点でまとめます。
初回は、老老介護、認認介護の実態とご本人たちにしかわからない「幸せのカタチ」を紹介します。

● 高齢者同士の在宅介護が当たり前に
2019年の国民基礎調査によると、在宅介護のご家庭の4割以上は「核家族世帯」。
次いで多いのは「単独世帯」(28.3%)です。
「三世代世帯」の割合は年々低下しており、2001年調査では32.5%だったところ、2019年調査では12.8%でした。

子どもに頼らない老後を選ぶ人が主流になりつつあるのが、今の日本の社会です。
「介護で苦労した自分と同じ思いを子どもにさせたくない」「最後まで自分の力で生きていきたい」という意識を持った方が増えているのかもしれません。
また、充実した介護保険制度がその選択を支えていることも、忘れてはならないことです。

実際に私が関わってきた在宅介護のご家庭も、お互いに持病を持ちながら夫婦で支えあうご高齢家庭、独身の息子さんが高齢の母親と同居して介護をするご家庭など、いろいろありました。
90代の親御さんが70代のお子さんを介護するケース、認知症の方同士が在宅でケアを受けながら暮らしているケースなど、本当にさまざまです。

2025年には、全ての「団塊の世代」が後期高齢者である75歳を迎え、超高齢社会といわれる時代がやってきます。
高齢者による高齢者の介護は今後もっと増え、今以上に多様な高齢者同士の在宅介護がおこなわれるようになるはずです。


● 老老介護、認認介護の問題はどこにあるのか?
老老介護、認認介護の問題としてあげられるひとつが介護する人の過度な負担です。
自身の健康に不安を抱えていることも少なくありません。
認知症であれば意思疎通が難しく、精神的な負担も多いはずです。

意思決定能力や判断力が阻害されている場合、生活そのものが維持できなくなることもあります。
お金の管理やお薬の管理などが問題になることもあるでしょう。

多くの問題がありますが、大切なのは、ご本人たちの気持ち。
ご本人たちが「どう暮らしていきたいか?」です。
「これまでの暮らしを維持したい」という気持ちが強いなら、支え方や関わり方を考えましょう。
ご本人たちらしい生き方や選択を尊重することが大切です。

ただし、老老介護、認認介護では、無理を重ねながらギリギリのところで暮らしを保っているケースは少なくありません。徐々にできないことが増えていくのは避けられないですし、介護者の方が入院や要介護の具合によっては、それまでの暮らし方を維持するのが難しくなることもあります。

「もうこれ以上はやっていけない」「そばにいて面倒を見てほしい」と言われたときは、ご家族として同居や通い介護などを考えるタイミングなのかもしれません。

老老介護、認認介護では、状況変化が突然訪れる可能性があります。
事態が急変してから慌てないよう、「こういうときはどうするか?」「どうしたいか?」を聞いておき、折に触れて話し合い、ケアマネージャーとも情報を共有しあっておきましょう。


● 多様化する在宅介護、幸せの価値も十人十色
介護を受ける方もそれを支える方も高齢なら、その暮らしは決して楽ではありません。
しかし、私が知っている限り、どのご家庭も創意工夫しながら、自分たちで自分たちらしい暮らしを維持されていました。

長年連れ添った夫婦だからこそ、お互いにありのままの自分でいられるということなのでしょう。
大変でもパートナーの世話や介護をすることにはやりがいや喜びが潜んでいたり、つらくても役割を果たしたいという思いが潜んでいたりします。

高齢夫婦にとって、ふたりの暮らしがどれだけ価値のあることか想像に難くありません。
一方的に「危なっかしい」「ふたりではもう無理」と判断することは、それまでの暮らしを、人生を、否定することと同じなのではないでしょうか。

住み慣れた自宅で、誰にも邪魔されることなく、今までと同じように自分たちの意思で暮らしていくこと。
そこには、他の人にはわからない重みがあります。
周囲からみれば、できていないことや行き届かないこと、危ないことばかり目につくでしょう。
しかし、たとえ自分の親でも、生活ぶりを見ただけで「不幸だ」と決めつけることはできません。
それはあなたの価値観であって、親御さんの価値観はどこにあるのか知っておくことが大事です。

老老介護、認認介護の家庭は、これからもっと増えていきます。
世間の常識や自分の価値観で測るのではなく、ご本人たちの意思を基準に「何をしたらこの暮らしを支えられるか」を考えることが必要ではないでしょうか。

次回は、離れて暮らす家族が老老介護、認認介護を支える方法を具体的にまとめます。

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