在宅介護で知っておきたい「2025年問題」とは?

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在宅介護で知っておきたい「2025年問題」とは?

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

地域の人がお互いに支えあう「地域包括ケアシステム」の整備が進められています。「2025年問題」をご存じでしょうか。
テレビや新聞でもたびたび取り上げられる話題ですので「聞いたことがある」という方も多いと思いますが、具体的な問題がどこにあるのか意識している方は少ないかもしれませんね。

人口比率が高い、いわゆる「団塊の世代」が後期高齢者(75歳以上)を迎えるのが2025年と言われていて、高齢化社会がいっそう加速すると指摘されています。

"世界でも類を見ない極端な高齢化"と"少子化による急激な人口減少"により社会保障制度が維持できなくなる可能性が現実味をおびているのです。
政府では2025年に向けてさまざまな改革を進めていますが、あわせて私たち一人ひとりの理解と協力が欠かせません。

2025年問題は、団塊の世代だけではなく、誰もが当事者といえます。
これまでの考え方や価値観を見直して、社会構造の変化を受け入れていかなければ、当たり前の暮らしさえ成り立たなくなるかもしれない...そんな時代が訪れつつあるのです。

2025年問題にはどのような"問題"があり、私たちは何をすれば良いのでしょうか。
今回は、「介護」を中心に2025年問題を掘り下げます。

● 医療保険、介護保険がパンクして、体調不安でも自宅に帰される?
これまで社会保障制度を支えてきた団塊の世代が後期高齢者になると、今度は医療保険や介護保険などの給付を受ける側になります。
一方で、支える側の若い世代が少子化のため減り続けているので、社会保障制度の財政収支が成り立たなくなってしまう...というのが、2025年問題の中心です。

以前「突然の入院と退院...介護生活はイメージできていますか?」という話題のなかで紹介しましたが、現在の診療報酬制度では、医療費を抑制するため、長期入院を受け入れにくい仕組みになっています。急性期の治療が終われば退院するのが原則です。

体調が万全ではなく、まだ身の回りのこともままならないのに自宅に帰るしかなく、突然在宅介護生活がはじまる...というケースは珍しくありません。
ご本人やご家族の戸惑いはもっともですが、かつてのように自分の体調に安心できるまで入院、その後のリハビリ入院まですべて一つの病院でという手厚いサポートが難しいのが現実です。

介護保険制度も同様です。
現状、要介護度によって利用できるサービスが制限されていますが、高齢者がさらに増えれば、サービスを受けられる給付基準が厳しくなっていくことが予測されます。
自己負担の割合も、引き上げられていくかもしれません。

「介護サービスの内容が不十分」「自己負担が多すぎる」など、利用者側にも不満はあると思いますが、公的介護サービスの7割~9割が国民から集めた保険料や税金から支払われていることを忘れてはいけません。
国民全員が安心して医療や介護を受けられるのは、実はとてもありがたいことなのです。

今ある社会保障制度を少しでも永らえさせるためには、利用者側もよく考え、節約を心がけなければなりません。
がんばれば自分でできることを介護サービスに頼る、もらった薬を飲みきらずに廃棄するなどの行為は、介護保険料や医療費のムダ使いであり、社会保障制度の破綻を早めることにつながります。

これからの日本では、予防医療に注力して健康寿命をのばし、医療や介護を必要とする機会をできるだけ減らしていくことを目指しています。
歳を重ねてからも自立した生活を長く続けるために、元気なときから体調管理や健康的な生活習慣を心がけることや、自分のことはできるだけ自分たちでやることが、私たちには求められているのです。

● 認知症の高齢者が街にあふれる?
高齢者の比率が高まるにしたがって、認知症の方の数も増加すると言われています。
「2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人は認知症患者」と予測する統計もあります。
街の中や電車の中など、身近に認知症の方と出会うことが珍しくなくなっていくでしょう。

認知症の方は、身体機能に問題がなければ出歩くこともできますし、自宅で暮らしていくことも可能です。
ただし、進行すると理解する力や判断する力がどんどん失われていくため、日常生活や社会生活に支障が生じるようになってきます。
認知症の方が巷に増える超高齢社会では、あちこちで混乱が起こるかもしれません。

たとえばお店でお金を払わずに出てきてしまう、赤信号を渡ろうとする、自分の想い違いからクレームを訴えるなど社会のルールから外れた行動を起こしてしまうことがあります。
外見からは認知機能に問題があるとわからず、ときには大ごとになってしまうことが予想されるのです。
あるいは他人も巻き込むような大きな事故が起きる可能性も否定できません。

街で認知症の方に出会ったら、あなたはそうと気づくことができるでしょうか。
そして、トラブルにならないよう手を差し伸べることができるでしょうか。

認知症の方の問題ある行動は、周囲の適切な対応によってコントロールすることができますが、間違った対処をすると混乱や不安、怒りから、妄想や暴力など、もっと悪い事態を招いてしまいます。

これからは誰もが認知症について正しい知識を持つことが欠かせません。
社会の一員として認知症の方を支えていく意識が求められるようになってきます。

スーパーの販売員の方、銀行や郵便局の職員の方、電車の駅員さんなど、接客する仕事の方ならなおのこと。
他人事と思わず、認知症がどういうものか積極的に学んでいかないといけないと思います。


● 身内だけでは在宅介護が支えきれなくなる?
「核家族(夫婦と未婚の子どもの世帯)」がゆるやかな減少傾向にあり、代わって増えてきているのが「夫婦2人世帯」と「単身世帯」。

かつて介護や子育てをはじめ家庭の問題、困りごとは、家族や親族内で担うことがスタンダードでした。
世帯人数が多く、親戚づきあいが密な時代には、介護の交代要員やサポート要員がそろっていたと言えます。

ところが今、介護にあたっている方が、いつか自分が介護される側になったとき、支えてくれる家族がいるとは限りません。
このまま世帯構造の変化が進めば、介護は身内だけでは担えないものになっていくかもしれません。

家庭内で担ってきた暮らしや介護の負担を、社会で支える仕組みが必要になってきます。
私たちもそれを理解して、2025年以降に向けた準備をしておかなくてはならないのです。


● 誰もが超高齢社会を支える主要キャスト
どのような身体状態、家庭状況であっても、住み慣れた家で自立した生活を最期まで送ることができるよう、「地域包括ケアシステム」の整備が進められています。

地域包括ケアシステムとは、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供され、地域の人同士が相互につながって支えあうまちづくりのこと。

地域包括ケアシステムは、行政機関や病院・介護サービスとの連携を中心に、地域の人すべてがそれぞれ役割を果たすことで機能します。

たとえば、新聞配達やガス事業者、郵便局や宅配便など、生活に密着したサービスのスタッフが高齢者世帯の安否確認や見守りを行うということ。
訪問型のサービス以外でも、店舗内に気軽に立ち寄れる休憩スペースを設ける、商品を自宅に配達するなどのサービスがあげられます。
ご近所に高齢者世帯があれば普段から気にかける、困っているときは手を差し伸べるなど、近隣住民としてのかかわりも必要です。
高齢でも元気な方は、仕事やボランティアで「支える側」になることも求められています。
家族で補えない部分、介護保険などの社会保障制度で補えない部分を、地域のみなさんで少しずつ支える必要があるのです。

地域包括ケアシステムでは、誰もが地域を支えるキャストとして組み込まれているのです。

2025年に備えて、独自の地域包括ケアシステム構築に向けて、自治体、市町村はさまざまな取り組みをスタートさせています。
お住まいの地域でどんなコミュニティづくりが進められているのか、そこで自分はどんな役割ができるのか知っておきましょう。

高齢者や要介護者にとっては、ちょっとした気配り、心配りが大きな助けになるものです。
自ら助けられなくても、困っている人に対して、必要なサービスや、サポートにつなぐ橋渡しをするだけでも十分だと思います。

自分に何ができるのか。
2025年問題には、「一人ひとりが自覚をもって、将来のことを考え、自分たちの生活を守っていかなくてはならない」というメッセージが込められているのです。

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