世間や常識にとらわれない「幸せ」な介護とは?

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世間や常識にとらわれない「幸せ」な介護とは?

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

幸せな介護生活のためには、ご本人の生き方や価値観を尊重することが大切です。「幸せな介護生活」とは、いったいどんなものでしょうか。

バランスの取れた温かい食事が3食整えられ、シーツや衣服はいつも清潔。
キレイに片付いた家の中で、家族に囲まれて穏やかに笑っている...そんな介護生活を思い浮かべるかもしれませんね。
そう思うからこそ、受け入れてほしい援助や助言を受け入れてもらえないことにイライラを募らせる方も多いのではないのでしょうか。

また、あるべきという理想と現実のギャップに、「なぜもっとうまくやれないのだろう...」と落ち込むこともあるのではないでしょう。

在宅介護の幸せのカタチは十人十色。
世間の常識やご家族が「こうあるべき」と考える価値観が、ご本人にとっての「幸せ」とは限りません。

今回は、さまざまなご家庭の介護に関わってきた経験から、世の中の常識の尺度では計れない「幸せ」について考えてみたいと思います。

● 「不潔」「危険」そんな常識では計れない幸せもある
まずは、私が出会ったご利用者様のエピソードを紹介しましょう。
ご主人を亡くして、ひとりで暮らしているある高齢のご婦人の話です。
認知症で失行(道具の使い方や食べる、服を脱ぐといった動作がわからなくなること)があり、あらゆることに介助が必要な状態でした。

食べこぼしやトイレの失敗などで、家の中はお世辞にも清潔とは言えません。冷蔵庫では食材が腐っていたり、汚れものが散らばっていたりして、常に尿臭がし、床は靴下では歩けないほど汚れていました。安全に動く判断もできませんから、よく転倒もしていました。
普通の感覚で見れば眉をひそめてしまいそうな生活環境です。
周囲の人も「ひとり暮らしは限界だろう」と言っていました。

しかし、周りの心配をよそに、ご本人はいたって元気。
介護サービスの手を借りながらマイペースに暮らしています。
家の中は不潔で散らかって、何をするにも危なっかしく見えますが、庭のお花を切ってお部屋に飾ったり、天気の良い日は縁側で日向ぼっこをしたりして、なんともほのぼのとしているのです。
伺うとそこは、東京に一軒家をもつのが夢だったお父さんと一緒に建てた自慢の家でした。

亡きご主人の思い出が詰まった家で、誰にも邪魔をされずマイペースで暮らすこと。
ご本人を穏やかな表情を見ていると、これも幸せのカタチなのだと思わずにはいられませんでした。


● 「父はこれで良いんです」受け止める家族の度量
もうひとつ、古い日本家屋で暮らす100歳を超える男性のエピソードをご紹介しましょう。
いわゆる男所帯ですからやはり家の中は清潔とは言えず、食事も十分ではありません。古い家なので段差も多く、安全面でも在宅介護に適しているとは言い難いお宅です。

訪問介護に伺うと、冬は隙間風が冷たくてコートが脱げないほどでしたが、ご本人はたくさん着込んでこたつに入り、昔の書物を眺めて日々を過ごしています。
疲れるとウトウトして、また目を覚ましては本を眺める。会話も楽しく、初恋の話を聞かせてくれたこともありました。

昔のことに思いを馳せながら、愛する書物に囲まれて自由に暮らす姿は、私から見ればとても豊かで幸せそうに見えたものです。

近所で暮らす娘さんは、そんなお父様の暮らしを尊重していました。
安全や衛生を第一に考えたら、施設や同居を考えてもおかしくありませんし、そのような選択をする方も多いと思います。

けれども、娘さんは「父はこれで良いんです」とおっしゃっていました。
今の暮らしを変えて自分らしく暮らせなくなるのは「本人にとって幸せではない」とご存じだったのでしょう。
今の暮らしを優先することを選んだのです。

常識にとらわれず、生き方、暮らし方をそのまま受け止める度量が、「幸せな介護生活」をつくっていたのだと思います。


● 「快適な介護生活」を実現するより大切なこと
2つのエピソードについて、皆さんはどうお感じになったでしょうか。
「家族は何をしているんだろう」「面倒を見てもらえなくて気の毒」と考える方もいるかもしれませんが、表面的な事柄だけで幸せかどうかを決めつけることはできません。

介護に関わっていれば、清潔で安全な住環境を整えたいですし、やってあげたいこともたくさんあると思います。
きちんとした暮らしをさせていないと、世間体も気になりますし、親類から文句を言われて嫌な思いをする...という方もいます。

けれども、「こうあらねばならない」という考えは、あくまでご自身の価値観からうまれるものです。
家が散らかっていても、毎食温かい食事が食べられなくても、本人は幸せという場合もあります。

本当に「幸せな介護生活」とは、ご本人の生き方や価値観を尊重することです。
できるだけ長くその暮らしを守ってあげることだと思います。

普通に考えたら見過ごせないことでも、「認める」そして「受け入れる」。
ある意味では覚悟のいることではありますが、世間や常識に振り回されず、ご本人の意志を優先すると決めると、気持ちもラクになります。

もちろん、ご本人の思いだけでは介護生活は成り立ちませんし、ご家族の都合を優先しなくてはならないときもあると思います。そのことで葛藤することもあるかもしれませんね。

在宅介護にはいろいろなカタチがあり、幸せの捉え方も人それぞれ。
人になんと言われようと、「これでいいんだ」という自信を持ってください。
このブログで迷いを前向きなエネルギーに変えて、日々の介護に向き合う力にしていただければ、これほど嬉しいことはありません。

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