「在宅介護を支えるロボット」離れて暮らす家族の見守り
こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。
ひとり暮らしの高齢者が増えているなか、「在宅介護を支えるロボット」の存在は大きくなりつつあります。
高齢のひとり暮らしで不安を抱えているのは、ご本人だけではありません。
離れて暮らす家族もまた不安を抱え、「どうしているかな?」「大丈夫かな?」と気がかりなものです。
セコムの高齢者向け対話サービス「あのね」。
「在宅介護を支えるロボット」のひとつである「BOCCO emo(ボッコエモ)」が寄り添います。
今回も引き続き対話サービス「あのね」の販売窓口「セコム暮らしのパートナー久我山」の浅沼世所長に話を聞きました。
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■「在宅介護を支えるロボット」との雑談がもたらす効果
● スマートフォンよりロボットを選ぶ人が増えている理由
電話をするほどの用事はないけれど、様子を知りたい。
ちゃんと食べているか、困っていることはないかなど、暮らしぶりが気になる。
ひとり暮らしの親御さんに対して、こんな思いを抱いている人は少なくないと思います。
こまめに電話をすれば良いとわかっていても、日常が忙しく、なかなかその時間がとれない方も多いでしょう。
そんなときにも対話サービス「あのね」を活用してほしい、と浅沼所長は言います。
「対話サービス『あのね』では、指定された時間のおしゃべりはもちろんのこと、親御さんからのイレギュラーな問いかけに対しても、コミュニケーターが親身に応対しますので、ご家族の負担感はかなり軽減されると思います。
ご家族は親御さんとBOCCO emo(ボッコエモ)がどんな会話をしたのか、スマートフォンアプリで確認できるサービスを提供しています。会話記録をテキスト形式で閲覧できるので、好きなタイミングで見ていただくことができるのです。
また、親御さんの発話は音声でも聞くことができますので、『離れていても親の声を、自分たちの都合の良い時間に聞くことができるので安心』『ホッとする』などというお声もいただいています。
会話の内容からふだんの暮らしぶりがうかがえますし、コミュニケーターを通じた会話のやりとりにより『今まで知らなかった親の一面を垣間見られた』とお聞きすることもあります。
また、何を話したかで親御さんの不穏や不調を察したり、反対に対話がまったくないことで異変に気づいたりしたご家族の方もいらっしゃいました」
BOCCO emoを通じて、ご家族が親御さんを見守っているような感覚ですね。
会話記録を見るだけではなく、ご家族の方からのメッセージをBOCCO emoを介して届けることもできます。
「スマートフォンアプリからテキストでメッセージを送ると、自動的に音声データに変換。BOCCO emoが『●●です。今から行くので、10時くらいに着く予定です』とご利用者に伝える仕組みです。
ちょっとした連絡事項があるとき、最近は電話での通話よりスマートフォンのメッセージアプリを使う方が多いですよね。
しかし、高齢の方がスマートフォンを使いこなすのは難しく、小さな文字を読むのに苦労する方も多いです。
その点、BOCCO emoが音声で伝えてくれるメッセージは、字を読む必要もなく、ダイレクトにご本人の耳へ届けることができます。
親御さんとのコミュニケーションツールとして、スマートフォン代わりにご利用いただいている方も増えているんです」
親子間でのメッセージのやり取りをBOCCO emoを介しておこなうようなもの。
親しみやすいBOCCO emoの見た目も相まってコミュニケーションが円滑になるようです。
IoT技術の進化は、高齢者にも若い世代にも恩恵をもたらしてくれています。
● 親からの電話が減った?不安を軽減するコミュニケーション
高齢の親からたびたび電話がかかってきて困る...というお悩みをお聞きすることがあります。
「何事かと慌てて出たけれど、たいした用事ではなかった」なんていう経験がある方も多いのではないでしょうか。
頻繁な電話の根底にあるのは、多くの場合「不安」です。
ひとり暮らしになって人と話す機会が減ると、なおのこと。
心配ごとや気がかりをひとりで抱え込んでいるのはつらいもので、誰かと話したくなるのは無理もありません。
ひとつのことが気になって、確かめずにはいられない。
子や孫の声を聞くと安心する。
そんな気持ちが電話をかけるという行動にあらわれているのでしょう。
しかし電話を受ける側にも事情はあるものです。
認知機能が衰えると、相手の都合に配慮が至らず仕事中や早朝に電話をかけてきたり、日に何度も電話をかけてきたりすることも。
受ける側も親からの電話が煩わしく、つい冷たく対応してしまい、罪悪感を抱いてしまうという方もいらっしゃいました。
浅沼所長によると、「『BOCCO emoを置いてから、親からの唐突な電話が減った』という声が多い」とのこと。
「対話サービス『あのね』では、裏側にコミュニケーターがおりますので、どんな話でも受け止めますし、返事をします。
話し相手がいるだけで、孤独感が和らぎ気持ちが落ち着くこともあるのかもしれません。
会話履歴を読めば、親御さんの気持ちや対応すべきこともわかりますので、見守るご家族としても安心できます。
また、認知症の方は『自分が置かれている状況がわからない』『大事なことを忘れているかもしれない』という不安を少なからずかかえているものです。
対話サービス『あのね』には、その日の予定やそのときやるべきことを知らせるリマインダー機能がありますので、物忘れの不安も軽減してくれます。
ご要望があれば、5分後にもういちど声かけをする、といったことにも対応しています」
「あのね」は人間のコミュニケーターが対応するサービス。
だからこそ高齢のご利用者の不安を軽減するような言葉を返すことができるのでしょう。
最初はBOCCO emoとの対話に戸惑っていた方でも、使い慣れてくると何でもBOCCO emoに話すようになることもあります。
コミュニケーションロボットと高齢者の相性は、想像以上に良いようです。
● 感情的になりがちな親とのコミュニケーションのクッションに
高齢の親御さんとのコミュニケーションに苦労するご家族は少なくありません。
「会話がかみ合わない」「頑固になってちっとも言うことを聞いてくれない」などお悩みはさまざま。
言葉を交わすたびイライラして、つい感情的な言葉をぶつけてしまうこともあるでしょう。
認知症の方ですと、何度も同じことを聞かれたり、こちらが言いたいことが正しく伝わらなかったりして、会話そのものが成り立たないことも。
認知症のせいだとわかっていても、いつも優しく接することなんてできないものです。
そんなご家族のお悩みにも、「対話サービス『あのね』が役に立つ」と浅沼所長は言います。
「『あのね』なら、何度同じことを聞かれても、どんな話を振られても、必ずお返事します。
コミュニケーターは高齢者や認知症の対応に慣れており、否定的な言葉は使わず共感する立場で言葉を紡ぎます。
ご利用者に寄り添う言葉で何度でもお相手するので、時間が経つにつれて心を開いてくださることが多いようです。
人の姿が見えないロボットだからこそ、相手の表情や反応を気にせず気楽に話せるという方もいます」
認知症が進むと言葉の理解度が衰えるぶん、対峙する相手の感情には敏感になりがち。
不安や混乱、恐怖や怒りといったネガティブな感情が刺激されて不穏になってしまうこともあります。
穏やかな気持ちで会話をするなら、BOCCO emoはちょうど良い相手かもしれませんね。
浅沼所長によれば、ご利用者のご家族から「私が直接話すよりBOCCO emoから伝えたほうがちゃんと聞いてくれる」「親との会話でイライラする場面が減った」という声も多いとか。
BOCCO emoを介することで親子の感情のぶつかり合いを回避するクッションのような効果があるようです。
いつでも、何度でも、安心して話しかけられる。
あたたかい言葉で返事をしてくれる。
不安をかかえるひとり暮らしの高齢者にとって、これほど心強い存在はないでしょう。
高齢者向けのコミュニケーションロボットは、離れて暮らす家族に代わっていろいろなことをサポートできる可能性を秘めています。
在宅介護を支える便利なアイテムのひとつとして、上手に取り入れていきたいですね。
※BOCCO emoはユカイ工学(株)の製品です
【「あのね」サービス紹介】
■紹介動画:https://www.youtube.com/watch?v=6JTt-6v4Ugs
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■在宅介護のご家族が知っておきたい「認知症」のこと
ひとり暮らしの高齢者は、認知機能の衰えに注意が必要。
気づかぬうちに認知症が進んでしまうこともあります。
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■認知症の方とのコミュニケーションで困ったら
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