老人ホームへの入居を考えるのはどんなとき?

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老人ホームへの入居を考えるのはどんなとき?

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

老人ホームへの入居で親子関係が良くなることがあります。在宅介護から施設介護への移行を考える方は少なくありません。
しかし在宅介護を担う家族が老人ホームへの入居を勧めるにあたって、「後ろめたさ」を感じるというケースが多々あります。また、家族と本人の意思が折り合わないというケースもあります。

在宅介護を続けるにしても、老人ホームでの介護に切り替えるにしても、お互いに「良かった」と思える選択が理想です。

そこで今回から5回にわたり【老人ホーム】をテーマにした連載をスタートします。
話を聞いたのは、セコムグループの介護付有料老人ホーム「アライブ」のおふたり。
入居相談室 室長 前島健司さんと、ケアサービス室 課長 藤田祐子さんに「老人ホームの実態」について聞きました。

初回の今回は、老人ホームへの入居のきっかけについてまとめます。
老人ホームでの暮らしを選んだ方には、どんな理由や事情があるのか。
さまざまな介護のカタチを知ることで、介護をがんばる方に少しでも明るい兆しが見えることを期待いたします。

● 老人ホームにもいろいろある
高齢者向けの住宅、いわゆる老人ホームには多くの種類があります。
入居の条件やサービス内容はそれぞれ異なりますが、「何が違うのかよくわからない」という声があるのも事実です。

まずは、それぞれの違いについて、介護付有料老人ホーム「アライブ」の入居相談室の前島さんに聞きます。

「介護付有料老人ホームは、24時間介護スタッフが常駐する高齢者向け入居施設です。
掃除や洗濯などの身の回りの世話や、着替え、食事、入浴などの介護サービスを受けることができます。
介護スタッフが多く、医療体制も整っているので、手厚い介護を期待して選ばれる方が多いです」

【ワンポイント!用語解説】
老人ホームには、介護付有料老人ホームのほか、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅(サ高住)、自立型有料老人ホームなどがあります。

・住宅型有料老人ホーム:
食事や洗濯、掃除などの生活支援サービスが付いた高齢者向け住宅。
対象は要介護~自立者まで幅広いが、介護サービスが提供されないため、介護が必要な場合は外部の介護サービス事業者と別途契約が必要。

・サービス付き高齢者住宅(サ高住):
ある程度自立した生活が可能な高齢者向けの賃貸住宅。
ご家族はサービス付とは、安否確認や生活相談などのサービスが受けられることを言い、介護サービス付ではありません。
介護が必要になった場合は、外部の介護サービス事業者と別途契約が必要。

・自立型有料老人ホーム:
生活支援や食事などのサービスが提供される。高齢者が楽しめる設備が充実した住宅。
自立した生活が送れる高齢者が対象で、介護が必要になったら退去しなくてはならない。


「老人ホームのなかでもサ高住や自立型有料老人ホームは、ある程度身の回りのことが自分ででき、自立した生活が営める方々が対象です。
『ひとりでもなんとか暮らせるけれど、元気なうちにより安心できる次の住まいを見つけたい』と新しい希望を持って転居される方が一定数いらっしゃいます。
アライブなどの介護付有料老人ホームは、すでに介護サービスを必要としている方が対象ですが、
実際は介護度の高い方ばかりではなく、今は元気だけれど将来のことを考えて入居されるという方もいらっしゃいます。
アライブの場合ですが、私たちのホームから仕事に通われている方もいるくらいです」と前島さん。

入居条件に自立や要介護度が問われず、年齢を重ねて要介護度があがっても安心して暮らせるのが介護付有料老人ホーム。
認知症や看取りにも対応する施設も増えてきており、「終の棲家」として選ばれる方も多いようです。


● 老人ホーム入居を考えるきっかけは?
入居相談に来られる方々がどんな事情を抱えているのか、どんな経緯で入居を決められたのか、前島さんに聞きました。

「何かができなくなったことがきっかけで、老人ホームを検討したというケースは多いですね。
たとえば、徘徊(はいかい)などにより、介護サービスや家族のがんばりだけでは対応しきれなくなってきたとき。
ほかにも、火の始末が怪しくなってきた、ボヤ騒ぎがあった、家のなかで転倒して顔にあざをつくった...など、何かしらのトラブルがきっかけになることもあります。
ご本人の希望というより、ご家族が心配して施設への入居を考えはじめるケースが多数だと思います」

実際に入居したあとはどうなのでしょうか。

「老人ホームに入居すると生活環境が大きく変わります。
入居をきっかけに前向きにホームでの暮らしを楽しまれるようになる方が多いです。
自宅で、ギリギリでがんばってきた状況から解放されて、ホッとされるのかもしれません。
安心して暮らせる状況に身を置くことで、やりたいことや新たな楽しみを見つける心のゆとりが持てるのではないでしょうか」

今までできていたことができなくなる、できないことが増えていく...
住み慣れた自宅で、その現実に向き合うのはつらいものです。

年齢を重ねれば、誰もが老いや衰えと向き合わなくてはなりません。
在宅での暮らしがつらさでいっぱいになってしまう前に、安心して暮らせる環境を選ぶ。
それもひとつの幸せな選択であることは間違いないでしょう。


● 老人ホームへの入居が親子の関係性を良好に変える
もちろん、どんなに要介護度が高くても在宅で暮らすことは可能です。
しかしそこには家族の負担があります。

自分を犠牲にしてがんばっているにもかかわらず、なかなか報われない介護者は少なくないのが現実です。

イライラしてやさしく介護にあたることができなくなることもあります。
身体介助などの肉体的な負担より、こうした精神的な厳しさにストレスを感じている人は非常に多いのです。

ただ、老人ホーム入居をきっかけにして「親子の関係が一変することもある」とケアサービス室の藤田さんは言います。

「自宅では決して良好な親子関係ではなかったという入居者の方から、『娘がやさしくなった』『笑顔でおしゃべりできるようになった』などと聞くことが多くあります。
老人ホームに入居して時間的なゆとりや距離感を持てるようになったことで、互いを思い合う気持ちのゆとりが生まれるのかもしれませんね」と藤田さんは続けました。

前島さんにも在宅介護の経験があるそうです。
「もし在宅介護以外の選択をしていたら」と思う瞬間があるとのこと。
「介護が家族関係に影響することがあるということを、身をもって実感しました。
家族同士がそれぞれ異なる感情を抱き、結果的にギスギスしてしまう。それを考えると老人ホームは有意義な選択なのではないかと思います」と話してくれました。

* * * * * * * * *

在宅か施設かで悩まれている方に対して、私は「あなたが笑顔でいられるのはどっち?」と質問します。
いま介護をがんばっているあなたが笑顔でいられることが、介護を必要としている親御さんにとってもいちばん良いことだと私は考えます。

自分を犠牲にして在宅介護に時間や労力を費やしても、イライラしてけんかになってしまうようならお互いに幸せとは言えないのではないでしょうか。

もし「介護さえなければ...」と感じることがあるなら、違う選択肢を考えてみる良いタイミング。
現状の「当たり前」や「仕方ない」を手放すことで、新しい介護のカタチが見えてくると思います。

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