高齢者の転倒事故は「転んだあとの備え」が肝心

介護情報なら安心介護のススメ

こんな時どうすれば?

介護のノウハウや、
よくあるお困りごとについて、
解決法とともにご案内します。

  • ツイート
  • facebookでシェア
  • LINEで送る
  • ツイート
  • facebookでシェア
  • LINEで送る

高齢者の転倒事故は「転んだあとの備え」が肝心

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

転倒してしまったあとのことを考えた対策が必要です。「高齢者の転倒」をテーマにした集中連載も今回で3回目です。
初回は高齢者が転びやすい場所やタイミングについて。
2回目は、「転倒予防」と「自分の意思で移動する自由」をどう両立させるかについてまとめました。

今回は、「転倒後の備え」についてまとめます。
高齢者の転倒は、どんなに注意していても100%防ぐことはできません。

転倒の危険性や転倒によるダメージは、年齢を重ねるごとにより高まっていきます。
転倒が避けられないものであるからこそ、「事後の対策」を準備しておくことが肝心なのです。

高齢者が転倒したあと、どのようなリスクが考えられるのか。
リスクに備えて、介護家族は何をしておくべきなのか。

転倒で引き起こされる「悪い事態」を回避するためのポイントをまとめます。

【あわせて読みたい!集中連載「高齢者の転倒」】
(1)高齢者が転倒しやすいタイミングと場所
(2)在宅介護で「歩く自由」を奪わないために

● 高齢者が転倒したあとに考えられるリスク
高齢者の転倒事故では、大腿骨の骨折や、ケガによる入院を経て寝たきりになってしまうケースが知られています。
しかし、より深刻な事態は「転んだあとに起きあがれない」「転んだことを誰にも気づいてもらえない」というリスクです。

「起きあがれない」「気づかれない」は、独居の高齢者なら、命にかかわる事態。
実際、転倒してから起きあがれず、数日間助けを呼ぶことができなかったというケースがあります。
発見されたときには、ひどい床ずれと脱水症状になっていたことがあったそうです。。

もちろん家族が同居している在宅介護の場合でも、転倒した時間帯や場所によっては、同様のケースは起こり得ます。
たとえば転倒した場所がお風呂の場合。
裸なのでケガのダメージは大きくなりますし、自力で起きあがれなければ、低体温症や脱水症状、浴槽なら溺水など、さまざまな重大リスクがあります。

どれほど気を付けていても高齢者の転倒は避けられません。
避けられないのであれば「転んだあとに最悪の事態を避ける方法」を知っておく必要があります。

避けるべきは、「起きあがれないこと」と「助けを呼べないこと」です。
在宅介護のご家庭では特に、この2つのリスクを念頭に置いて「転倒後の対策」をしておきましょう。


● 【対策1】転倒後の緊急連絡方法を準備しておく
高齢者が転倒すると、自力で起きあがれず、助けを呼ぶことができない状況が考えられます。
起きあがれなくても、外部と連絡を取る方法を用意しておくことがとても重要です。
徐々にできないことが増えていくなかで電話をかけられなくなっていたり、家族の連絡先がわからなくなっていることもあります。まずはひとりでも連絡をとることができるのか、日頃から評価をしておきましょう。

(1)手が届く場所に電話の子機を置いておく
転倒事故が起きやすいお風呂場やトイレ、ご本人の自室や居間など長い時間を過ごす部屋、移動時に必ず通る廊下などには、可能であれば電話機の子機など、誰かに連絡がとれるものを設置しておきましょう。
起きあがれなくても、這って移動すれば手が届く場所(床や床に寝そべっていても手が届く高さ)に設置することがポイント。
「もしここで転倒したら」をイメージしながら、設置場所を検討してください。

(2)緊急通報サービスを利用する
ボタンひとつで外部と連絡がつく緊急通報端末を利用するのもおすすめです。
最近はこうした高齢者向けのサービスが増えていて、コンパクトで身につけやすい端末や、介護事業者や警備会社とつながるサービスなどもあります。
自治体で高齢者向けの緊急通報サービスを導入している場合もあるので、ホームページなどで検索してみると良いかもしれません。

(3)見守りライフセンサーを利用する
遠距離介護や、日中は家族が不在になるご家庭は、ライフセンサーを活用すると安心です。
トイレなど必ず通る場所に専用機器を設置するタイプ、使用状況をメールで知らせてくれる電気ポットなどのIoT家電などもあります。
転倒事故などの異変の検知はもちろん、日常の安否確認の方法としても利用可能です。

(4)緊急時の連絡先と連絡内容をメモして貼っておく
転倒後、ヘルパーなど、訪問してきた第三者が発見するケースも考えておきましょう。
誰もが適切に対処できるよう、家族やかかりつけ医の連絡先、救急車を要請する際に必要なご本人の基本情報(名前、生年月日、住所、電話番号、病歴など)を一覧表にし、電話機のそばや玄関付近など目立つところに貼っておくことをおすすめします。

【あわせて読みたい!関連コラム】
独居、老老介護の親が心配...離れて暮らす家族にできること


● 【対策2】「起きあがり方」を練習しておく
年齢を重ねると、しりもちをついて床に座った体勢や、仰向けの体勢から起きあがることが容易にできない方が少なくありません。
若く健康であれば当たり前にできる「起きあがり」ですが、実はさまざまな動作をともなっています。

たとえば、仰向けの体勢からであれば、寝返りの動作ができないと起きあがりは困難。
首の関節、膝や腕の関節、股関節が固くなっていると難しい動作です。
また、筋力が低下していると、近くのものにつかまって身体を支えながら起きあがることもできません。

起きあがれない理由は、身体の状態によって人それぞれ異なります。
理学療法士など身体の動きのプロに見極めてもらい、「起きあがり動作のリハビリ」を実施しておくと安心でしょう。
身体の弱点を補いながら、ご本人に適した起きあがり方法を訓練してもらえます。

ケアマネジャーに「転倒時に起きあがれない心配があるので起き上がりの訓練をしたい」と相談すれば、デイケアや訪問リハビリなどをケアプランに組み込むことも可能です。
あわせて、介護する方も「起き上がらせ方」、介助方法を教えてもらうといいでしょう。
「転倒後、起こせない」というのも、よくある困りごとですし、無理な姿勢で床から起こそうとすると介助者が体を痛めかねません。


* * * * * * * * *


高齢者の転倒では、たとえ自力で起きあがることができても、転倒後は医療機関で全身をチェックしてもらうことが不可欠です。
「大丈夫」だと思っても、自覚症状だけでは安心できません。

骨折していることに気づいていなかったり、何日も経ってから脳出血で急変したりするケースがあります。

高齢者の転倒は、軽く見ないこと。
必ず医療機関を受診し、数日間はご本人の様子をしっかり観察するようにしてください。

【あわせて読みたい!関連コラム】
介護家族が知っておきたい、転倒事故が起きたときの対処

【関連商品】
セコム・ホームセキュリティ(親の見守りプラン)
防犯・火災対策から見守り対策までまとめて対策できます。
室内に動きがないと、セコムが駆けつける安否みまもりサービスや、万が一に備えた救急通報サービスをご利用いただけます。

セコムみまもりホン
専用端末の救急ブザー用ストラップを「引っ張るだけ」で、セコムに救急通報。
家の外でもセコムが駆けつけます。携帯電話としても使用可能です。

詳しくはこちら

セコムの介護応援ブログTOPへ