高齢者のための熱中症対策

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高齢者のための熱中症対策

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

熱中症のリスクを防ぐ室内環境を整えることが大切です。毎年5月頃から、熱中症による救急搬送が増えてきます。
東京消防庁の統計によれば、熱中症死亡者の約9割が65歳以上の高齢者です。

高齢者は、自身の体調変化に気づかないことが多いもの。
普段は元気な方でも、これからの季節は熱中症への注意が必要です。

ご高齢の方の熱中症対策をまとめますので、ぜひ参考にしてください。

【あわせて読みたい!熱中症対策】
「熱中症」を予防するには?在宅介護で注意したいこと

● 高齢者の熱中症予防は、体調変化をキャッチすることから
春から夏にかけての気候は、高齢者の体調にさまざまな影響をもたらします。
暑さで日中の活動量が減ると、食事量が減って栄養状態が悪くなったり、睡眠の質が低下したりして、暑さに対する抵抗力も弱りがちです。

<熱中症になりやすい高齢者のタイプ>
□ 普段からあまり水分を摂らない
□ さっぱりした食事が多く、たんぱく質をあまり摂っていない
□ 同じメニューばかりを繰り返し食べている
□ 寝つきが悪く、夜中に何度も目が覚める
□ エアコンが苦手であまり使わない

高齢者は、加齢により、暑さ・寒さなど気温の変化を感じにくくなっています。
また、汗をかく機能や熱を逃がして体温を下げる機能が活発ではなく、熱中症になると一気に悪化して、命の危険に関わる状態になってしまうことも少なくありません。

高齢者の熱中症は、いつもと違う様子をいち早くキャッチし、悪化する前に対処することが肝心。次のような症状が見られたら、熱中症の初期症状、あるいは熱中症の一歩手前である脱水症状を起こしている可能性があります。

<もしかして熱中症?高齢者が注意したい身体のサイン>
□ いつもより体温が高く、熱っぽい
□ なんとなく元気がない
□ 呼びかけになかなか反応しない
□ ぼんやりしていて、目の焦点が合わない
□ 長時間トイレに行っていない
□ 尿の色がいつもより濃い
□ 脈がはやく、力強さがない
□ くちびる、舌、口のなかが乾いている
□ 足元がふらついている
□ 皮膚に張りがなく、手の甲や腕を指でつまむと戻るまで時間がかかる

上記のような異変が見られたときは、まず熱中症を疑ってください。


● 高齢者の熱中症への対処方法
熱中症のサインが見られたときは、すぐに対応が必要です。
軽度なら、涼しくして水分を補給すれば大事に至らないことがほとんどですが、高齢者の場合は急変する可能性があります。油断せず、慎重に様子を見てください。

<熱中症が疑われる高齢者への応急処置>
・身体を冷やす
身体が熱い、顔が赤いなどの症状が現れているときは、エアコンが効いた室内など、涼しいところで身体を休めます。
汗が蒸発しないと体温が下がらないので、ボタンをはずして首元から風を通し、熱がこもりやすい素材の服は脱がせましょう。
あおいで風を送ったり、わきの下・足の付け根・首のうしろなどを氷のうや保冷剤で冷やしたりすると、体温を下げるのに効果的です。

・経口補水液で水分を補給
高齢者の脱水状態には、効果的に水分を補給できる経口補水液やスポーツドリンクなどがおすすめです。普段は飲まない方でも脱水状態になると、身体が補水液を必要とする状態になっているので、摂取を勧めてみてください。
万が一に備えて、家に用意しておきましょう。
自分で水分を摂取できない、呼びかけても反応しないなどときは、中度や重度の熱中症が疑われます。すぐに救急車を呼んでください。

・かかりつけ医や「#7119」に相談する
高齢者の熱中症は、急変が心配です。
熱中症が疑われるときは、家でできる対処をすると同時に、かかりつけ医など医療機関に相談することをおすすめします。
救急車を呼ぶべきかわからないときは、救急安心センター「#7119」に電話して症状を伝えると、医師や看護師などの専門家が緊急性を判断してくれます。


● 室内での熱中症を防ぐには?
高齢者の熱中症は、炎天下の屋外で起こるだけではなく、実は室内で多く発生していることを忘れないでください。
熱中症は、高温多湿、無風な環境で、汗を発散しにくいときに発症しやすくなります。
家のなかでは、熱中症のリスクを防ぐ室内環境を整えることが大切です。

<室内の熱中症対策>
・エアコンを適切に使う
家のなかでの熱中症を予防するには、気温と湿度の調整がポイントです。
一般に、室内温度は28℃、湿度は60%以下に保つことが推奨されています。
室温計でチェックして、快適な室内環境を保ちましょう。
高齢者は「エアコンの風はだるくなる」という方も多いので、直接、風が当たらないよう風向きを調整してください。どうしても冷房が苦手なら、ドライ機能を活用し、「湿度」を下げるだけでも予防になります。

・エアコンの不快感を和らげる
エアコンと扇風機を併用したり、ときどき窓をあけて空気を入れ替えたりすると、エアコンの不快感が和らぎます。
身体が冷えすぎてだるくなったり、夜間も眠れなかったりする高齢者の方は、エアコンを切らずに、定期的に窓やドアをあけて空気を循環させると良いでしょう。

・直射日光が入らないよう工夫する
室内の熱中症を防ぐには、窓辺の対策も重要です。
遮光遮熱機能のあるカーテンやシェード、すだれやよしずなどを活用すると、室内の暑さが軽減します。


● 高齢者の熱中症予防基本 「水分補給」のコツ
高齢者に限らず、熱中症予防の基本は、水分補給です。
人間の身体の約60%は水分が占めていると言われますが、高齢者の場合は約50~55%。

筋肉の減少や腎機能の低下により、体内に貯めておける水分量が少なくなっているため、脱水状態から熱中症に至るまでの経過が早いのです。
高齢者は、若い人以上に、こまめな水分補給が必要だと覚えておきましょう。

高齢者に必要な水分摂取量は、1日あたり1~1.5リットル。
高齢者はのどの渇きを感じにくく、またトイレの心配などから、水分摂取を控える傾向があるので、熱中症を予防するために必要な水分を、上手に摂りましょう。

<高齢者のための水分補給のコツ>
・日常のなかで「飲む習慣」をつくる
高齢者は、一度にたくさんの水分を摂取するのが難しいので、少量を頻繁に摂ること。
トイレに行ったら飲む、新聞を読んだら飲む、洗濯ものを干したら飲む...というように、何かひとつ行動するたびに水分を摂るクセをつけましょう。

・水分摂取のノルマを把握する
高齢者の熱中症対策としての水分摂取は、「なんとなく」ではなく、「きちんと数値で」把握することが重要です。
500ミリリットルのペットボトルなら、「午前中に1本、午後1本、寝るまでに1本」というように、いつまでにどれだけ飲むかを決めておきましょう。
コップや湯呑を使う場合は、普段から使っている器で、何杯飲んだら目標量に達するのかなど、きちんと測って飲むようにしてください。

・食事や薬は、水分をいつもより多めに
熱中症が心配な季節は、食事時や薬を飲むときなど、水分を摂るタイミングで、少し多め飲むに飲むことを心がけましょう。
お風呂あがりや外出から帰ったときなども「少し多め」を意識してください。

・水やお茶にこだわらず水分を摂る
高齢者の熱中症予防のための水分摂取は、紅茶やコーヒー、炭酸飲料やジュースなど、本人が飲みやすい水分を選びましょう。
飲み物の種類にこだわらず、量をしっかり摂ることを優先してください(ただしアルコールは利尿作用が強く、飲む以上の水分が奪われるので、水分補給としては適していません)。
また、汗で失われた塩分やミネラルが補給できるみそ汁や昆布茶なども、熱中症予防に有効です。
飲み物ばかりでつらいときは、水分を多く含む果物、ゼリーなどでも、おいしく水分摂取ができます。

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・夜間の水分摂取は「就寝の3時間前まで」に済ませる
トイレの心配で、水分摂取を控える高齢者は少なくありません。
夜中に頻繁にトイレに起きるという方は、就寝の3時間前までに水分摂取を済ませるのがおすすめです。
寝る直前に水分を摂らなくても、睡眠中の血中濃度は変わらないことが実証されています。
夜はトイレの心配をせずぐっすり眠り、朝、目覚めたときにしっかり水分補給をすると良いでしょう。

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熱中症の季節は、普段は元気な高齢者も、体力を過信しないことが大切。
睡眠不足のとき、疲れ気味のときなどは、熱中症にもなりやすいので、無理は禁物です。

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