在宅介護の排せつの悩みを軽減!コンチネンスケアにヒントあり

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在宅介護の排せつの悩みを軽減!コンチネンスケアにヒントあり

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

セコム在宅総合ケアセンター久我山 セコム訪問看護ステーションくがやまの朝子ひろ子所長にコンチネンスケアについて話を聞きました。要介護の方によくある悩みのひとつ「失禁」。
ちょっとした尿もれもあれば、便失禁でお困りのこともあります。

失禁は、在宅で介護する方の負担も大きく、ご本人にとってもつらいことです。
誰にも相談しにくいため、快方をあきらめていたり、つらさから悲しみを感じていたり、どうにもできない現実に耐えている方も多いのではないでしょうか。

「正しく向き合えば必ず解決方法が見つかる」。
力強く話すのは、セコム在宅総合ケアセンター久我山 セコム訪問看護ステーションくがやまの朝子ひろ子所長です。

朝子所長は、看護師の資格を持ち、日本コンチネンス協会の認定資格を有する排せつケアの専門家でもあります。

在宅介護における排せつの悩みを解消し、気持ちの良い排せつを目指すための「コンチネンスケア」について、朝子所長に話を聞きました。

今回は、コンチネンスケアとは何かを学び、避けてしまいがちな排せつの問題としっかり向き合うことについてまとめます。


● 在宅介護の救世主?「コンチネンスケア」のことをもっとよく知ろう
「コンチネンス」とは、排せつがコントロールされている状態のこと。
さまざまな要因で起きる失禁を予防し、気持ちの良い排せつを目指すケアが「コンチネンスケア」です。

まだまだ耳慣れない言葉ですが、介護現場では、排せつトラブルの解消に向け、コンチネンスケアの取り組みが広がってきています。

まずは、通常の排せつケアと、コンチネンスケアの違いについて朝子所長に聞きました。

「在宅介護で尿もれや便失禁があればおむつをする、おむつが汚れたら交換するといった排せつケアが多いと思います。コンチネンスケアは、尿もれや便失禁が起こる原因に着目し、具体的な解決方法を考えるものです。
通常の排せつケアが対処であるのに対して、コンチネンスケアは、尿もれや便失禁を引き起こす原因の解消を目指しています。

失禁が起こる理由は人それぞれ違うものです。
たとえば、骨盤底筋がゆるむと、くしゃみをするなどお腹に力が入ったときに尿が漏れてしまうことがあります。この場合、骨盤底筋を鍛える運動をすることで、尿もれを防ぐことができるんです。

ほかにも病気による排せつ障害や、認知機能の低下による排せつ障害など、原因を見極めれば、適切なケアで現状よりも快適な排せつにつなげることができます。
一人ひとりにあった適切な排せつケア、それがコンチネンスケアなのです」

骨盤底筋のゆるみによる尿もれは、ご高齢の方だけではなく、出産を経験した女性にも少なくありません。年齢にかかわらず、ひそかに悩んでいる人が非常に多いことから、コンチネンスケアについて多くの人に知ってもらう必要があると朝子所長は言います。

「原因がわかれば、40歳の方でも、100歳の方でも、排せつの悩みから解放されます。
こういう場合は、こういうふうにすれば良いという知識を、ひとりでも多くの方に持っていただけたらと思っています」と朝子所長。

在宅介護の現場にもコンチネンスケアの考え方が広がれば、今よりもご家族の介護の負担が少なくなるに違いありません。


● 「おむつ」も上手に使えば排せつの悩みが軽くなる
要介護の方にとって、「トイレでの排せつ」は大きな目標のひとつ。
しかし麻痺や足の筋力の低下など、身体機能の問題でトイレに行くのが難しい場合もあります。

「コンチネンスケアの考え方は、どんな状態の方でも気持ちよく排せつできるようにケアするというものです。
麻痺があるようなケースでは、福祉道具を使ってトイレで排せつできるようにすることを考えますが、トイレまで間に合わない、トイレのたびにつらい思いをしなくてはならないという状態は、"気持ちの良い排せつ"とは言えません。
おむつを使用したほうが、安心して過ごせる場合もあります。ご本人の今の身体の状態にあわせて、最適な方法を考えることが大切なのです」

以前、「在宅介護の目標は「自立」だけではない?それぞれの幸せの見つけ方」でまとめましたが、毎回ご家族が苦労してトイレに連れて行くより、ベッドでおむつを使用したほうが、お互いに心穏やかに過ごせる場合もあります。

夜間頻尿でトイレに何度も行くなら、夜だけおむつやポータブルトイレを使用したほうが、転倒のリスクを減らすことができます。昼間も布パンツではなく、リハビリパンツを使用したほうが、失禁の心配をせずアクティブに過ごせる場合もあるでしょう。

失禁をなくしてトイレで排せつすることを最終目標にするわけではなく、今のご本人にとって適した排せつのスタイルを見つけることが重要です。
おむつを使用することを悲観せず、ご本人が安心して過ごすために、上手に活用していこうと考えられると良いですね。


● 「コンチネンスケア」で夜はぐっすり眠って、日中は活動的に
夜間頻尿は、要介護の方だけにとどまらず、ご高齢の方に多いお悩みです。
睡眠がたびたび中断されるので、不眠をきたし、日中の活動の質が低下してしまいます。
要介護でおむつを使用している方でも、夜中に何度もおむつ交換で起こされるのはつらいものです。

コンチネンスケアでは、夜間の排せつコントロールが重要なポイントだと朝子所長は言います。

「睡眠は、いろいろなところに連動しているんです。
きちんと睡眠が取れていなければ、食欲が落ちて体力や筋力も低下する。
運動と食事が不足すれば、便秘になって気持ちの良い排せつから遠のいてしまいます。睡眠の質が悪いと、生命を維持していくための歯車がどんどん狂ってしまうんですね。
夜はぐっすり眠れるようにケアを工夫することがポイントです」

在宅介護での夜間の排せつコントロールのポイントは「おむつ」と「水分摂取」だと朝子所長。

「最近は高機能のパッドがたくさん出ていて、一晩中おむつ交換をしなくても漏れないものもあります。たくさん尿を吸っても逆戻りせず、冷たい思いをしないので、朝までゆっくり眠れるんです。
交換しないと漏れてしまうというお悩みも聞きますが、おむつ選びと当て方の工夫で解決できる場合も多いもの。
ご本人にあった高機能パッドとおむつを上手に使うことが夜間の排せつコントロールには重要です」

おむつは、メーカーによって「合う」「合わない」の差が大きいものです。
またサイズの違いだけでも、フィット感がだいぶ変わります。
ヘルパーやケアマネジャーに相談すると、いろいろな試供品を取り寄せてくれることが多いので、相談してみるのも良い方法ですね。

「寝る前に水分をとらないといけないと思い込んでいる方が多いですが、寝る直前に水分をとれば、夜中にトイレが近くなっても無理はありません。
水分は寝る3時間前までにとりおえ、寝る前にトイレを済ませれば、夜中の尿意が軽減されます。
寝る直前に水分を飲まなくても、健康上の影響がないという結果も出ているので、安心してください」と朝子所長。

適切なおむつを選ぶこと、就寝前の水分補給を計画的におこなうことで夜間の尿意を減らせことができるのですね。

次回も引き続き、コンチネンスケアについて朝子所長に話を聞きます。
次回のテーマは、排せつ障害の種類と対処方法についてです。

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