介護保険のマメ知識:サービス利用票はココを見る!

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介護保険のマメ知識:サービス利用票はココを見る!

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

サービスの利用表の見方がわかると介護サービスへの理解も深まります介護サービス利用者が知っておきたい「介護保険のマメ知識」をシリーズでご紹介しています。

1回目は、介護保険の仕組みや、介護報酬の「加算」
2回目は、「個別加算」や「体制加算」の違いなど、利用者が知っておくと役立つ加算の種類について取り上げました。

3回目の今回は、毎月ケアマネジャーから介護サービス利用者に手渡される「サービス利用票」について解説します。

サービス利用票は、介護サービスの計画と実績を記入して、利用者に確認・合意を得るための書類です。

サービス利用票には、たくさんの項目があります。
「どこを見て良いかよくわからない」
「何を書いてあるのかよく知らない」
あまり見たくない気持ちも無理はありません。

サービス利用票の見方がわかると利用しているサービスは適切か、今後どのようにサービスを利用していくかなどが、より理解できるようになります。
チェックポイントをまとめていきますので、参考にしてみてください。

【あわせて読みたい!マメ知識】
利用者が知っておくべき介護報酬の「加算」とは?
「個別加算」と「体制加算」とは?

● 「サービス利用票」って何?
サービス利用票とは、毎月の介護保険サービスの計画と実績を記載した書類です。
サービス利用票は、ケアマネジャーが作成するケアプランに基づいてつくられており、「居宅サービス計画書*」という第1表~第7表で構成された様式の一部になります。

居宅サービス計画書は、わかりやすく言えば、「ケアプランの方針と計画、課題と目標、実現のために必要なサービス」をまとめ、利用の予定と実績の管理をおこなうものです。
居宅サービス計画書の第6表と第7表が「サービス利用票」と呼ばれるもので、サービスの利用金額と自己負担額が表示されています。
利用者も把握しておくべき介護報酬の根拠となる書類です。

*介護保険のマメ知識:キーワード解説
「居宅サービス計画書」
第1表 居宅サービス計画書(1)...要介護度をはじめとする利用者の情報、アセスメントに基づく利用者の現状や課題、介護する家族が抱えている課題等に対して、総合的な支援の方針などをまとめたもの
第2表 居宅サービス計画書(2)...短期・長期の課題と、必要なサービスをまとめたもの
第3表 週間サービス計画表...利用するサービスのスケジュールを週単位で示したもの
第4表 サービス担当者会議の要点...利用者、家族、主治医、利用している介護サービス事業者が一堂に会しておこなう会議の要点をまとめたもの
第5表 居宅介護支援経過...利用者との話し合いやサービス担当者会議など、計画書作成に関係するできごとを時系列に記録したもの
第6表 サービス利用票(兼居宅サービス計画)...第3表を元にした介護サービスの月間スケジュールを記載したもの。次月の計画と当該月の利用実績が並列して記されます
第7表 サービス利用票別表...介護サービス事業所ごとに、サービスの提供内容や、サービスにかかる金額や保険給付額、利用者の負担額など費用の詳細を記載したもの


● サービス利用票で利用者が見るべきポイントは?
ご利用者やご家族は、ケアマネジャーから説明を受けてサービス利用票を確認したら、「サービス内容や金額について理解し、納得した」という証として書類に押印します。
なんとなく読み流してしまわないようにしましょう。

・チェックポイント1:ご本人やご家族の意向がきちんと反映されているか?
利用するサービスには、ご本人の目標や課題が反映されているでしょうか。
希望するサービスが組み込まれているか、本人や家族が困っていることを解決するためのサービスが適切に選択されているかなど、サービス内容やスケジュールを確認しましょう。
ケアマネジャーがケアプランの修正をおこなった場合、次月の介護サービスの利用計画が実績と異なることもあります。
ケアプランをきちんとチェックしたうえで、確認することをおすすめします。

・チェックポイント2:区分支給限度基準額を超過していないか?
サービス単位数の合計が、区分支給限度基準額(介護保険から給付される1ヵ月あたりの上限額)を超えていないかを確認しましょう。
介護保険では、要介護度に応じて区分支給限度基準額が決まっており、その範囲内で必要と考えられるサービスを組み合わせたケアプランが考えられています。
超過した分は、介護保険が適用されず、すべて自己負担になるので、忘れずにチェックしてください。
ただし、事業所の体制加算である「介護職員処遇改善加算」「サービス提供体制加算」など、区分支給限度基準額として算定されない加算もあります。

・チェックポイント3:費用総額と保険給付額はいくらか?
サービス利用票では、サービスの利用総額、保険給付額、利用者の自己負担がそれぞれ記載されています。
利用者が気になるのは自己負担の金額だと思いますが、費用の7割~9割が介護保険の給付によって賄われていることも忘れないでください。
たとえば要介護度3の場合、区分支給限度基準額は27,048単位。
1単位10円で換算(地域やサービスによって単価あたりの金額は異なります)すると、27万480円が区分支給限度基準額です。
限度額いっぱいにサービスを利用した場合、1割負担の方なら自己負担額は約2万7千円で、残りの24万円強が介護保険の財源から支払われているということになります。

時折、「区分支給限度基準額に満たないので、もっとサービスを増やしてほしい」というご要望があります。しかし、介護保険が多くを負担していることを考えれば、不要なサービスを無理に組み入れることはできません。

介護サービスは、要介護になってもご本人らしい暮らしを維持するために、本当に必要なサポートだけをおこなうもの。
過剰なサービスがご本人の自立した生活や身体機能の回復を妨げてしまうことも考えられます。
サービス利用票を確認するときには、このことも念頭におきましょう。


● 「モニタリング」は変化や困りごとを伝える機会
居宅サービス計画書の一部であるサービス利用票は、ケアマネジャーが作成するケアプランに基づいてつくられています。
要介護者の方の状態はずっと同じではありません。支える介護家族の状況が変わることもあるでしょう。
そのため、ケアプランは常に見直しが必要です。

ケアマネジャーは、月に一度はご利用者の自宅を訪問し、「モニタリング」と呼ばれる面談を実施します。ご本人やご家族からお聞きした現状を踏まえ、必要であればケアプランの変更をおこなって、利用するサービスを変更することもあります。

ご本人の身体機能の変化、あらたな心配ごとなどがあれば、モニタリングの際にケアマネジャーに伝えてください。
現状のサービスで不満に感じていること、いま介護家族が困っていること、これから挑戦してみたいことなど、どんなことでも大丈夫です。

たとえば、「介護者が高齢になって介護がつらくなってきたので、週3日のデイサービス利用を週5日に増やしてほしい」といった要望も、ケアマネジャーが必要だと判断すれば、ケアプラン変更を検討してくれるはずです。
サービスの利用頻度が増えて区分支給限度基準額が不足する場合、「支える家族の状況が変わった」ということで、要介護度の区分変更を申請するケースもあります。

気になることがあれば、どんなに小さなことでも良いので、モニタリングの場でケアマネジャーに情報共有すること。
そうすれば、ケアプランに反映されて、より良い在宅介護が実現していく可能性があります。

サービス利用票は、毎月の自己負担額を確認するだけのものではありません。
ご本人やご家族の意向とサービスがマッチしているか、今後どのようにサービスを利用していくかを確かめ、ケアマネジャーに同意の意思を示す書類でもあります。

当事者意識を持ってチェックして、きちんと理解したうえで判を押すことが大切です。
わからないところがあったら、その場でケアマネジャーに聞いてみてくださいね。

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