介護のプロが教える上手な「水分補給」のコツ

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介護のプロが教える上手な「水分補給」のコツ

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

1日に必要な水分量がわかるよう、記録をつけたりペットボトルの本数を決めたりするのがおすすめです。高齢の方は体内の水分量が減っているので、水分補給は一年を通じて意識しておきたいことです。脱水状態は脳梗塞や心筋梗塞の発症につながりかねません。
身体から水分が失われ、不足することで血液が濃くなります。
濃くなった血液がかたまりとなって血管に詰まってしまうことがあるので、水分補給で脱水を予防することはとても重要なのです。

ところが、要介護状態にある方が十分な水分を摂ることは、決して簡単ではありません。
身体が受け付けなかったり、トイレの不安を抱えていたり、理由はさまざまです。
「すすめても水分を摂りたがらない」「少ししか飲んでくれない」などのお悩みを聞くこともあります。

今回は、要介護者の方の水分補給をテーマに、どれくらい飲めば良いのか、水分補給が困難な場合はどうしたら良いのかなど、介護するご家族が知っておきたい知識や工夫をまとめます。

● 高齢者の方の水分補給の目安は?
年齢を重ねた方は、若いときよりもいっそう水分補給を意識的に行うことが必要です。
筋肉の量が減るため、体内に貯めておける水分の量も減ります。
汗をかくなどして失われた水分は、すぐに補ってあげないと脱水状態になりかねません。
では、どれくらいの水分量が必要なのでしょうか。

高齢の方ですと、1日に1~1.5リットル程度が目安。
かなり多いように思いますが、身体を維持するために必要な水分量です。
飲む回数を増やして、一日を通じてしっかり必要量を摂ることが大事。
のどの渇きを感じる機能も衰えているため、こまめに声をかけるなど、サポートしてあげてください。

特に、リハビリや入浴など、汗をかきやすい活動の前後は水分補給が必須。
少し多めに水分を摂るように促しましょう。


● 水分摂取の「目標」と「目的」を示す
在宅介護で水分が不足していないかどうかを見極めるには、水分摂取量を"見える化"するのがポイントです。

たとえば、いつも使っているコップや湯呑み1杯あたりの容量はどれくらいかを把握して、何杯飲んだかを記録したり、1日分の飲み物のペットボトルを用意して、「ここにある飲み物は午前中の分」「夕飯前に、ここまで飲みきってね」というふうに目安を伝えたりすると、わかりやすいと思います。

水分を摂りたがらない方もいらっしゃいますので、 「なんのために飲むのか」をご本人がしっかり自覚することも必要です。

デイサービスや楽しいお出かけの予定などを伝えて、「今のうちから飲んでおいて水分不足を予防しておこう」「元気に行けるように、これは全部飲みましょう」などと声をかけてあげてください。

介護生活では、行動の目的や生きがいを示してあげることで、そこに向けた身体の状態を保つために積極的な行動が生まれることも多いのです。


● 「水分を摂りたくない理由」を察してあげる
「トイレが近くなるから...」という理由で、水分を控えてしまう方は少なくありません。

介護する側からすれば、水分不足で脱水症状になるほうが怖いので、「そんなことは良いから、とにかく飲んで」とすすめてしまいがちです。

しかし、高齢の方や、要介護・要支援状態の方にとって、トイレ問題は非常に深刻。私達にとっては呼吸をするのと同じくらい何気ない行為ですが、年齢を重ねた方の排せつの切迫感は、若いときとは比べものになりません。
ぜひそのことを覚えておいてください。

要介護の方ですと、身体が思うように動かせないために、トイレにいくまでも大変、ドアの開閉やズボンや下着の上げ下ろしにも苦労しているはずです。
排泄の間隔も近くなる上に、我慢もきかなくなり尿漏れの心配も深刻です。
排せつしたいときに時間がかかり、うまくできないかもしれない、失敗するかもしれないというのはとてもストレスを感じることです。

外出先ならなおのこと、「トイレに行きたいと思っても、すぐに探せないかもしれない」「間に合わなかったらどうしよう...」という心配がつのります。

この不安を抱えている限り、いくらすすめても、積極的に水分は摂ってもらえないでしょう。
こうした気持ちを、介護する方が理解してケアすることが、とても大切だと思います。

「トイレはあそこにあるよ」「このタイミングでトイレに行けるからね」と声をかけるだけでも、水分を摂ることへの抵抗感はずいぶん軽減されるはずです。
その日の状況や身体の状態を見て、リハビリパンツを使用するようすすめてみても良いかもしれませんね。

水分を飲んでいただくことだけに懸命になるのではなく、ご本人の心情を察して、可能な限り不安を取り除いてあげることが必要だと思います。


● 飲み物はご本人の好みにあわせて
水分はなるべく積極的に摂らなくてはなりませんが、必ずしもお茶やお水ではないといけないわけではありません。

ただでさえ水分が摂りにくい要介護状態の方は、水分の質よりも、量が大事。
「あまり飲んでくれない」「飲んでもらうのに苦労している」という場合は、ご本人が好きな味や好みの飲み物を用意してみてください。

たとえば、普通の麦茶だと少ししか飲めないけれど、はちみつを入れて甘くするとコップ一杯飲めるだとか、冷たいものより温かい飲み物を好む方、炭酸飲料やジュースだと喜んで飲めるといった方もいました。

飲み物の種類にこだわりすぎず、「これなら飲める」というものを見つけられると、介護生活での水分補給の介助が少し楽になります。
体調によっても身体が欲する味は変わってくるので、いくつかの飲み物を用意して「何が飲みたい?」と聞いてみるのも良いですね。

ほかにも、水分は食事やおやつでも摂れます。
お味噌汁には、程よく塩分も含まれていますので、熱中症予防にも最適です。
ゼリーやかき氷、果物なども水分ですので、摂りやすい方法を工夫してみてください。

ただ、身体の状態によっては、どうしても必要量の水分が摂れないこともあります。
要介護の方がひとたび脱水症状になると、嚥下(えんげ)機能も落ちて、ますます自力で水分を摂ることが難しくなります。
脱水症状が進む前に点滴などで対処することが必要ですので、「いつもより飲めていないな」というときは、早めにかかりつけ医に相談しましょう。

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