在宅療養生活をしていらっしゃる方が「外出」するときに注意したいこと

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在宅療養生活をしていらっしゃる方が「外出」するときに注意したいこと

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

事前の準備を整えて外出をたのしみましょう。これまでに在宅療養生活をしていらっしゃる方の外出をテーマに「外に出ることの大切さ」や「閉じこもりがちな方に外出を促す方法」、「身体が不自由な方の外出を実現する方法」をまとめてきました。

外出をあきらめていた方に「挑戦してみようかな?」と思っていただければ、これほど嬉しいことはありません。

今回は、外出の注意点について、より具体的にまとめたいと思います。
要介護者の方の外出は、事前にチェックしておきたいこと、準備しておきたいことがいくつかあります。

外出先で不安なく過ごすためにも、ぜひ参考にしてください。

● 要介護者の方の外出でネックになりやすい「トイレ問題」
要介護者に限らず、年齢を重ねると「トイレ」のことが気になる方が多いようです。
若いときに比べて膀胱(ぼうこう)に尿をためておく力や、排泄(はいせつ)をコントロールする筋肉が衰えてくるため、ちょっとした尿もれなどは、経験がある方も多いと思います。

要介護者の方ならなおのこと。
トイレを探して、スムーズに用をたすということが難しいので、慣れない場所では常に不安を抱えているものです。

外出先でトイレの失敗を経験してしまうと、ご本人もご家族も「また出かけよう」という前向きな気持ちを失ってしまうことがあります。
「恥ずかしい」「また失敗したらどうしよう」という思いが芽生えるのを否定することはできません。
とはいえ、外出を敬遠してしまうと、閉じこもりや廃用症候群(はいようしょうこうぐん)が進んでしまう可能性もあります。

外出を楽しむためにも、トイレのことはできるだけ準備を万全にして、事前に不安を軽減しておくことが大切です。
ご本人が普段、どのように用をたしているのか、身体の状態も考慮しながら、外出先でどうやって対処するかをシミュレーションしておきましょう。

トイレで用をたせる方なら、移動中や到着した場所のトイレがある場所を事前に調べておきます。
移動中も「ここにトイレがあるからね」「先にここでトイレを済ませておこう」など、先回りして声をかけておくと、ご本人も安心します。
どこにトイレがあるかわからない、間に合わないかもしれないという心配をかけないようできるだけ配慮してあげてくださいね。

歩行が困難で、車いすや杖などを利用している方は、トイレまでのルートの確認が重要です。
屋外ですと、砂利や土など、地面の状態によっては車いすが通りにくかったり、歩きにくかったり場合があります。
トイレまでどうやって移動するか、多目的トイレはあるかなども調べておきましょう。

また、普段はパンツで過ごしている方も、外出先ではおむつやリハビリパンツを使用するのもひとつの方法です。
失敗で恥ずかしい思いをするのを防げます。
身体の状態にあわせて上手に使い分けましょう。


● 「何が起きるか?」を想像して準備しましょう
外出先での不安は、人それぞれ違います。
たとえば人工呼吸器を使用している方なら、「途中で酸素が足りなくなったら?」「内蔵バッテリーが切れたら?」など、考えられるリスクをあげて、対応策を考えておく必要があります。

医療ケアが必要な方は特に、「もしもこういうことが起こったら?」を慎重に検討しましょう。
かかりつけ医や訪問看護師などにも相談して、いざというときの準備を整えておくことが大切です。

医療ケアが不要な方でも、「何が起きるか?」は考えておかなくてはなりません。
疲れたときは無理せず休憩したほうが良いので、ベンチがある場所を調べておく、ちょっと腰掛けられる簡易いすや、シルバーカーを持って行くといった対応策を検討しておきましょう。

このほか、途中で必要な水分を準備する、交換用の尿パッドを多めに用意する、緊急連絡用に携帯電話を忘れずに持つ...など、外出先であわてないよう、事前に持ち物を準備します。

同行するご家族は、とっさのときも対応しやすいよう、動きやすさを重視した服装を心がけてください。
ななめ掛けバッグやリュックサックなどを使用して両手をあけておくのもポイント。
靴を脱ぐ予定があるなら、脱ぎ履きしやすい靴のほうが安心ですね。

長時間の遠出でも、ご近所のお散歩でも、考えておくべきことは基本的に同じです。
「何が起こるか」をイメージして準備することが、外出先でのスムーズな行動にもつながります。


● 外出を控えたほうが良いのはどんなとき?
要介護者の方の外出は、ご本人の体調と相談しながらになります。
お出かけ前には、体温、顔色や食欲、排泄(はいせつ)など、普段と違う様子がないかを確認しておきましょう。

無理しないのが大原則です。
しかし、ご本人が「どうしても行きたい」と願っている外出なら、なるべく実現してあげてほしいと私は思います。
前から楽しみにしていたお孫さんのピアノの発表会や、ご親戚同士の集まりなど、「今日しかない」「次はもうないかもしれない」というのであれば、多少の無理を押しても連れて行ってあげたいものです。

たとえ雨が降っていても、体調が万全ではなくても、どうしても行きたい場所はあるものです。
健康な人なら、自分で考えて行動を取捨選択しています。要介護状態の方でも、ご自身の意志で「リスクがあっても行く」という選択肢を選ぶことがあって良いのではないでしょうか。

大切なのは、ご本人の気持ちです。
ご本人の希望をなるべく優先できるのは在宅療養生活ならでは。

まずは「行く」ということを決めて、その場合のリスクと対応策を考える。
そして、できる限りの準備を整える。
これらが在宅療養生活をしておられる方の外出のポイントです。

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