[ビジネスケアラーシリーズ(3)]仕事と介護を両立するために

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[ビジネスケアラーシリーズ(3)]仕事と介護を両立するために

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

事と介護を両立するために整理してみましょう。 介護は突然はじまるもの。
急にビジネスケアラーになってしまった...という方が少なくありません。

本来ならば、仕事と介護のバランスを整えたり、ご本人の意向や自分の気持ちをすり合わせたりするなどしながら介護のプランを練っていきたいものです。

しかし現実には時間的な余裕も、気持ちのゆとりもない状態で突然、介護がはじまります。

今回取り上げるテーマは「ビジネスケアラーに知ってほしい仕事と介護の整理術」です。
ぜひ仕事と介護を両立させるヒントに役立ててください。


【あわせて読みたい!シリーズ「ビジネスケアラーのリアル」】
・仕事を続けるべき?辞めるべき?
・在宅介護は8割がたうまくいかない


● なぜ、仕事と介護が両立しないと思うのか
突然はじまる介護。
どこに相談したら良いのか、誰に相談できるのか、介護がはじまり、ただでさえ不安な状態なのに気持ちは重くなるばかりだと思います。

・ちゃんと考えたり調べたりする時間がない
・そもそも介護のことをよく知らない
・職場や知人に相談しにくい
・今後どうなるかが想像できない

多くのビジネスケアラーがこのような状態に突然遭遇します。
何とかして介護サービスとつながりを持ち、仕事と介護を行う日々が続き、慌ただしくケアプランが決められていきます。

「親の介護がはじまったのだから、自分ががんばるしかない」
「大変だけど、親の介護から逃げるわけにはいかない」

そんなことはありません。
苦しい気持ちや疲労をひとりで抱え込まなくても、仕事と介護を両立する方法はあります。


ビジネスケアラーが、まず持ちたい視点。
それは介護者である自分自身の生活や気持ちにも配慮すること。

「要介護者ご本人はどんな生活を望んでいるのか」
「自分はどこまで介護に関われるのか」

ケアプランを決めるうえで非常に重要な視点です。


● 状況を書き出して思考を整理
どんな慌ただしくても、いちど立ち止まることは大切です。
「何が大変なのか」をじっくり考えてみましょう。

冷静に状況と思考を整理するために、「書き出してみる」という方法があります。
「事実」と「自分の感情」を混同しないために、それぞれ区別して書き出すことがポイントです。

【ステップ1:現在の状況を書き出す】
医師やケアマネジャーから聞いた本人の現在の身体状況や、利用している医療・介護サービスなどを書き出してみる
【ステップ2:本人の意向を書き出す】
本人が実現したい生活、したいこと・したくないこと、今の気持ちなどを書き出す
【ステップ3:自分の状況を書き出しておく】
介護にどれくらいの時間がかかっているか、介護の影響で生じている職場や業務での問題点は何か、日常生活での支障などを書き出す
【ステップ4:自分の気持ちを書き出す】
介護が必要になった親への想い、このまま介護が続いた場合の不安、現状で苦痛に感じていることなどを書き出す

【ステップ1】【ステップ2】は、想像で書くのではなく、ご本人やケアマネジャーにも話を聞いてみることをおすすめします。
客観的な視点を持つことによって、自分の「思い込み」に気づくかもしれません。

たとえば親の介護には、子としての「想い」が過分に投影されてしまうことがよくあります。
「こうしないとお母さんがかわいそう」「本来こうあるべき」といった考えを前提に決めているとしたら、相手が本当にそれを望んでいるのかという視点が抜け落ちてしまいがちです。
もしかすると、自分の価値観や考えを優先して進めてしまったこともあるのではないでしょうか。

また【ステップ4】の自分の気持ちはとても大切です。
親への恩や子としての義務感だけで介護に向き合ってもうまくいかないもの。
正直な自分を探してみてください。

ネガティブな気持ちを否定する必要はありません。
親子だからこそ、割り切れなくて苦しいのです。
そういう自分を認めてあげて、そこから「どうすれば良いか」を考えることが大切。

ビジネスケアラーを続けるなら、自分のメンタル面にも配慮してください。
ここを無視すると、あなたの気持ちの逃げ場がなくなってしまいます。
やり場のないイライラやモヤモヤを持て余すことがあるなら、仕事と介護のバランスを見直すことも検討しましょう。


● ビジネスケアラーは介護にも「仕事目線」を
「親のことなのだから自分ががんばってやるしかない」と思うのは誤解です。
ビジネスケアラーは、「ひとりで抱え込まない」ことを常に意識すべき。

仕事だって、ひとりで抱え込んでいたら効率が悪いですし、成果にも限界がありますよね。
介護も同じです。

今、自分が抱えている介護負担を他の人に任せて分散することを考えてみてください。
かかりつけ医や訪問看護師、ケアマネジャーや訪問ヘルパー、デイサービスやデイケアなど、在宅介護生活に関わっている人々は、あなたを支えるひとつのチーム。


たとえばチームをまとめる立場、チームをマネジメントする立場を演じてみてはいかがでしょうか。
チームに対して何をすれば良いか、見えてきませんか?

まず、あなたのチームの目標や課題を明確にしましょう。
次に専門的な知識がある人と話し合って、効率的な方法を検討してください。
それぞれの作業の適任者に作業を依頼しましょう。

あなたはチーム作業の状況や進捗を見る役割です。

わからないことや大変だと感じていることがあれば、ケアマネジャーにどんどん相談して知恵を貸してもらってください。
たとえば排泄(はいせつ)介助や入浴介助、食事介助などすべての身体介助をプロに任せる方法もあります。
家族の負担が大きい生活面の困りごとに関しては、低料金で利用できる自治体のサービスなどもいろいろあります。

重要なのはあなたが今、大変だと感じていることを解決してくれる、最適な人やサービスとつながること。
チームのメンバーを強化していくことで、仕事と介護の両立はどんどんしやすくなっていくはずです。


また、仕事を続ける以上、職場の理解を得ておくことが必要です。
最初のうちは、職場に詳しく伝えなくても何とかなるかもしれません。
しかし、介護の平均期間は10年前後。

その間にも状況が変わり、負担が増える可能性もあります。
ギリギリのところでがんばり続けていたら、いつか介護離職を考えるほど追い詰められてしまうかもしれません。

そうなる前に、上司や同僚、人事部などに相談して、両立しやすい環境を整えておくべきだと思います。
言いにくいこと、恥ずかしいことと考えがちですが、そんなことはありません。
日本の人口構造上、これから介護が必要な高齢者がどんどん増えることは明白です。
誰もが他人事ではありません。

仕事と介護の両立は企業にとっても重要な課題。
利用できる社内制度や働き方の選択肢など、一緒に考えてくれるはずです。
早めに状況を伝えて職場の理解を得ることも、ビジネスケアラーを継続するために欠かせないことと心得ましょう。


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現状に納得できないときはケアマネジャー変更も検討してみては。

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