ポイント解説!介護報酬改定でサービス利用者への影響は?
こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。
介護報酬を理解するには介護保険制度の知識が必要なため、利用者やその家族には難しく感じるかもしれません。
しかし、今後の介護サービス利用に直接かかわる部分については、少し詳しく知っておく必要があると思います。
今回は、2024年の介護報酬改定でサービス利用者にどのような影響があるかをまとめました。
改定の理由を理解して、介護サービスを効果的に活用するための参考にしてください。
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介護報酬改定で介護サービスはどう変わる?
● 介護職員の処遇改善が必要な理由
2024年の介護報酬改定では、利用者に直接影響する重要な変更がいくつか施されました。
そのひとつが介護職員処遇改善加算の見直しです。
介護職員処遇改善加算は、過去の改定でも重要な柱のひとつで、これまでも段階的に実施されてきました。
改定の背景には介護職の賃金の低さと人手不足があげられます。
一般的に「大変な仕事」というイメージがある介護職。
しかしながら賃金水準はほかの業種と比べて低いとされます。
働き手が集まりにくい状況が続いているだけでなく、低賃金から介護職を離れる人も少なくありません。
なぜ介護職の待遇が改善されないのか。
介護サービス事業は、介護保険制度により成り立っています。
事業所の収入源である利用者からの料金も、介護保険制度の基準によって受け取れる介護報酬が限られています。
介護サービス事業は総じて収益性が低く、職員の給与をあげにくい傾向にあるのです。
我が国の高齢化はますます進んでいきます。
介護業界の人手不足が続けば、いずれは介護サービスの質や利用者の安心などにも影響を与えてしまうでしょう。
介護職の給与や待遇を改善することで、職員が安心して長く働き続けられる環境を整え、介護の質を向上させることが改定の狙いです。
● 介護報酬改定で利用者負担が増える?
2021年の介護報酬改定ではさまざまな処遇改善加算が導入され、職員の給与引きあげが進められましたが、主に賃金の改善が中心でした。
2024年の改定でも、介護職の賃金改善に重きが置かれ、2024年度に2.5%、2025年度にさらに2.0%のベースアップへと着実につながるよう、加算率の引きあげがおこなわれています。
加えて、事業所にはキャリアパスの明確化や研修制度の充実が求められるようになり、介護職の質の向上や定着につながる職場環境全体の改善が目指されています。新たな加算段階が設けられ、より高い要件を満たす事業所には追加の加算が支給されることも特徴です。
加算はそのまま利用料に反映され、自己負担が増えることになります。
提供されるサービスはこれまでと同じなのに急に料金があがったら、不満を感じる方もいるかもしれません。
サービス料金の値上げは介護職員の処遇改善に還元するためのもの。
介護職員の処遇改善は、これからますます需要が高まる介護サービスを維持するために欠かせないということを理解していただけたらと思います。
介護職員の処遇改善ができれば、介護サービスの質もあがるはずです。
加算の要件には質向上につながるものも多く含まれます。
長期的に見れば利用者の方々にとっても良いことであり、今はまだ介護が必要ない方にとっても将来の安心につながります。
● 福祉用具選択制導入の影響とメリット
2024年の改定では、一部の福祉用具を「貸与」にするか「販売」にするか選択できる制度も導入されました。
選択制の対象になる福祉用具は、「固定用スロープ」「歩行器」「単点杖」「多点杖」の4種類。
これらが必要になったとき、レンタルするか、買い取るかを利用者が選択できるようになったのです。
これまで介護保険制度で決められた福祉用具はそれぞれ品目によって貸与と販売が決められていたので、介護保険の給付を受けるためには利用者が自由に選ぶことはできませんでした。
新たに選択制が導入され、利用者は自分の経済状況や身体状態にあわせて、最適な福祉用具を入手できるようになります。
そのために介護支援専門員や福祉用具専門相談員からしっかりと説明を受けたうえで、自分にあった福祉用具を選ぶことができるので、納得感を持って利用することができるようになるはずです。
また、貸与・販売後の定期的なモニタリングやメンテナンスも検討されており、状況の変化に対応したきめ細やかなサービスが受けられるようになることが期待されています。
今は4種類の福祉用具のみですが対象品目は広がっていくはずです。
お財布事情と相談しながら、自分の意思で福祉用具を選べる時代になっていくかもしれません。
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今回の介護報酬改定は、介護サービスの質と効率の向上を目指した施策がたくさん盛り込まれました。
利用者の立場からすれば自己負担額が増えることについつい目がいきますが、長い目で見ると介護保険制度を長く維持するために必要なことであり、将来的に利用者やその家族に多くのメリットがあることを知っていただきたいと思います。
質の高い介護サービスを提供し続けられるよう、私たちも努力していきます。
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