先進の介護グッズに学ぶ在宅介護の工夫

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先進の介護グッズに学ぶ在宅介護の工夫

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

「CareTEX2017(ケアテックス)」を訪れ、在宅介護の課題を解決するヒントを探します。在宅介護では、介護を受ける方の思いがけないケガや転倒、食べ物や飲み物の誤嚥(ごえん:誤って気管に入ってしまうこと)や窒息など、さまざまなリスクが存在します。
リスクを防ぐ方法のひとつが「適切な介護グッズや福祉用具の活用」です。

介護グッズや福祉用具の性能は、どんどん向上しています。
今回は、前回に引き続き、3月に開催された介護の展示会「CareTEX2017(ケアテックス)」で見つけた介護グッズのなかから、在宅介護にも活かせそうなものをご紹介します。

● 「移乗時の転倒」のリスクを軽減する移乗リフト
ベッドや車いすなどの間の「移乗(いじょう)」には、転倒のリスクがともないます。そして、最も介護者の負担となることのひとつです。介護を受ける方をしっかりと支える必要がありますが、介護者ひとりでは支えきれなかったり、無理な体勢によって腰を痛めてしまったりすることもめずらしくありません。

「CareTEX2017(ケアテックス)」では、移乗時の転倒や介護者の負担を軽減する、簡易移乗リフトをたくさん見かけました。

以前はリフトというと、ブランコのように身体を吊り下げて移動させるものをいいましたが、最近は座った姿勢からお辞儀をするように上半身を引き上げ、小さな力で安全に移乗できる構造のものが増えてきました。ボディメカニクスでもご紹介した、テコの原理が取り入れられています。私も試してみましたが、抱きかかえるように体を預けられるのでとても安心感がありました。

手動タイプや電動アシストタイプのもの、トイレでも使用できそうなサイズのものなど、種類もさまざま。
ほとんどのものに介護保険が適用されます。

移乗の介助は「力を要するもの」というイメージがありますが、介護現場では力任せに持ち上げる介助が見直されつつあります。
ボディメカニクスを活用して介助者の負担を減らす方法や、スライディングボードを使用する方法など、身体に負担をかけずに安全に移乗する工夫はいろいろあります。

介護を受ける方の身体の状態や介護される方の力量に合ったよりよい移乗の方法を、ヘルパーさんや理学療法士さんに聞いてみるのも良いですね。

長く介護を続けるためには、要介護者の方だけではなく、介護する方の安全や健康も非常に大事です。
安全性や負担軽減につながるものなら、新しいタイプの福祉用具を取り入れていくのも良いと思います。


● 困りごとを解決する技術開発の先端
「車いすから立ち上がるときは、ブレーキをかけて、フットレストを上げて地面にしっかりと足をついてから」。
これは車いすを利用するときの基本です。
けれども、ブレーキのかけ忘れや、うっかりフットレストを上げずに立ち上がろうとして転倒してしまう事故はよくあります。
特に認知症の方ですと、繰り返し自分で立ち上がってしまうことも多いため、介護する方は目を離せません。

そんな困りごとを解決する車いすがありました。
立ち上がろうとすると自動的にブレーキがかかり、フットレストが下がって地面につくようになっていて、安全に立ち上がることができます。
車いすでよくある事故を徹底的に考えて開発されていることが伺えました。

誤嚥(ごえん)防止の姿勢を保てる介護用ベッドを体験。ほかにも介護用ベッドもさまざまな種類がありました。
なかでも注目したのは、誤嚥(ごえん)性肺炎のリスクを軽減する介護用ベッドです。

在宅介護で「誤嚥(ごえん)性肺炎」を防ぐポイント」でもご紹介しましたが、嚥下(えんげ)機能が低下した方の食事は、姿勢、特に顎の角度が非常に重要です。

端座位(たんざい:いすやベッドの端に腰かけて両足を地面につける座り方)で食事をするのが理想ですが、寝たきりの方の場合は、介護用ベッドのリクライニングで調整しますね。
誤嚥(ごえん)を防ぐには、あごと首の間に指が3本分くらい入る角度が理想で、枕やクッションを使って調整するなどの工夫が必要です。

誤嚥(ごえん)性肺炎のリスクに注目して開発された介護用ベッドでは、背上げや足上げだけではなく、頭の角度を調整できる機能がついています。
要介護者の方の体に負担をかけず、誤嚥(ごえん)予防に適した角度をつくれるように工夫されていました。
ちゃんと目で角度を確かめられるので、誰でも安全な姿勢を整えることができます。

無理なく誤嚥(ごえん)しにくい姿勢が保てれば、食事だけではなく口腔ケアもしやすいですよね。
介護する方も負担もずいぶん減ると思いました。

どんなに注意していても何度も繰り返す、対策が見つからない...在宅介護にはさまざまな困りごとがあるものですが、多くの人が困っているからこそ、研究が進み、課題が解決されていくのだと思います。
「CareTEX2017(ケアテックス)」では、安全で安心して使える福祉用具にたくさん出会うことができました。


● 介護食は「安全」で「おいしい」ものを
味や見た目、食材に工夫されていて、健康な人が食べても満足できるような仕上がりでした。要介護者の方にとって、食事は楽しみであり生きがいです。
介護保険がスタートする前と比べて、高齢者や要介護者向けの食事は、健康な人が食べるものと変わらないくらいバラエティ豊かなものに広がりを見せています。

会場では、味や見た目、素材にこだわった介護食も多く見かけました。
外食産業も参入していて、おなじみの牛丼チェーンからは「やわらかタイプ」や「刻みタイプ」の食事が開発・紹介されていました。

やわらかく、とろみ具合もちょうどよくて飲み込みやすいものでした。
元気なときに食べ親しんだ味のものをまた食べられたら、いっそうおいしく感じられそうです。

要介護の方の食事は特別なものを...と考えてしまいがちですが、家族と同じメニューや元気なときに好きだったものを、どうやったら食べられるか工夫することが大事だと思いました。

最近はとろみ剤の種類も豊富で、「CareTEX2017(ケアテックス)」でも温度に関係なくサッと溶けるタイプや、とろみの調整がしやすいタイプなど、いろいろ見かけました。
食べられるものを限定しすぎず、いろいろなメニューで試してみてはいかがでしょうか。

介護に関わるグッズは、さまざまあります。
今は国をあげて超高齢社会に備えている時代、福祉用具も日進月歩で進歩し続けています。
使う、使わないかにかかわらず、新しい製品や情報を知ることが大切です。
介護の工夫やヒントが得られるはずです。

介護グッズや福祉用具を変えたり新しく取り入れたりすることで、解決できる問題がたくさんあります。
"もう少し良い方法"を諦めずに探してみてくださいね。

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