在宅介護で「誤嚥(ごえん)性肺炎」を防ぐポイント

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在宅介護で「誤嚥(ごえん)性肺炎」を防ぐポイント

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

「嚥下(えんげ)体操」で誤嚥(ごえん)を予防しましょう。前回は、「食べることで苦労している方へ」と題しては、食べることに何かしらの不具合をともなう「摂食嚥下(えんげ)障害」についてご紹介しました。

嚥下(えんげ:食べものや飲みものを飲み込むこと)に問題があり、食べものや飲みものが誤って気管に入ってしまうと、「誤嚥(ごえん)性肺炎」になってしまうことがあります。

誤嚥(ごえん)性肺炎は、高齢者の方にとって命の危険につながりかねない危険な病気です。
平成27年の人口動態調査によると、肺炎は死亡原因の第3位。肺炎で死亡する人の9割以上は75歳以上で、高齢者の肺炎の7割以上が誤嚥(ごえん)に関係していると言われています。

今はまだ、食べることには特に不具合がなく、元気に食事をしていらっしゃる方でも、誤嚥(ごえん)性肺炎は決して他人ごとではありません。

在宅介護で誤嚥(ごえん)性肺炎を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。
日常の予防対策と、万が一誤嚥(ごえん:食べものや飲みものが誤って気管に入ってしまうこと)してしまったときの対応策をご紹介します。

● 食事中の誤嚥(ごえん)を防ぐために気をつけたい5つのこと
年齢を重ねるにつれ、「食べる」ことに関わるさまざまな機能が衰えてくるため、「誤嚥(ごえん)」や「窒息」のリスクも高まります。

嚥下(えんげ)機能が低下した方の食事で気をつけたい重要なポイントは次の5つです。

1)姿勢
あごが上を向いた姿勢は、気管が開くため、誤嚥(ごえん)の可能性が高くなります。
うつむいて、あごの下に指が3本入るくらいの角度がベストです。できれば座って食事をしたほうが、誤嚥(ごえん)しにくくなります。
寝たきりの方も、介護ベッドのリクライニングをあげて上半身を起こし、必ず枕などで首の角度を調節しましょう。
また食事介助は、うつむく角度を維持するためにも、上からではなく目線と同じ位置から行ってください。

2)食べものの形態
食べやすさや飲み込みやすさは、嚥下(えんげ)能力によって人それぞれ違います。
ご本人に確認しながら、食事の形態や食べ方を工夫しましょう。
特にサラサラと気道に落ちやすい水分や汁物は誤嚥しやすいので、「とろみ」をつけるとよいでしょう。
また、水分そのものがゼリー状になったものも市販されています。「とろみ」をつけても飲み込みづらい場合は、ゼリーで水分補給すると良いでしょう。
他にも、べたべたと粘り気があってのどや口に残りやすいものや、水分が少なくパサパサするもの、固くて噛み切れないものなどは、嚥下障害がある方には食べにくいとされています。

3)口に入れる量
嚥下(えんげ)機能が衰えてくると、一度にたくさんの量をほおばると誤嚥(ごえん)しやすくなります。
1回で飲み込める量だけを口に入れるのが誤嚥(ごえん)を防ぐポイント。
食べものを飲み込んだあとに口の中を確認してみてください。
食べものが残っていたら、口に入れる量が多いのかもしれません。

4)適切な形のスプーンを選ぶ
大きすぎるスプーンや、深いスプーンは、口に含みにくく、誤嚥(ごえん)しやすくなります。
口のまわりの筋肉や舌の動きが弱っている方には、小さめで浅いスプーンのほうがおすすめ。
口元から喉のほうまで食べ物を送り込むのが難しい方には、口の奥まで食べものを入れられる柄の長いスプーンを利用します。

5)こまめな水分補給
唾液の分泌の少ないお年寄りの口の中は乾いています。食前に十分水分をとり、口を湿らせてから食事をしていただきましょう。
また、口や喉に食べ物が残っていると、それが誤嚥の原因になります。食べ物とお茶や水・ゼリーを交互にとっていただき、のどの残留物を押し流しながら食べると誤嚥(ごえん)防止に効果的です。
介護する方は「誤嚥(ごえん)しやすい食べもの」について正しい知識を持つことも大事です。
例えば、東京消防庁の調べによると、65歳以上の窒息や誤嚥(ごえん)の原因となった食べものの1位は意外なことに「おかゆ」です。

柔らかく、消化のよい「おかゆ」を主食としている方は多いと思います。
ただし、おかゆは「べたつく」という点では危険な食べ物になります。
また、やわらかく炊きすぎて水っぽいおかゆにも注意しなければなりません。水分の部分だけサラサラと気管に落ちこみ、誤嚥の原因になります。
おかゆのかたさや水分量など、嚥下(えんげ)機能にあった状態に調理しましょう。
飲み込んだときの様子をよく観察して、水分を摂るようにしてください。
「おかゆだから安心」という油断が一番危険です。


● 食前・食後にできる誤嚥(ごえん)性肺炎の予防対策
誤嚥(ごえん)性肺炎を防ぐためには、食べるため、飲み込むために使う身体機能が元気に働いている必要があります。
必要な機能を活性化させるために、介護施設や介護サービスなどで食事前によく行われるのが「嚥下(えんげ)体操」です。

<嚥下(えんげ)体操の手順>
1)深呼吸する
2)首の体操:左右を向く、首を傾けたり回したりして首をほぐす
3)肩の体操:両腕を上げ下げしたり、肩を回したりして、肩のまわりをほぐす
4)口の体操:口を大きく開けたり閉じたり、引き結んだりして唇の周辺の筋肉をほぐす
5)頬の体操:頬(ほほ)を膨らませたり、すぼめたりして頬の筋肉を動かす
6)舌の体操:舌を出したり、舌先で左右の口角に触れたりして、舌を動かす
7)声を出す体操:「パ」「タ」「カ」「ラ」の4つの音をはっきり発声し、口の動きや唾液の分泌を促す
8)咳をする体操:咳払いをして、誤嚥(ごえん)したときに咳で押し出す練習をする

深呼吸は食前だけではなく、食後にも効果的。
気づかないうちに誤嚥(ごえん)したものを押し出す効果があるので、食前食後の深呼吸を忘れずに行いましょう。

また、声帯をきたえることが誤嚥に対する防御機能を高めるのをご存知でしょうか?大きな声を出すこと、歌を歌うこと、おしゃべりを楽しむことが、安全に「食べる」ことにもつながるのです。
反対に、息がもれるような感じで声がしっかりと出ない方は、誤嚥性肺炎のリスクが高いということになります。ぜひ、普段から発声練習をすることをお勧めします。

また、食後には口腔(こうくう:歯と口の中のこと)ケアも大切です
食後、口の中に食べものが残っていると、誤嚥(ごえん)性肺炎になる可能性がありますから、口の中はできるだけ清潔に保ちましょう。

口腔ケアのあとは、十分な水分やゼリーを摂っていただくのもポイントです。
のどに食べものが残らないようにすることも、誤嚥(ごえん)性肺炎を防ぐために大切なことです。


● もしかして誤嚥(ごえん)!?誤嚥性肺炎に移行しないための対策
どれほど気をつけていても、誤嚥(ごえん)してしまうことはあります。
在宅介護で食事介助中にむせさせてしまうと、慌てがちですが、実は「むせる」ことは、決して悪いことではありません。
気管に入った異物を押し出そうとする身体の正常な反応ですから、誤嚥(ごえん)性肺炎にならないためには、むせることが大事なのです。

嚥下(えんげ)機能が衰えると、異物を押し出す反応も鈍くなるため、誤嚥(ごえん)したことに気づかないまま誤嚥(ごえん)性肺炎になってしまうことがあります。

食後しばらくたってから痰(たん)が増えたときや、のどがガラガラ言っているようなときは、誤嚥(ごえん)が疑われます。
そんなときは、とにかく早めに誤嚥(ごえん)したものを外に出すことが必要。
ポイントは、「痰(たん)を出す」ことです。
大きく息を吸って、ハッハッと鋭く息を吐き出すようにすると、より痰が出やすくなります。

うまく痰を出せなければ、咳払いをしたり、身体を動かしたりしてみましょう。
手のひらをお椀状に丸くして、背中全体をポンポンとリズミカルに叩く「タッピング」という方法もあります。
背中から身体の中を振動させ、痰を浮き上がらせるイメージ。強い力は必要ありません。
痛くないように力を加減してくださいね。

タッピングは、誤嚥(ごえん)予防になるので日常的に行うと良いでしょう。
誤嚥(ごえん)しても、ただちに誤嚥(ごえん)性肺炎になるわけではありません。
しっかり痰(たん)を出していただくようにすれば、誤嚥(ごえん)性肺炎になるのを防ぐことができます。

さて、誤嚥(ごえん)によって起こされる重大な危険としてあげられるのが窒息です。
食事中に声をつまらせたり、顔色が急に真っ青になったりしたら、窒息かもしれません。

このような時、まず咳ができるようなら、咳を出せるように促(うなが)します。
咳や痰(たん)をはきだすようにしても誤嚥したものを出せないときは、手のひらの付け根部分で、肩甲骨の中間あたりを強く叩く方法で異物を吐き出させます(「背部叩打法(はいぶこうだほう)」)。
このときは、タッピングとは違って力強く叩きましょう。
早いリズムで迅速に、怖がらず思い切り叩くのがコツです。

落ち着いて正しく対処することが、在宅介護では非常に大事ですので、ぜひ覚えておいてくださいね。

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