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親に優しくできない、あなたへ

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

画像「親に優しくできない」
そんな自分に苦しみ、戸惑ったことはありませんか?

悪い親ではない。
でも、「なんとなく性格が合わない」「あの態度がどうしても引っかかる」と思ってしまう。
親と向き合うたびにイライラやモヤモヤがわく。
冷たく接してしまう自分に嫌気がさす。

それは決して、あなたひとりだけの悩みではありません。
過去に感じた「嫌だったこと」が心の奥からよみがえり、どうして良いかわからなくなることは少なくないものです。

親に優しくできない自分を責めないでください。
自分を責めず、感情を整理するヒントをまとめます。

● 親に優しくできないのは、当然の感情
親との歴史を少し振り返ってみてください。

子どもの頃、いつも干渉されて息苦しかった記憶がある。
親が発した言葉に、今も傷ついている。
大人になってからも、親の価値観を押し付けられる。
認めてもらえなかった、否定され続けてつらかった。
必要な時に助けてもらえなかったことをずっと引きずっている。 などなど

多かれ少なかれ、誰の経験にもあるものだと思います。
親子間で積み重ねてきたことが心のトゲになって残るのはごく普通のことです。
決してあなたが冷たいわけでも、心がせまいわけでもありません。


● 感情に向き合う第一歩は「気づくこと」と「認めること」
「親に優しくできない」「そんな自分がイヤ」
イライラして思わず言ってしまったことに後悔したり、親に申し訳なさを感じたりして、自己嫌悪におちいってしまうことがあります。

でも、そんな感情を抱くのは、あなたが親を思いやる優しさを持っているからにほかなりません。

まずはそんな自分を認め、受け入れることからはじめてみませんか?
親と穏やかに向き合うのが難しいと感じるときは、心の整理をおすすめします。

・自分の気持ちと向き合う習慣を持つ
イライラしたときは、その出来事を紙に書きだしたり、スマホのメモに残したりしてみてください。
時間があるときに読み返して「どうしてこんなに嫌な気持ちになるんだろう」と自分に問いかけてみましょう。

過去に親との間で傷ついた出来事や、嫌だった言動に結びついていることが少なくないものです。
言い難い感情を言葉にしてみるだけでも、心が少しずつ整理されていくことがあります。

あなた自身が何に腹を立てているのか、何に傷ついたのか、見えてくるかもしれません。
自分が「優しくできない理由」を、自分なりに理解することが必要です。


・気持ちの切り替え方法をつくる
「親に優しくできない」という事実を認めることは、自己否定ではありません。
自分の心の声に耳を傾けるだけのこと。
あなた自身を大切にしてあげることにほかなりません。

親子関係が難しいと感じるのは、あなたが弱いからでも、未熟だからでもありません。
逃げずに踏ん張ってきたからこそ。

イライラしたり、落ち込んでいると呼吸が浅くなりがちです。
好きなことに没頭し、深呼吸をしたりして、気持ちを切り替える方法も良いでしょう。
「私は頑張っている」と声に出すと、気持ちを切り替えるスイッチになります。

イライラ・モヤモヤした感情に区切りをつける「行動」として、自分にあった「方法」を見つけてください。


● 自分を守る選択肢を考える
親の介護に向き合うとき、すべてを自分で抱え込む必要はありません。
ときには距離をあけたほうが、良い関係を保てる親子も多いものです。
私はそれぞれの親子に、それぞれ適切な距離があると思っています。

親との物理的・心理的な距離を取ることで、自分の気持ちが少しずつ楽になることがあります。
「離れる」ことは冷たいことではなく、お互いが平穏な気持ちでいるための手段である場合もあるのです。

ショートステイやデイサービスの利用だけではなく、親の親しい友人や近所の方などに家に来ていただき、お茶飲みやお喋りをしてもらったりして、親が笑顔になるような働きかけも良いと思います。
介護へのかかわり方はひとつではありません。

「顔を合わせる時間が長いと、どうしても険悪になってしまう」
「自分の生活や仕事が忙しく、最小限しかかかわれない」

それも正解です。
地域包括センターやケアマネジャーに相談すれば、最適なかかわり方の正解をアドバイスしてくれます。

自分の心の内や自分自身の事情を、第三者にはっきり伝える勇気を持ちましょう。
それを受け止めてくれる人が必ずいるはずです。
介護施設を利用して、すべての介護を委ねてしまうのも、ひとつの方法です。

介護が必要な親とうまくかかわっていくためには、できるだけ多くの人を巻き込むことがポイント。
頼れる兄弟がいなければ、公的なサービスや支援を上手に利用し、親の友人や近所の方などを頼っていくことです。

「介護は全面的な献身」という思い込みを手放しましょう。

* * * * * * * * *

どんな選択をしても、それは間違いではありません。
介護をすることも、介護をしないことも、どちらも正解です。

大切なのは、あなた自身を大切にすること。
介護は、自分の心に正直になって、親子関係を見つめ直す好機かもしれません。
悔いを残さないためにも、あなたが「親に優しくできない自分」という葛藤から解放されること切に願っています。


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