在宅介護家族のためのストレスコーピング

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在宅介護家族のためのストレスコーピング

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

深呼吸で気持ちをリセットしましょう。新型コロナウイルス感染症の再拡大が懸念されるなか、感染不安のほかにも介護サービスの利用制約など、介護するご家族の心理的・肉体的な負担が増しています。

在宅介護にはイライラやモヤモヤがつきものです。
コロナ禍の今は、常にも増してネガティブな感情のスイッチが入りやすくなっています。

ちょっとしたきっかけで、抑えきれないほどの怒りが湧いたり、先が見えない不安で押しつぶされそうになったりしたら、それはストレスのサイン。
「ストレスを感じている自分」に気づき、意識的にため込んだストレスを解放する必要があります。

今回は、メンタルヘルスの領域で取り扱われる「ストレスコーピング」を紹介します。
ストレスコーピングとは、ストレスのもとに対する対処行動のこと。

怒りや不安といったストレス反応が起きるのを抑えたり、軽減したりすることに役立てられます。
気軽に取り組めることをまとめましたので、介護に関わっている方は、ぜひご覧ください。

● コロナ禍の在宅介護がもたらす新たなストレス
在宅介護では、「介護される方がいうことを聞いてくれない」「介護する方と介護される方の関係性が良くない」「介護に時間や労力を取られて仕事や趣味が充実できない」など、さまざまなストレス要因があります。

ただでさえストレスが多い在宅介護ですが、今は新型コロナウイルス感染症へのストレスも加わっています。
不要不急の外出や人が集まる場を避けることは、感染予防のために大切なことです。
しかし、そのことによって「周囲の協力を求めにくくなった」「相談したり発散したりする場が失われた」など、閉塞的で孤独な状況になった方も多いはずです。

多くの人のサポートや助言を必要とする在宅介護において、コミュニケーションロスは新たなストレスになっていると言えます。


● ストレスに気づくための「切り替えスイッチ」を持つ
いらだちや怒り、憂うつな気分や無気力感、不安や恐怖による混乱...これらは、人がストレスを受けているときに見られる当たり前のストレス反応です。
ストレスが強いほど、過剰なストレス反応があらわれます。
コロナ禍の今は知らないうちに、イライラ・モヤモヤしている方が多いはずです。

このような感情や気分が沸き上がってきたときは、「私はいまストレスを感じているんだ!」と気づくことが肝心ですが、ネガティブな感情に飲み込まれているとき、人はなかなかそのことに思い至れません。

ですから、自分なりの気づきのきっかけ、「切り替えスイッチ」をつくってみましょう。
ネガティブな気持ちになったときに行う、具体的なアクションを決めてください。

「切り替えスイッチ」とは、たとえば
・イライラしてどうしようもないときは、洗面所に行って手を念入りに洗う
・お気に入りの写真を見る
・コーヒーを淹れる
などで良いのです。そのアクションをきっかけに、ストレスの渦中にいることを自分に自覚させてみましょう。

「ストレスフルな自分」に飲み込まれるのではなく、「ストレスフルな自分」に気づくことが大事です。
ストレスの原因や今の状況を変えることができなくても、気づくことができれば、「じゃあ、こうしよう」と対処行動(ストレスコーピング)に移ることができます。


● イライラ・モヤモヤから脱するための「ストレスコーピング」
ストレスコーピングには、大きく分けて2つの方法があります。

●情動焦点型ストレスコーピング
ストレスの原因に対して働きかけるのではなく、それに対して湧き上がる自分の感情の変容を促す方法です。
いわゆる「ガス抜き」や「気晴らし」をすることで、気持ちを切り替えることなどが該当します。

●問題焦点型ストレスコーピング
ストレスの原因そのものをなくしたり、変えたりして、ストレスを解消する方法です。
たとえば、「仕事が忙しい(ストレス)→仕事を減らそう!(解決策)」のように対処することなどが該当します。

在宅介護には、自分で変えることが難しい問題がたくさんあります。
問題焦点型のストレスコーピングより、情動焦点型のストレスコーピングのほうが手軽に取り組めるかもしれませんね。

外に出なくても自宅でできる「情動焦点型ストレスコーピング」を、いくつかご紹介します。

□ 電話して話を聞いてもらう
新型コロナウイルス感染症の影響で人に会うのがはばかられる状況ですが、電話なら面と向かって話す形ではないので何も問題はありません。
「誰かに愚痴をこぼしたって...」「たいした用もないのに電話するなんて...」と考えていませんか?

感情を表に出したり、誰かに聞いてもらったりすることは、気持ちの整理をつけて発散したいとき非常に効果的です。
電話する相手に困ったら、自治体やNPO団体などが実施している相談ダイヤルを利用する方法もあります。

□ なにかを「きれい」にする
カラオケや旅行など、外で気晴らしをすることが難しい今。
在宅でできる気晴らしの方法を考えてみましょう。
たとえば、部屋を掃除する、台所のシンクをピカピカに磨く、ごちゃごちゃしていた引き出しを整理する、クローゼットの中を断捨離するなど、なにかを「きれい」にすることがおすすめ。

掃除や整理整頓は、無心に取り組めて、やり遂げると気分がすっきりします。
気になっていたことがひとつ片付くと、気持ちが晴れるだけではなく、以前より良い環境をつくることもできて生産的です。

□ 深呼吸でリラックスする
ストレスフルな環境にいると、気づかないうちに呼吸が浅くなり、気持ちも内向きになります。
つらい、苦しい感情から離れたいときは、深呼吸で空気を体中にいきわたらせて心身をリラックスさせましょう。

深呼吸のポイントは、最初に息を吐き切ること。
おなかをへこませながら口から「フーッ」と息を吐き切ります。
吐き切ったタイミングで鼻から「スウッ」と吸い込むと、空気をたくさん取り入れることができます。「吐く」を口で細く長く、「吸う」は鼻で勢いよく...を意識してみてください。
5分ほど続けると、体も心もリラックスできます。
腹式呼吸がしやすい仰向けでの深呼吸もおすすめです。

□ 思いっきり泣ける映画を見る
涙を流すことは、ストレス発散の効果が高いと言われています。
ただし、自分のつらさのためにひとり涙すると、余計につらさが募ってしまうかもしれません。
感情移入できる「泣ける映画」を鑑賞して、しばし現実のつらさを忘れましょう。

自分とは違うものに共感することがポイント。
ストレスがもたらすネガティブな感情から距離を置くことができます。
「笑う」ことも「泣く」のと同様に、ストレス解消に向いています。
コメディ映画やお笑い番組などで気持ちを切り替えてもいいでしょう。
自分が「泣ける」「笑える」ツボを、この機会にあらためて見つけてみてはいかがでしょうか。
在宅介護にストレスはつきものですが、自分のココロを理解して切り替える方法を探しましょう。

どんな気持ちで介護をするのかは、あなたしだい。
気持ちが変われば、見えてくる世界も変わります。

これならできそう!と思うものがあれば、ぜひ実践してみてくださいね。

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