在宅介護で役立つ親子のコミュニケーション術

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在宅介護で役立つ親子のコミュニケーション術

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

お互いの本音を語り合ってみましょう。介護は突然はじまるものです。
本来は介護がはじまる前に話し合っておきたいテーマがあります。

・どんな在宅介護を望んでいるのか
・優先したいことは何か
・予期せぬ事態が起きたとき、どうしたいのか

これらは介護がはじまったあとでも決して遅くありません。
親子でお互いの本音を語り合ってみましょう。

親御さんが親御さんらしく、あなたがあなたらしくいられる在宅介護の新たな指針になるはずです。

「今さらあらたまって聞くのも難しい」という方のために、未来志向な会話のきっかけづくりや、親の本音や希望を聞き出すコツをまとめます。

● 「家族がいちばんわかっている」の間違い
介護が必要になったばかりのときは、「できなくなったこと」を改善することを目標にケアプランが決められていることがあります。

たとえば、「安定して歩けるようになる」「毎日3食、バランスの取れた食事を摂る」といった目標。

果たしてその目標は、誰のためのものでしょうか。
親御さん本人が希望したことですか?
それともあなたが「そうなってほしい」と願っていることですか?

・親御さんが今できないことでどんな問題が生じているのか。
・困っているのは誰なのか。

親の本心と子の願う在宅介護のかたちは異なることがあります。
「車いすでも良いからのんびり好きなことをして過ごしたい」
「時間どおりにごはんを強制されるより、好きなときに好きなものを食べたい」
少し立ち止まって考えることで、こうした親御さんの本音に気づくことができるかもしれません。


● 「やりたいこと」「やりたくないこと」をズバリ!聞いてみる
自分がどんな生活を送りたいのか。
目標を実現した先にどんな未来があるのか。

イメージを持てないまま、ケアプランの通りに決められた日常生活を繰り返すのは、決して楽しいことではありません。
目標がなければ、リハビリはつらいだけ。
介護サービスの介入で、家族はプロの目がある、プロの手がある安心感を得ますが、介護を受けるご本人は自分のペースや生活リズムを乱されるような窮屈さを感じる人もいるでしょう。

「できないことをできるように」ではなく、ご本人にとっての「やりたいこと」「やりたくないこと」の視点で、介護生活を見直してみてください。

「何かしてみたいことはある?」
「今、イヤだと思うことはある?」

と聞いてみると良いと思います。

「わがままを言ったら子どもに迷惑をかけてしまう」「こんな体になったらどうせ何もできない」と、取り組む前にあきらめて本心を語らない方もいます。

それでも折に触れて、繰り返し尋ねてみましょう。
「もう一度、旅行に行ってみたい」「デイサービスでお風呂に入るのはイヤ」といった言葉が出てくるかもしれません。

無謀に思える目標でも、ご本人が「やりたい」と口にすれば実現する可能性や方法はあります。
がんばる理由があれば、リハビリやデイサービスにも意義を見いだせるでしょう。

ご本人が「やりたくない」と言うことにも、しっかり耳を傾けてください。
そのうえで本当に必要なことなのかどうかを、「子の願い」と「親の気持ち」を区別しながら話し合うことがポイントです。

また、「やりたくないこと」をやらないことでどんなデメリットがあるのかも、きちんと伝え、共有しましょう。

「今の身体状態で家のお風呂は危ないし、私だけでは介助できないよ」
「家でゆっくりお風呂に入れるようになりたいなら、そのためのリハビリを頼んでみようか」

など明確な目標やがんばる意欲につながるかもしれません。


● 親子の話し合いに「エンディングノート」を活用
エンディングノートとは、自分の価値観や希望を残しておくためのノート。
自分の考えを整理できるだけではなく、自分の意思を周囲の人に理解してもらう役割も果たしてくれます。

エンディングノートは本屋や文房具店などで購入でます。また、インターネット上でもエンディングノートに書き記しておきたい項目がいろいろ公開されていますから、それを利用しても良いでしょう。

親にだけ書いてもらうとなるとハードルが高いかもしれませんが、介護者であるあなたも一緒に自分のエンディングノートをつくるとなればお願いしやすいはず。

「私も書いてみよう」
「私はこう思うけれど、お母さんはどう?」

このように自分の考えを伝えながら進めていくと、親御さんも本心を口にしやすいはずです。

よく知っているはずの親が自分と異なる価値観を持っていることに気づいたり、自分自身の気持ちを見つめ直したりするきっかけになるかもしれません。

一気につくりあげるのではなく、1日2~3項目ずつで良いので、お互いの話に耳を傾けながらのんびりエンディングノートを埋めてみてはいかがでしょうか。

進めていくうちに、最初に書いたことを変えたくなることもあるはずです。
エンディングノートは一度つくったら終わりではありません。
状況に応じて考えは変わるものです。
エンディングノートを通じて「将来」のことを考える習慣を持つだけでも、心の準備や備えができると思います。

ノートに埋める内容も大切ですが、埋めるために考える、整理する、話し合うプロセスこそが親御さんらしさ、自分らしさを深掘することになり、価値観や希望を具体的にどう大切にしたらいいかのヒントになるはずです。

双方がストレスになるような、望まない介護生活を回避するために。
悔いのない介護をするために。
ぜひエンディングノートで親御さんと心の交流をはかってみてくださいね。


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