排泄(はいせつ)の自立に必要なことは?

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排泄(はいせつ)の自立に必要なことは?

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

端坐位(たんざい)とつかまり立ちができれば、排泄(はいせつ)の自立は叶うはずです。排泄(はいせつ)は、人間の尊厳にかかわること。
トイレはできるだけ人の手を借りず、ひとりで落ち着いて済ませたいと考える人が多いはずです。

今は「ひとりでトイレ」が難しい方も、訓練しだいで再びトイレでの排泄(はいせつ)が可能になるかもしれません。
排泄(はいせつ)の自立に向けた具体的な方法をまとめます。

● トイレで排泄(はいせつ)をする意義
要介護状態になると、さまざまなことに人の手が必要になります。
「自分でトイレに行くことができない」「ひとりでトイレに座っていることができない」などの理由で、おむつに頼らざるをえない場合もあるでしょう。

介護する側にとってはトイレの代替として合理的ですが、本人にとってはつらいものです。
おむつをしていることが当たり前になってしまうと、生きる気力まで損なわれてしまうこともあります。

排泄(はいせつ)の自立は、人間にとってとても大事なことなのです。
「ひとりでトイレ」が可能になれば、介助の負担も楽になり、一緒に生活する家族にとっても嬉しいことです。

便座に腰かけた姿勢は、排泄(はいせつ)をするうえでも理に適った姿勢です。
腹圧をかけやすく、直腸と肛門が下を向くので、便を排泄(はいせつ)しやすくなります。
ベッドでの仰臥位(ぎょうがい、「あおむけ」のこと)は、腹圧がかけにくく便を排泄(はいせつ)しにくいものです。
また仰臥位(ぎょうがい)は、尿も出し切りにくいため、膀胱(ぼうこう)に尿が残って膀胱(ぼうこう)炎を引き起こすこともあります。

おむつで排泄(はいせつ)する生活を続けていると、排泄(はいせつ)のための機能が衰えて、尿意が分からなくなること、マッサージや摘便をしないと排便できなくなることが少なくありません。

排泄(はいせつ)の自立が非常に大事だということを理解していただきたいと思います。
たとえ寝たきりでも、トイレで排泄(はいせつ)することを諦めないでください。


● 排泄(はいせつ)の自立に必要な「15分の端坐位(たんざい)」と「30秒のつかまり立ち」
トイレに入ってゆっくり排泄(はいせつ)するには、まずひとりで座っていることが条件です。
「端坐位(たんざい)」と呼ばれる座り方が、排泄(はいせつ)に適した姿勢。

端坐位(たんざい)とは、イスやベッドの端に腰かけたときの姿勢と同じです。
膝が90度に曲がって、足の裏がしっかり床をとらえていることがポイント。
排泄(はいせつ)に時間がかかる方でも、15分間の端坐位(たんざい)の姿勢で保つことができれば、誰にも邪魔されずひとりでトイレに集中することができるでしょう。

また、トイレ介助をおこなう人のために「30秒のつかまり立ち」ができることが理想です。
トイレ介助をしたことがある方ならご存じだと思いますが、いちばんの難関はズボンの上げ下ろしとおしりをきれいに拭くこと。

ひとりで立つ力がない方を支えながら、ズボンを引き下ろしたり、上げたりするのは大変な労力ですし、トイレットペーパーやおしり拭きを取るのも一苦労です。介護のプロであるヘルパーでも、ひとりでは難しいこともあるくらいです。

本人の力で30秒だけでも立っていられれば、介助の負担は激減します。
手すりなどの支えにつかまって、30秒間立った姿勢をキープすることを目指しましょう。


● 「端坐位(たんざい)」と「つかまり立ち」の練習は気軽にできる
ベッドに寝ている時間が長い方も、日中はできるだけ上体を起こし、端坐位(たんざい)になる練習をしてみましょう。
電動の介護ベッドを使用している方も、途中までは電動で頭の方を挙上し、ベッドサイドレールにつかまりながら起き、最後はベッド面から背部を離し、サイドレールにつかまり端座位(たんざい)になる。
テレビを見ているときに端坐位(たんざい)を保つだけでも訓練になります。
端座位(たんざい)がとれない寝たきりの方でも上体を起こして背中にクッションなどで支える姿勢をとるだけでも訓練になります。
ベッド面から背部が離れることで、背部の皮膚状態の観察や清拭も可能となり、仰臥位(ぎょうがい)の時よりも深呼吸による空気の取り込みもしやすくなり、肺炎予防にもつながります。
膝を曲げた角度が90度になっていて、足裏全体がしっかり床について足首が90度になっていると安定します。座りながら足の指に少し力を入れたりするのも良いでしょう。

体の負担にならないよう、少しずつ時間を延ばして「15分の端坐位(たんざい)」を目指してくださいね。

着替えるときにちょっとサイドレールにつかまって立っていてもらうなどすれば、つかまり立ちの練習も日常生活に取り入れることができます。
膝折れしてしまうことがあるので見守りやサポートは欠かせませんが、移動が必要なときや、日常のケアの合間に、つかまり立ちに挑戦する時間をつくってみてはいかがでしょうか。

端坐位(たんざい)やつかまり立ちを意識してやってみると、足の裏、足の指が「踏ん張る」という重要な役割を果たしていることがわかります。
しっかり床をとらえるためには、足首、足の指の関節を軟らかく保つことが重要です。
足首、足の指のマッサージなども取り入れてみてくださいね。

端坐位(たんざい)とつかまり立ちは、排泄(はいせつ)の自立に本当に大切なことです。


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