後悔しない老人ホームの選び方
こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。前回から「老人ホーム」をテーマにお届けしています。
シリーズ1回目は、老人ホームへの入居を考えるきっかけについてまとめました。
今回は、老人ホームの選び方について。
老人ホームは種類が多いこともあり、「どのホームが良いか」で悩む方が多いようです。
あちこち見学に行っても、どこもそれぞれの良さがあり決めかねている。
入居を決めたものの、本当にここで良いのか迷うこともあるでしょう。
老人ホーム選びは、何を決め手にしたら良いのでしょうか。
前回に引き続き、セコムグループの介護付有料老人ホーム「アライブ」の入居相談室 室長 前島健司さんと、ケアサービス室 課長 藤田祐子さんに「老人ホーム選びのポイント」を聞きました。
【あわせて読みたい!「在宅介護と老人ホーム」シリーズ】
・老人ホームへの入居を考えるのはどんなとき?
● 介護付有料老人ホームの費用相場は?終の棲家となる高齢者向けの住まいや施設は年々増加傾向にあります。
要介護の方が入居できる施設としては、「介護付有料老人ホーム」「認知症高齢者グループホーム」、公的な施設として「特別養護老人ホーム」などがあります。
どの高齢者施設を選べば良いのか、前島さんに聞きました。
「特別養護老人ホーム、いわゆる特養は要介護3以上の方を対象とした施設です。
公的な施設なので、費用は安いですが、入所判定があるので申請してすぐに入所できるわけではありません。
待機者の多さは徐々に解消されてきてはいますが、それでも一定の入所待ち期間があることがほとんどです。
グループホームは認知症の方が共同生活をしながら自立した生活を営むための施設。
認知症に特化した手厚いケアが受けられますが、医療や看護スタッフの配置が義務ではないので、医療的なケアが必要な方は入居できないこともあるようです。
『手厚い介護が必要で、少しでも早く安心できる施設に入居したい』というケースでは、介護付有料老人ホームを探されることが多いのではないでしょうか」
介護付有料老人ホームは民間の施設なので、気になるのは費用。
前島さんに費用相場についても聞きました。
「運営会社によって費用にはかなり差がありますが、一般的に人員配置が手厚く設備が充実しているほど高額になる傾向があります。
ホテルのような設備を備えた高級な施設もあれば、年金の範囲で入居できる低価格な施設もあり、価格帯は非常に幅が広いです。
費用としては、利用料を一括で前払いする方式や、入居時に一時入居金(前払金=家賃相当)を支払って、利用料を毎月支払う月額払い方式などがあります。
一括払いでも月額払いでも、利用料とは別に管理費や光熱費、食事代などを毎月支払うことが多いので、利用料だけで算定するとまったくお金にゆとりがなくなってしまうこともあるようです。
『トータルでどれくらいかかるか』をしっかり把握し、資金計画を立てたうえで施設を選ぶことが大切だと思います」
民間の老人ホームは、運営会社が利用料を決めます。
どこまでのサービスが利用料に含まれるかもホームによって異なるのが実際のところ。
資料やホームページの情報だけではわからないことも多いので、実際に施設を見学した際に利用料以外で具体的にどのような費用がかかるのかを確認し、無理なく入居できる老人ホームを選びましょう。
● 老人ホームは「近さ」ではなく「通いやすさ」で選ぶ
費用面以外では、どのような基準で老人ホームを探せば良いのでしょうか。
前島さんは、「立地が重要」だと言います。
「ご家族の通いやすさで選ぶ方が多いですね。
ご自宅の近くであったり、仕事場の近くであったり、あとはお孫さんの家の近くだからという理由でアライブを選んだ方もいらっしゃいました。
単純な近さではなく、『通いやすさ』であることがポイント。
車移動が多いのか、公共交通機関での移動が多いのかでも、選ぶ施設が変わってくると思います。
まずはご家族が『通いやすいエリア』の目星をつけ、そのエリアにどのような高齢者施設があるのか、費用面で折り合いがつくのはどこかといったことから絞り込んで、見学に行く施設を決めると良いのではないでしょうか」
介護付有料老人ホームは面会時間などの制限が少ないので、会社帰りにちょっと顔を見に行くといったことも可能だそう。
みんなが気軽に足を運べる場所にあるホームなら、「おじいちゃん・おばあちゃんが住む新しい家」として家族や親族が集う実家のような場所になるかもしれません。
● 老人ホーム選びの決め手になるものは?老人ホームを探しはじめたばかりのときは、ホームごとにどのような違いがあるのかわからないものです。
施設の新しさやきれいさに目が行きがちですが、終の棲家になるかもしれない場所で見るべきはうわべではありません。
どのような部分に注目すれば良いのか聞きました。
「今は新しい有料老人ホームがどんどん増えていますが、できて間もないホームならどこも施設がきれいなのは当然です。
しかし、建物や設備が古くても掃除が行き届いていたら、そこを意識しているスタッフが多いというあらわれ。
介護付の老人ホームは『人』に支えられている部分が多いので、清掃レベルは良いホームを見分けるポイントのひとつですね」と前島さん
藤田さんもこう続けます。
「老人ホームは、入居者の方々の『住まい』です。
とても大切なことなのですが、この観点が抜けているホームが少なからずあることも事実。
自分が暮らす家で、ものが出しっぱなしになっていたり、掃除が行き届いていなかったりしたら、どう感じるでしょうか。
住まいではなく、介護スタッフが働く作業場のようなホームでは、スタッフが取りやすい位置にものが置かれているなど、スタッフの動線上都合の良い配置になっていることがあります。
入居者の方が移動する際に危なくないか、生活の場として見苦しくないかなど、想像力や配慮が欠けているのではないでしょうか。
ゴミが落ちているなどもそうですし、カウンターの上にものが出しっぱなしになっている、テーブルの上が片付いていないなどは、わかりやすいチェックポイントのひとつですね。
このあたりは見学したときにホームのレベルがよく見えるところだと思います」
老人ホームは、あくまで生活の場であり、住まい。
見極めが難しければ、「自分ならここで何泊も過ごせるか?」「自分が住むとしたら何が気になるか」という感覚で施設内を見て回ってほしいと教えてもらいました。
在宅介護でもそうですが、介護スタッフの意識の高さは、そのまま利用者の方の生活の質に直結します。
そして、気遣いや心配りは細部に宿るものだと私は考えています。
入居者の方への接し方、言葉遣いなどからも見えてくるものがあるでしょう。
「自分だったらどう感じる?」を意識しながら見学して、ここなら...と思える老人ホームを探してみてくださいね。
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