[悔いのない介護(2)]介護家族の「心の支え」をつくるには
こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。
読者の体験談から「悔いのない介護」のヒントを紹介しています。
初回となった前回のテーマは「本人の意思確認」。
今回のテーマは、介護の担い手である介護家族の「支え」について取り上げます。
在宅介護は、大変さの連続です。
つらい状況に介護家族の心が折れそうになることもあると思います。
在宅介護を担う介護家族が疲弊したとき、支えになるのはどのような存在なのでしょうか。
父親の介護、看病をひとりで担ってきた読者のAさん。
「たくさんの心強い味方に支えられて今がある」と言います。
読者Aさんがどのように「介護のミカタ」をつくっていったのか、その方法をひも解いていきましょう。
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(1)「この先、どうしたいか?」を話し合うには
● 介護家族に必要なのは「ありのまま」を見せる勇気
娘として、父の在宅介護を担ってきたAさん。
容態の変化から親子は訪問看護サービスを利用するようになります。
訪問看護サービスで実感したのは「プロのすごさ」だそうです。
「訪問看護サービスを利用するようになり、訪問看護師との接点が増えました。
わが家の生活習慣や、物の配置、患者である父と娘、家族との関係性など、普段どおりを見てもらいましたが、そのままを受け止めてくれる懐の深さに驚いたことを覚えています。
父の在り方を崩さぬように、でも的確に医療的な処置をしてくれる。
在宅医療のプロが、ありのままの私たちを受け止めて、支えてくれるのですから、こんなに心強いことはありませんでした」。
読者Aさんは、「ありのまま」を見せることで、心強い味方を得たと言います。
在宅介護では、訪問介護や訪問看護のスタッフといった家族以外が自宅に立ち入ることに抵抗感があるという家庭は少なくありません。
また、気負いから訪問スタッフの前で必要以上にがんばってしまうケースもあります。
ここまで任せてしまっていいかしらと思うこともあるでしょう。
訪問サービスのスタッフは、利用者やその家族を支えるチームメイトです。
あなたを支える味方を増やすためにも、思い切って「ありのまま」、心を開いてみましょう。
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● 「伝える」ことが介護の支えを増やす
訪問看護のスタッフたちに「もう、何でも相談しました」と読者Aさん。
親子の困りごと、家庭の事情、やり場のない自分の気持ちなど、包み隠さず訪問看護のスタッフに伝えてきたそうです。
「訪問看護師の方からは、結論ではなく、迷っている過程、揺れる気持ちをそのまま話してください、と言われていました。
それからというもの、何でも報告するようになって、父ができたこと、できなかったこと、嬉しい気持ち、不安、気になることなど、何でもです。
おそらく訪問看護師の方は、私の話のなかから必要な情報を拾い上げて看護に活かしてくれているのだと思っています」。
介護や看護、医療に関わるスタッフの多くは、利用者やその家族に対して「がまんしないでほしい」「どんなことでも言ってほしい」と思っています。
ちょっとした言葉がヒントになって、より良いサービスやケアを提供できることもあるからです。
「痛かったら痛い、イヤだったらイヤ、弱いところは弱いと言うだけでも良いと思います。
それでも手を差し伸べてくれるはずだからです。
患者である父のことはもちろん、私のつらさまで理解し、支えになろうとしてくれている人たちがたくさんいるのだとわかり、本当にありがたいことだと思いました」。
話してくれれば、介護や看護、医療に関わるスタッフは、どのように寄り添えば良いのかがわかります。
どんなことであっても話してくれたほうがありがたいものなのです。
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在宅介護の支えを増やす方法
●しなやかに、心豊かに「今」を受け止める
在宅介護において、自分だけでできることには、限界があります。
ひとりで背負い過ぎず、自分を追い詰めず、「助けてほしい」と言葉にする勇気を持ってください。
強がらず、自然体でいること。
無理をしすぎないこと。
読者Aさんの体験談からは、しなやかな強さが感じられます。
「甘え上手になりました。
ありがとうございますがとても大切だと思います。
はじめは人にお願いしたり、施設でお世話になったりすることに抵抗はありました。
でも、何でも話せる関係を築いたうえで、信頼して委ねたら、私には到底できないレベルの技術と経験を持つプロが父を看てくださる。
その安心感も、私の心の支えになっています」。
人生の終盤にさしかかった家族に伴走するためには、自分にも余力が必要です。
介護者としてやらなくてはならないことは数えきれないほどありますが、「やらなくてはならない」ことに押しつぶされてしまっては元も子もありません。
残された時間を心豊かに過ごしていただくために介護のプロがいます。
今回のエピソードが、このあんしん介護ブログを読んでくださっている皆さんの「心の支え」になれることを願っています。
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