在宅介護の支えを増やす方法

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在宅介護の支えを増やす方法

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

在宅介護のつらさを分かってくれる人を増やすこと、心の支えの作ることが大切です。在宅介護では一番、近くで介護にあたる方に負担が大きくかかるものです。

「誰にもわかってもらえない」
「誰にも代わってもらえない」

このように感じたことはありませんか?
在宅介護のつらさとして、肉体的な「介護疲れ」に加えて、精神的な「孤独感」があげられます。
自分がどれほどしんどいかを理解してもらえないのは、介護に限らず、苦しいものですよね。

どうすれば、この孤独感を解消することができるのでしょうか。

今回は、実際に在宅介護をしている読者の方のエピソードを参考に、在宅介護のつらさをわかってくれる人の増やし方、心の支えのつくり方についてまとめます。

● 介護前から支えになってくれる「地域包括支援センター」
父親や母親、パートナーが要介護になると、誰もが平常心ではいられません。
これからどうなるのか見えない不安のなかで、やらなくてはならないことは山積みに。
仕事や自分の家族への影響も考えなくてはなりません。
すべてが一度に押し寄せてきます。

家族と協力しながら進められれば幾分、冷静さを保てたり、落ち着いて対応できたりするかもしれません。しかし、すべて自分ひとりで対応しなくてはならない状態だったら、途方に暮れてしまうでしょう。

突然はじまる介護。
誰に何を相談したら良いのかもわからない状況ではじまります。
介護がはじまるその時、慌てないためには介護がはじまる前から「支え」になってくれる存在を見つけておくことが肝心です。

たとえば、在宅介護が必要になった時に最初にお世話になるのは、「地域包括支援センター」です。ここでは介護がはじまる前でも、さまざまな相談に乗ってくれます。

地域包括支援センターでは、高齢者の方やそのご家族の悩みや心配ごとの解決方法を提案してくれたり、各市区町村が実施する介護予防プログラムを紹介してくれたりします。

【関連コラム】
以前、地域包括支援センターの活用方法を詳しくまとめたので、参考にしてみてください。
元気なときから頼りになる「地域包括支援センター」ってどんなところ?

元気な時から公的な介護のサポート機関と関係性をつくっておけば、介護がはじまった時もスムーズに手続きを進めていくことができます。
地域包括支援センターが、ご家族のことや暮らしぶりを事前に把握できていれば、介護がはじまってからも親身に相談に乗ってくれますし、あなた自身も相談しやすいはずです。


● 在宅介護の支えは「事情を知ってくれている人」
このブログ「あんしん介護のススメ」の読者の方のエピソードをご紹介します。

読者のAさんは、1年ほど前に急病でお母さまを亡くし、その半年後に健康状態に不安があるお父さまを呼び寄せて同居することになりました。
お母さまが亡くなったあとの公的な手続き、突然ひとりになったお父さまの生活の手配、同居することになってからの各種の手続き、同居がはじまって生活が変わった家族のフォローなど、目が回るような1年を過ごされたそうです。

子どもを持つ働く母であり、ただでさえ忙しいAさんでしたが「ひとり娘なので、すべて自分でなんとかしなくてはいけません。息をつく間もなく変わっていく状況に対処するなかで、事情を知ってくれている人の心遣いが支えになった」と言います。

Aさんはこのように話してくれました。
「母が亡くなって市役所でさまざまな手続きをしている時、母の葬儀を担当してくださった葬儀社の方とたまたま出会いました。
その時、『孤軍奮闘していますね』と声をかけてくださったことが忘れられません。
葬儀社の方は、体を壊した父のことなど、私が置かれている状況をよくご存じで、娘ひとりであれこれやっていることを理解していました。
つらい時に私の状況をわかってくれる人がいることが、とてもうれしくて。
それが心の支えになりました」

「いま同居している父は、医療的なケアが必要なので、定期的に訪問看護に来てもらっています。
担当の看護師さんは、父がかかっている病気の看護経験が豊富で、父のつらさをよく理解してくれることがありがたいと感じます。
私の家族の状況も知っていて、支えになろうとしてくれています。
何より、医療の専門家が『困ったらいつでも来るからね』『遠慮せず言ってちょうだい』と言ってくれる心強さは、不安が多い在宅介護生活のなかで代えがたい安心感です」

在宅介護の現場では、「周りに迷惑をかけてはいけない」「自分がやらなくては」と、ひとりでがんばっている方をたくさん見てきました。

けれども、あなたの大変さを見ている人は、どこかにいるものです。
ひとりで抱え込むのではなく、大変な時は「つらい」と声に出してください。
事情を知っている人に話すことで、状況が変わることもあるのです。


● 在宅介護は関わる人が多いほど自分がラクになる
在宅介護がはじまると、さまざまな介護サービスを利用することになります。
そこで関わる人々は、必ずあなたの支えになってくれる人です。
「家の恥だからかっこ悪いことは言いたくない」「家のことに他人が踏み込んでほしくない」と考える方もいますが、それでは孤独感は解消されません。

たとえば、訪問介護のスタッフは、一番近くで要介護の方に関わります。
ご本人はもちろん、家族の大変さも理解して、少しでも負担を減らせないかと考えるヘルパーは決して少なくありません。
さまざまなご家庭に訪問し、さまざまは在宅介護を経験しています。
どんなことでも受け止め、具体的な解決方法を一緒に考えてくれるはずです。

訪問ヘルパーのほかにも、ケアマネジャー、デイサービスのスタッフなど、いろいろな人が在宅介護には関わっていると思います。

そのなかで話しやすい人はいませんか?あなたが話しやすいことが大事。
自分のことでも介護の愚痴でも、とにかく話してみてください。
話すだけでも心が軽くなりますし、その話がヒントになって介護生活が改善されることもありますよ。

「助けてほしい」と声に出せば、支えの手は必ず差し伸べられます。
在宅介護はひとりでどうにかするものではなく、いろいろな人に支えられて成り立つものです。
介護の専門家があなたをサポートするチームとしていつもそばで見守っていることを、どうか忘れないでください。

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