実際どうなの?同居介護のリアルな話

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実際どうなの?同居介護のリアルな話

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

同居介護のために、すべきことを順に考えて行きましょう。介護が必要になった親の今後を考えるとき、「同居」という選択肢が浮かんでくる方も多いと思います。

しかし、自分も家族を持っていて、仕事や子育てに忙しい......。
「本当にできるだろうか」「家族が反対するかもしれない」など、さまざまな思いがあるはずです。
なかなか同居介護に踏み切れないのも無理はありません。

そこで今回は、実際に遠距離介護から同居介護に踏み切った方のエピソードを交えながら、「同居介護のリアルな話」をご紹介します。
話を聞いたのは、以前もこの「あんしん介護ブログ」に登場してもらった、セコムシニア倶楽部 鎌倉の管理者 下城睦さん。
下城さんは、飛行機で移動する遠距離介護を経験したあと、お母様を呼び寄せ、自分の家族の元で同居介護をスタートさせました。
20年にも及ぶ同居介護生活のなかで、5人の子どもの子育て、そして仕事も続けてきた「働く母」でもあります。

● 「同居介護」を考えたら、最初にすべきことは?
介護が必要な親と同居したい。
そのような考えが頭に浮かんだとき、まず何をすれば良いのでしょうか。
介護保険の手続きや同居までの段取りなど、すべきことがたくさんあるように思えます。

同居介護について、セコムシニア俱楽部 鎌倉の管理者下城睦さんに話を聞きました。「介護保険のことや、同居後の介護サービスのことなら、お住まいの地域の地域包括支援センターに足を運べば、いろいろ教えてもらえます。
ケアマネジャーが何でも相談に乗ってくれますので、それほど心配することはありません。
それより大事なのは、一緒に住む家族のこと。
もうひとり住む人が増えるということは、家族にとっての一大事です。
手続きや段取りのことよりも、家族の気持ちに寄り添う必要があると思います」と下城さん。

下城さんは遠距離介護を続けるなかで、万が一のときに「お葬式にも間に合わないかもしれない」「なんとか母を家に連れて来たい」という思いが強くなったと話されました
「その気持ちをまずは夫に伝え、よく話し合いました。お別れできないのは、どうしても嫌だ」という思いを「夫が理解してくれた」そうです。

下城さんの場合は、お子さんがまだ小さなこともあり、同居介護をご夫婦で決断しましたが、「物心がつくくらいの子どもなら意見を聞く必要があった」と振り返っていました。


自分自身の心が揺れている状態では、ご家族にも迷いや不安が生じます。
「一緒にいたい」「家に連れて来たい」という強い気持ちがあれば、ご家族も真剣に受け止め、向き合ってくれるはずです。
まずはご自身の思いと、家族の思いを明らかにしておくこと。
そして、「誰が」「何のために」同居をしたいと思っているのかを明らかにしておくこと。
ここをあいまいにしたままでは、同居後、家族の間に不調和が生じるかもしれません。


● 同居介護で大変なことは?
要介護5のお母さまと同居して20年になる下城さん。
大変だったことは、介護そのものではないと言います。

「介護ベッドで寝たきりの母が、いつもリビングにいる生活。
子どもも大きくなったので手伝ってくれますし、もう慣れていますから、それほど大変だとは思いません。
家を空けられないので、家族全員で泊まりがけのお出かけができない、という課題はありましたが、子どもたちの夏休みや冬休みなど長期の休み中はショートステイを利用することで、解消できました」
このあたりのエピソードは、「ケアマネジャーが教える!ショートステイを上手に利用するコツ」という記事で下城さんにお話しいただきました。

「本当の意味で大変なのは、やはり家族のことですね...。
わが家には子どもが5人いて、感じ方や考え方はそれぞれ違います。
私はあまり思いつめない性格で、細かいことが気にならないタイプ。
自分なりに発散できるので、ストレスもあまりたまらないほうなんです。
私と似たタイプの子もいますが、なかにはそういうことがあまり得意ではない子もいます。
それぞれの様子を観察して、適度にガス抜きすることには、ずっと気を配ってきました」

三世代同居は、登場人物が多いので、毎日円満で何も問題ない...というわけにはいかないもの。
家族それぞれが何かしら我慢したり、ストレスを感じたりすることが少なからずあると思います。

「みんなで一緒に何かをして発散することもあれば、一人ひとりと向き合って個別に望みを聞いていくということもありました。
短くても良いのできちんと話を聞く時間を持つことを大切にしています」

介護と仕事と家事。
忙しい毎日のなかでも、家族一人ひとりの様子を気にかけてきたことが、20年にも及ぶ同居介護生活を可能にしたのではないでしょうか。

同居介護をはじめる前も、はじめたあとも、大事なのは自分の家族。
同居して介護をするということは、同時に「家族を守る」という思いを強くするものでもあったようです。


● 同居介護をするなら「こだわり」を捨てたほうが良い
大家族のなかで、お母様の介護を続けてきた下城さん。
同居介護をはじめた当初は、なんと1LDKのお部屋に住んでいたそうです。

「それでよくお母さんを引き取ることを決めたね、と驚かれるのですが(笑)、なんとかなるものですよ。
子どもがまだ小さかったので、3枚の布団で全員雑魚寝。母の介護ベッドは、昼間と夜とで場所を移動させて...狭かったけれど、良い思い出です。
あれから引っ越して少し家が広くなりましたが、今の家では私の母のほかに、夫の母も一緒に住んでいた時期があります。
最期は家で看取りも経験しました。
亡くなったときは家族で体を清めて、お化粧をして、義母が好きだった服を着せて......。
子どもたちが『私も死ぬときは家で死にたい』と言ってくれたので、良い経験だったのだと思います」

仕事だけではなく、プライベートでもさまざまな介護を経験してきた下城さん。
想像するだけでためらってしまいそうな状況を軽やかに受け止め、前に進み続けています。

「介護は、『こうじゃないと』がないほうが良い。
部屋の数が足りないとか、仕事が忙しいとか、考えていたらきりがありません。
同居をしたい、でも......と迷うことはいろいろあると思います。
家族に関わることなら丁寧に考えなくてはなりませんが、それ以外の問題なら、『ダメならまた考えれば良いや』くらいで大丈夫だと思いますよ。
『同居してみたけれど、やっぱり無理だったから、施設に入ってもらおう』でも良いと思います。
それだって、挑戦したからこそわかった結果です。
あまり思い悩まず、まずはやってみる、そのうえで考える。
これくらい思い切った部分がないと、なかなか同居には踏み切れないかもしれませんね」

下城さんが言うとおり、介護は「これがないとできない」というものではありません。
私自身も、訪問介護や訪問看護で、さまざまなご家庭を見てきました。
バリアフリーに程遠い家、被介護者の居室が2階にあるなど、課題はどのご家庭にもあります。
足りない部分があれば、それを補うために知恵を絞るものですし、介護サービス側でもサポートしてくれます。

介護に正解はなく、100人いたら100通りの介護があります。
「絶対にここだけは譲れない」「どうしてもこれはこうしたい」など、確かなものもあるでしょう。
「譲れないこと」を持っておくことは、介護生活においてとても大切です。
しかし、「譲れないこと」以外はこだわらないことも大事。
柔軟さは、介護生活を長く続けるうえで欠かせないものだと思います。

今日ご紹介した「同居介護のリアルな話」が、同居を迷っている方の参考になることを願っています。

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