ケアマネジャーが教える!ショートステイを上手に利用するコツ

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ケアマネジャーが教える!ショートステイを上手に利用するコツ

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

ケアマネジャーでもあるセコムシニア倶楽部鎌倉の管理者下城睦さん(左)にショートステイについて聞きました。在宅介護を続けていると、ご家族はある程度行動が制約されてしまうものです。

「介護をしているから出かけられない」
「介護は一日も休むことはできない」

在宅介護をしていれば、どなたでもこのように思ったことがあるのではないでしょうか。
介護中心の生活で、ときには自分を犠牲にしながら、なんとか在宅介護を続けている...というのが多くの介護家族の実情です。

どうしてもお世話ができないときには「ショートステイ」を頼る方法もあります。
上手に利用すれば、在宅介護の生活がラクになり、無理なく長く続けていく助けになってくれますよ。

ケアマネジャーなら、ショートステイの利用価値や使いこなす方法をよく知っています。
今回は、セコムシニア倶楽部 鎌倉の管理者で、ケアマネジャーとしての経験も豊富な下城睦さんに話を聞きました。

● 「ショートステイ」はどんなときに利用できるの?
「ショートステイ」(短期入所生活介護)は、要介護者の方を一時的に預かる、宿泊をともなう介護サービス。
宿泊機能を持つ施設に短期間入所して、食事や入浴、排せつなど、日常生活に関わるお世話を提供してもらえます。

常に介護が必要な方の生活をサポートすることで、介護家族の負担を軽減するのが目的です。
介護保険制度では、次のように対象者の条件が定められています。

・利用者の心身の状態や病状が悪い場合
・家族(介護者)の疾病、冠婚葬祭、出張
・家族(介護者)の身体的・精神的負担の軽減 など

「一時的とはいえ施設に預けることにためらいがある方も多いのですが、介護から離れる時間を持つことも大事なこと。
そのためにショートステイが存在するのです。
ご家族に休んでいただくためのサービスと考えていただいて良いと思います。
介護疲れしているご様子のときなどに『少し介護から離れてみましょうか』とおすすめすることが多いです」と下城管理者。

1日も休むことなく、自宅で介護を続けていくのは大変なことです。
適度にリフレッシュするためにも、「ショートステイ」という選択肢を持っておくと良いと思います。


● 「ショートステイ」にはいろいろな施設がある
ショートステイは、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホームなど、通常は入居して生活の場となる施設に併設されています。
なかにはショートステイ専門の施設もあります。
要介護度の高い方や医療的な措置が必要な方のために、介護老人保健施設や病院、介護医療院などでもショートステイを実施しています。

「ショートステイが提供するのは、あくまで"生活に必要な支援"です。
デイサービスのように毎日レクリエーションがあるわけではないので、なかには『つまらないから行きたくない』とおっしゃる方もいらっしゃいます。
ショートステイ専門の施設なら、イベントも多く日中の過ごし方も工夫されているので、楽しく過ごしたい方はショートステイ専門の施設を選ぶと良いかもしれませんね」

ショートステイにもいろいろな施設があるということ。
下城管理者はケアマネジャーとして、いろいろなショートステイ施設と関わり持っていますが、「施設によって雰囲気も対応もまったく異なるので、なるべくご本人に合う施設をご紹介するようにしている」とのこと。

個室なのか大部屋なのか、食事はどのようなものが出るのか、相談員やスタッフの対応はどうか...など直接施設をたずねて、確かめているそうです。

「認知症の方の場合は、認知症であることをわかって受け入れてくれる施設を選ぶことが必要です。
環境が変わると落ち着きがなくなる方ですと、トラブルが起きることも考えられます。
認知症専門のショートステイもありますが、いつもあきがあるとは限りません。
認知症対応の経験があって適切な対応ができる施設、いろいろな症状の方を受け入れている施設もあれば、他の利用者の迷惑になる可能性のある方は受け入れないという施設もあります。
事前に施設の相談員とよく話し合うことが、トラブルを防ぐコツですね」

下城管理者の話からもわかるように、ケアマネジャーはショートステイだけでもたくさんの引き出しを持っています。
利用者とサービスとのマッチングはケアマネジャーの腕の見せどころなので、相談すれば何かしら良い提案をしてくれるはずです。
「ショートステイを利用したいけれど、本人が嫌がっている」「気になることがあって、利用をためらっている」という方も悩む前にケアマネジャーに相談するのがいちばん良いと思います。


● みんなはどうしている?ショートステイの利用シーン
ショートステイを活用して適度にリフレッシュしましょう。ショートステイ利用の原則は、「ひと月の半分を超えないことが望ましい」とされていますが、最大で30日まで連続利用が可能です。
みなさんはどのようなときにショートステイを利用されているのでしょうか。

「月に何日間と決めて利用していらっしゃる方が多いです。
毎月中旬に1週間とか、月末から月初にかけての2週間など、ご家庭によって異なります。
ご自身の仕事がお休みになる週末だけショートステイを利用して、しっかりと休息をとってウイークデーに備える方もいらっしゃいますよ」とのこと。

どのご家庭でも、介護と自分たちの生活のバランスを考えて、上手にショートステイを利用しているようです。

「実は私も自宅で母の介護をしていまして、子どもの夏休みや冬休みなど、長期で学校が休みになるときにショートステイを利用しています。
子どもたちの予定がバラバラで普段と生活サイクルが違うので、介護をして、仕事をして、家族の面倒も見て...では自分がパンクしてしまいます。
そういうときは、母に約3~4週間まとめてショートステイに行ってもらうのです」

どんなときにショートステイを利用するかが明確だと、計画的に申し込みができ、介護生活を良い形で継続していく助けになってくれるということですね。

在宅介護をしていれば、「介護をしながら、他のこともしなくてはならない」「いろいろなことが重なって、何を優先したらいいかわからない」といった状態になることは、珍しいことではありません。
そんなときはショートステイを利用して、「介護」の占める割合を減らしてみてはいかがでしょうか。

介護ありきの生活が当たり前になっていると忘れがちですが、いつもでも介護を最優先にしなくても良いのです。
ショートステイを利用して介護から少し離れると、そのことにあらためて気づくと思います。

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次回は、ショートステイを利用するときに注意することや、準備しておくことなど、より実用的な話を紹介します。

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