在宅介護を続けていくための「心のバランスの取り方」

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在宅介護を続けていくための「心のバランスの取り方」

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

自分本位で行動することも大切なことです。介護のあるべき理想として、要介護者の「ご本人の意思を尊重する」という言葉がよく使われます。
要介護になっても、自分らしい生活を維持できるようサポートするのが在宅介護サービスの役目。
ご家族も、「できるだけ本人の希望をかなえてあげたい」「きちんとしてあげたい、大切にしたい」という思いで、介護にあたっているのではないでしょうか。

介護者は自分のことを後回しにしがち。
ときには「自分ファースト」で考え、行動することも必要です。

自分を優先することは、在宅介護を続けるために欠かせないこと。
不満やストレスに押しつぶされないための「心のバランスの取り方」についてまとめます。

●「相手のため」だけでは介護は続けられない
介護者は、介護が必要な家族のために少なからず自分の時間や労力を使っているもの。
それだけに、相手から思うような反応が得られなかったときは、不満が募ります。

食べやすいように工夫して料理したのに、あまり食べてくれない。
似合いそうな服を買ってきてあげたのに、「着たくない」と言われる。
忙しいなかで介護をしているのに、顔を合わせるたび文句ばかり。

「介護される人」と「介護する人」の間では、しばしばこうしたギャップが生じます。
相手を思って、相手のためにやったことが否定されれば、腹が立つのも当然です。

自分ばかり犠牲になる一方的な関係は、たとえ相手が親でも心が消耗しますね。
「相手のためにやっている」という思いが強すぎると、在宅介護生活はあまりうまくいきません。


●「誰のため」「何のため」を自問自答してみる
「せっかく●●してあげたのに!」
こんな思考になったときは、ちょっと冷静になって自分の気持ちを分析してみましょう。

たとえば、せっかく工夫してつくったご飯をあまり食べてくれないケースについて。
さて、そのご飯を食べなくて困るのは、いったい誰でしょうか?
何のためにご飯を食べなくてはならないのでしょうか?

「ご飯を残さず食べてほしい」のは誰?「バランスのいい食事を食べてほしい」のは誰?
それは「私」。

何のため?
「お母さんの体が心配だから」
「かかりつけの先生に体重を減らさないように言われたから」
「今しっかり食べないとあとの予定に影響するから」
「もったいないから」
「疲れているのにがんばってつくったから」

いろいろな考えが浮かんでくると思います。

その思いはすべて「相手のため」でしょうか。
もちろん、家族としての愛情が原点にあるのは疑いようがありません。
しかし「苦労をかけたから恩返しがしたい」とか「きちんと介護をしたい」といった考えは、あなた自身のもの。
そこには「こうあるべき」という思い込み、自分の都合や親への複雑な感情も交じっているかもしれません。

やってあげたことに対する相手の反応にモヤモヤ・イライラしたときは、「自分の気持ち」と「相手の意思」を整理して考えてみてください。

それをするのは誰のためなのか。
なぜそれをしなくてはならないのか。
やらずに困るのは誰なのか。
相手はどうしたいのか。

そこに「私の気持ち」があることに気づくと、期待と異なる反応が返ってきても、感情的になりすぎず「私がやりたくてやっているのだから」と割り切れるものも出てきます。
「私の気持ち」をどこまで押し通すのか、あるいは相手に譲るのかを見極めることもできます。


●ときには在宅介護で「私がしたいこと」を楽しむ
食事の例をもう少し続けましょう。
在宅介護では、食事についてあれこれ考えながらがんばっているご家族が多いです。

「1日3食」
「毎日決まった時間に」
「栄養バランスよく」
「本人が食べやすいものを」

せっかく自宅で暮らしているのですから、「こうあるべき」にとらわれすぎず、もっとおおらかに楽しんではいかがでしょうか。

ときには、自分が好きなお総菜やお弁当を買ってくる。
ハンバーガーや牛丼などファストフードにチャレンジしてみる。
菓子パンやカップラーメンで食事を済ませる。

「高齢者にそのようなものは相応しくない!」「手抜きじゃないか?」と考えすぎないでください。
病気の症状が悪いならともかく、ちょっとくらい栄養バランスが崩れたからといって人間の体はどうにかなったりしません。

「これ、おいしいよ」「新商品が出たから食べてみようよ」などと声をかけると、あんがい興味を持って喜んで食べてくれるかもしれませんよ。

介護者の都合で食事が遅くなっても、3食が2食になっても、気にしすぎなくて大丈夫。
たまには、深夜にカップラーメンで晩ごはんだって良いじゃありませんか。

「脂っこいものは...」「栄養バランスが...」などと考えすぎたら、食事そのものがつまらなくなってしまいます。
頭を悩ませて時間をかけて用意した食事より、手をかけない食事のほうが楽しく和やかな時間を過ごせることもあります。

いつも介護が必要な親を優先していたら、「私の気持ち」がないがしろになって心のバランスが保てません。
家族なのですから、ときには「自分ファースト」で、相手に合わせてもらうことがあって良いはずです。

介護でモヤモヤやイライラがたまってきたときは、「私が好きだから」「私がラクをしたいから」という理由で行動してみてください。
家族なのですから、自分がおいしいと思うもの、自分がしたいことをどんどん共有しましょう。
一緒に楽しめることが増えれば、お互いにハッピーですよね。

介護される人も、介護する人も、やりたいことをやる。
それが在宅介護の良さなのですから。


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