「食べてくれない」悩みを解消する方法

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「食べてくれない」悩みを解消する方法

あけましておめでとうございます、セコムの武石(たけいし)です。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

前回、「食べてくれない」理由は何?と題して、在宅介護と食事の悩みについてお伝えしました。

「何としても食べさせなくては」と気負いすぎないのがポイントです。
とはいえ、「食べてほしい」と願う介護家族の気持ちを否定するものではありません。

そこで今回は、食べることに意欲を持てない要介護者の方に「食べてみよう」と感じてもらうための方法を具体的にまとめます。

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「食べてくれない」理由は何?

● 「食べられる」と思ってもらうために
食が細くなっていて「食べたくても食べられない」ということが少なくありません。
食事をつくってくれた方に対して「食べ切れなかったら申し訳ない」との思いもあるでしょう。
要介護者にとって「しっかり食べなきゃいけない」と感じることは、ある種のストレスと言えます。

目の前に出された食事にプレッシャーを感じさせないコツは「小さめ」。
小ぶりな器に小分けして料理を出してみましょう。

一皿一皿が少量であれば、「これくらいなら食べられる」と思えるはずです。
何品も必要という意味ではありません。

たとえば煮物の具を二皿、三皿に分けてみたり、おかゆのトッピングを小鉢にいくつか用意したり、少しの工夫でお皿の数は増やせそうです。
また一口で食べ切れる大きさにするのも良いでしょう。

一皿にせよ、一口にせよ、「これだけは食べ切れた」と実感できることが大切。
一皿でも「完食できた」となれば食事に対する意欲も変わってきます。

「いつものごはん」を小分けに。
ぜひお試しください。


● 「同じものばかり」の食事でも悪くない
「何とか食べてもらいたい」という気持ちから、いろいろな献立を考えていると思いますが、ご高齢の方のなかには「毎日決まったものしか食べない」という方がかなりいらっしゃいます。
心身が弱っていると、パターンが違うものを受け入れにくくなるからです。

食事に限らす、着るものや生活習慣、住環境など、変化に慣れるには、少なからず気力や体力が必要ということなのでしょう。

介護家族の方から「同じものばかり食べている」「他のものを食べてくれない」という悩みを聞くことがありますが、それほど心配することはないと思っています。
成長期の子どもとは違ってこれから体をつくるわけではないので、栄養面より、「食べられる」こと自体が重要です。

毎日同じものが続く方がなんとなく落ち着く、安心するというなら、パターンを崩さないように接することも大切なポイントだと言えます。


● 「食事」のスタイルにこだわらないで
認知症の方ですと、失行や失認の症状で食事ができない場合があります。
「箸の使い方がわからない」というケースでは、「そのことを家族に知られたくない」という自尊心も働いて、食事自体を敬遠する方もいらっしゃいます。

このようなケースでは、箸やスプーンを使わず、手づかみで食べられるメニューがおすすめ。
ご本人が手を使ったほうが食べやすいのであれば、行儀にこだわる必要はないでしょう。
食べることができ、ご本人が満足なら、道具やスタイルは重要ではありません。

きれいに食べてほしい、マナーを守ってほしい、そう願う介護家族の気持ちも理解できます。
しかし、ご本人にとっての「食事の意義」がどこにあるのかを考えれば、「まあ良いか」と思うこともできるのではないでしょうか。

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「食べてくれない」理由は、人それぞれです。
今回ご紹介したアイデアや考え方でも、解消できないこともあるでしょう。

急に食べものを受け付けなくなったなど心配ごとがあるときは、かかりつけ医に相談してください。
嚥下(えんげ)機能の問題なのか、おなかの調子が悪いのか、あるいは他の原因があるのか。
医学的に食べられない理由を把握しておくことも大切です。

特定できる原因がないときは、それがご本人にとって必然のことなのかもしれません。
年齢に従って食べられなくなるのは自然なことなので、あらがえばあらがうだけストレスを与えてしまうこともあります。

水分補給を怠ることがなければ、食べたいときに、食べたいものを、食べたいだけで良い。
この考え方を、頭の片隅に置いておいてください。

食事は苦痛ではなく、喜びであり楽しみです。
あなた自身が穏やかに見守る気持ちで向きあえば、食事の時間がかけがえのない思い出となって心に刻まれるでしょう。

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