在宅介護の「排便トラブル」を防ぐには?

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在宅介護の「排便トラブル」を防ぐには?

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

リラックスできる環境をつくることが排便トラブルの解消につながります。 「排便」の問題は、在宅介護のなかでもストレスになることのひとつ。
便秘の不快感に苦しんでいる方もいれば、便失禁の不安や恥ずかしさを抱えている方もいます。
介護家族にとっても、トイレでのお世話やおむつの後始末は大きな負担だと思います。

排便の悩みは、介護される方、介護する方、どちらにとってもつらいもの。
介護状態になっても気持ちよく快適に出せることが大事ですし、介護するご家族もストレスなくお世話できるのが理想です。

身体の状態によっては「仕方がない」と考えてしまいがちですが、あきらめるのはまだ早いかもしれません。
ちょっとした工夫や習慣付けで排便の失敗を減らせることもあります。


今回は、排便トラブルが起きる原因や、気持ちよく排便するためのコツなどをまとめます。

● 量だけでなく質や頻度が大切
「便秘」は高齢の方や要介護の方に多く見られる排便トラブルです。
健康な人ならあまり意識することがないと思いますが、排便には"力"がいります。
下腹部に力を入れる行為は、体力が落ちた方にとっては難しいことなのです。
排便に必要な力の不足が排便をしにくくくなる原因のひとつになっています。

また、水分不足で便が固くなってしまったり、飲んでいるお薬の影響で便秘がちになってしまったり、便秘の原因はいくつか考えられます。

便秘というと、「何日も便が出ない状態」と漠然と捉えている方もいると思いますが、実はそれだけではありません。
排便があってもすっきり出し切れていない"隠れ便秘"のケースも見られます。
要介護の方ですと便意がないまま、たまった便が押し出されるなど、便秘が原因で便失禁を繰り返す方もいます。

反対に週に1度しか出なくても、問題ないというかたも方もなかにはいます。
食べた量に見合った量が定期的に排出されていれば、それがその方にとっての正常な排便のペース。
排便の有無や回数だけでは、便秘かどうかを判断できないということですね。

「便が何日も出なくて困っている」という場合はもちろんですが、「排便はあるけれどお腹が苦しい」「便失禁を繰り返す」など、何かしらの排便トラブルがある場合は、きちんと現状を把握することが大切です。

健康なときの排便パターンがどうだったのか、要介護状態になってどのような変化があったのか、ご本人から直接聞いてみると、排便トラブルの原因や解消法が見つかることもあります。
聞きにくいことではありますが、介護生活を快適に維持していくうえでも、尊厳をもって生きていくためにも、排便トラブルから目を背けないことが大事なのです。


●排便トラブルの改善には「落ち着いてひとりになれる環境」が大切
本来、排泄(せつ)行為はプライベートなことですから、要介護になっても「見られたくない」「人の手を煩わせたくない」と感じている方は多いです。
ポータブルトイレや、待たせている人の気配があれは、すっきり出ないことがあっても無理もありません。

そもそも人間の身体の働きは、自律神経によるところが大きく、腸が動くのは副交感神経が優位なとき、つまりリラックスしているとき。
心身が緊張状態にあるときは、便意を催す排便反射が起こりにくいのです。

周囲を気にして遠慮したり、我慢したりが当たり前になると、すっきり出ないどころか便意も感じにくくなり、自力で排便をコントロールするのがますます難しくなってしまいます。

リラックスして排便に集中できる環境に身を置くことが排便トラブルを解消する重要なポイントのひとつです。音や臭いも遮断でき、ひとりになれる個室のトイレが理想です。

もちろん身体の状態によっては、トイレに座ることが困難な方や、付き添いなしではトイレに入れない方もいると思います。
しかし「トイレでひとりで排泄(せつ)する」という目標を持って機能改善に取り組めばいつか実現する可能性があるのです。

たとえ寝たきりでおむつを使用していても、トイレに行きたいという希望があれば、「トイレでひとりで排泄する」という方向に近づけていく方法はきっと見つかります。
あきらめず、ケアマネジャーや理学療法士などリハビリの専門家に希望を伝えることが肝心です。



● トイレで排便するために必要な身体の機能とは?
トイレにゆっくりひとりで入るには、まず座位を保てることが必要。
座った姿勢を15分間キープすることができれば、そばに介護者がいなくてもひとりで排便することができます。

加えて、30秒間のつかまり立ちができること。
手すりにつかまりながらでも自力で30秒間立っていられれば、介護者がお尻を拭いたりズボンを上げたりすることがラクにできるので、トイレのお世話の負担がずいぶん軽減されます。

自力で座っていられない、立っていられない方のトイレのお世話をするのは本当に大変です。
介護する方、される方、双方の負担とストレスを減らすためにも、ぜひ「15分間の座位」と「30秒のつかまり立ち」の訓練を取り入れてみてください。

最近は、トイレに座ったときに身体をサポートできるコンパクトな手すりなどもたくさんあります。
置くだけのタイプのものなら大々的な工事も不要です。
背もたれ付きのものもありますが、タンクの前にクッションを置くだけでも座位が安定しやすくなりますよ。

ポータブルトイレに座ることができるなら、家のトイレでも排便はできるはずです。
住宅の構造や身体機能の問題で移動が難しく、トイレをあきらめている方も少なくありませんが、介護やリハビリの専門家が知恵を絞れば、不可能が可能になることもあります。


以前「在宅介護のコツ 「夢」や「目標」を持ちましょう」のなかでご紹介した半身不随の方がトイレを使用できるようになるまでのエピソードもぜひご覧ください。

自立した排泄(せつ)は、気持ちの良いお通じにつながります。
排便の話題をタブーにせず、ご本人ともよく話し合ってできることを探してみてくださいね。

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