「デイサービスに行きたくない」そんなときどうする?

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「デイサービスに行きたくない」そんなときどうする?

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

デイサービスでは、居心地よく、機嫌よく過ごしてもらいたいですね。気がかりなことはスタッフに伝えましょう。前回まで2回にわたって、「セコムシニア倶楽部千歳烏山」の田中猛所長から在宅介護でよく利用されている「デイサービス」について話を聞き、デイサービスの特徴やメリット、役に立つ上手な利用方法や、良いデイサービスに出会う方法などについてまとめてきました。

しかし、誰もがスムーズにデイサービスに通えるわけではありません。
なかには「デイサービスには行きたくない」と渋る方もいます。
なだめても説得しても「行きたくない」。
ご家族の苦労はいかばかりかと思います。

以前、私も訪問介護をしていてデイサービスへの送り出しに立ち会ったことがありますが、デイサービスに行くことを拒む方の対応に困り果てました。

今回は、これまでの経験を踏まえて、「行きたくない」と言われたときの対応方法を紹介します。
「セコムシニア倶楽部千歳烏山」の田中猛所長にも、送り出しのコツを聞いたので、ぜひ参考にしてください。

● 「デイサービスだから支度しよう」は逆効果?
デイサービスを楽しみにしている方なら良いのですが、行きたくない方にとって「デイサービスだから支度しよう」は聞きたくない言葉だと思います。
ご家族に対しては甘えもあるので、反発も大きいのではないでしょうか。

とはいえ、ご家族の都合もありますので、なんとか行動を起こしてもらう必要があります。
そんなときは、デイサービスというゴールをいきなり示すのではなく、まず「とりあえず着替えましょう」と手近な行動をうながすところからはじめてみてください。

着替え終わったら「トイレに行きましょうか?」「動いたからお腹が減りましたね。。食卓に座って」などと声をかけて、少しずつ出かける前の準備をととのえていきます。
朝ごはんのメニューや昨日あったニュースなど、先が気になる、楽しみになるような話題を出すと、「動こう」という意欲につながるかもしれません。
ご本人の様子を見ながら、タイミングとかける言葉を選ぶのがポイントです。

寝起きは動き出しがつらく感じることがあります。
要介護の方やご高齢の方ならなおのこと。
上手に誘導して、なんとなく支度ができてしまうと、外出するのもおっくうではなくなる場合も多いのです。

それでも「行きたくない」と拒む方には、"ご自身で断ってもらう"という方法も、ときどき使っていました。
「デイサービスの方も、当日になってキャンセルしたら迷惑がかかります。ご自身で直接断って、お詫びしてくださいね」と言うのです。

お迎えの車まで連れて行ってみると、断るつもりでいても、気持ちが変わることもあります。


● デイサービスに行きたくない理由を理解する
健康な人でも、行きたくない場所もあれば、気持ちが拒んで腰があがらないこともあるものです。
「デイサービスに行きたくない」という気持ちを理解してあげることも、とても大事だと思います。

デイサービスでは、集団のなかに身を置くことになります。
みんなで一緒にレクリエーションをしたり、食事をしたりするのが苦手な方もいますので、そこへの配慮がないまま強引に送り出すのは気の毒ですよね。

特に認知症の方ですと、いつもと違う環境は不安が大きいものです。
何をすれば良いのか、どこにいれば良いのかわからず、落ち着くことができない。
みんなと同じプログラムについていけず、自尊心が傷ついたり、居心地の悪さを味わったりする悲しみ。
認知症だから、何があっても忘れてしまう、何もわからないと思うのは間違いで、嫌な思いは記憶として残り続けるものなのです。

「デイサービスに行きたくない」とおっしゃる方には、どうして行きたくないかを聞いてください。
苦手なことがあるなら、デイサービス側にそれを伝えれば、配慮した関わり方をしてもらうことも可能です。

集団プログラムが苦手なら、無理に参加しなくても良いと思います。
デイサービスだからリハビリをしなくては、他の人と交流しなくては、お風呂に入ってきてもらわなければ...と思いすぎる必要はありません。

ご本人が居心地よく、機嫌よく過ごしてもらうほうが大事です。
無理をさせないようにデイサービスにお願いすることで、通いやすくなることもあります。
保育園に初めて通う園児は最初のうちは短い時間の滞在とするように、デイサービスでも
初回や2回目の利用の慣れないうちは、健康状態を看て貰って昼食を食べ終えたら帰宅、という『お試し的』な利用から始めることも一つの方法です。
デイサービス側とも相談して、滞在中の過ごし方を見直してみると良いかもしれませんね。


● 説得できなければデイサービス側の対応に任せる
デイサービスでは、「行きたくない」という方の対応にも慣れています。
どうしても行きたがらないことを伝えて、あとは施設側のスタッフに任せるというのもひとつの方法だと思います。

田中所長にも聞いてみました。
「強引に連れてくることもできますが、毎回そのような対応をしていたら、ますますデイサービスが嫌いになってしまうでしょう。
ですから、無理強いはしないようにしています。
説得しても来てくれないときは『じゃあ、また来ますね』とお伝えして、時間を置いてまたお迎えに行きます。『○○さんだけ特別にお迎えに来ました!○○さんだけのお車にして来ました』と言うと、『それなら...』と来てくれることもあるんですよ」

声のかけ方にもいろいろなテクニックがあるようですね。
毎回違うスタッフのお迎えだと、不安に感じてしまうので、できるだけ同じスタッフが迎えに行って、安心感と信頼関係を育む工夫もしているそうです。

「ご家族からの情報も大事ですね。
行きたがらない理由に心当たりがあれば、些細なことでも良いので教えてくださると助かります。
たとえば、前日にトイレの失敗があったとします。
デイサービスでも失敗してしまうのではないか...という心配で行きたくないのかもしれない。
それなら今日は念のために紙おむつをはいて行こうか?という提案もできるわけです」

行きたくない背景を探ることで、不安や心配を解消することもできるということ。
家でのできごとはできるだけ具体的に共有しておくと、デイサービスとしても配慮のある対応が可能になります。

「時間がない朝に説得したり、行きたがらない方の身支度をととのえたりするのは、ご家族も大変です。
多少支度がととのっていなくても、『あとはお願いします』というくらいの気持ちで良いと思います。
薬を飲ませられなかった、朝ごはんが途中までになってしまったなど、ありのままに伝えてくだされば、あとはこちらでなんとかします」と力強い言葉。

デイサービスのスタッフの方は、介護家族の苦労をよく知っています。
デイサービスに行くことは、ご家族の介護の負担を減らす目的もあるのですから、送り出すまでの準備を完璧にしようとしなくても良いということです。

どうしてもデイサービスに行きたがらない、施設側も親身になってくれないという場合は、別のデイサービスを探してみると良いかもしれません。
問題点をしっかり把握して、どんな配慮がほしいかをケアマネジャーに伝えることが大切です。
ご本人もご家族もがんばりすぎなくて良い、穏やかに過ごせるデイサービスがきっと見つかりますよ。

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