「食べる」ことで苦労している方へ...摂食嚥下(えんげ)障害を正しく知る

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「食べる」ことで苦労している方へ...摂食嚥下(えんげ)障害を正しく知る

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

接食嚥下(えんげ)障害を正しく理解することで誤嚥(ごえん)性肺炎の予防にもつながります。年齢を重ねると「食べる」という行為で何かしらスムーズにいかないことがでてくるものです。
歯が悪くなり、固いものが噛みにくくなるというのはイメージがつくと思いますが、水分が少ないものを飲み込むのに苦労する、逆に水やお茶を飲む込むことが難しくなる、といった変化がおきるのをご存知 でしょうか。


「うまく食べられない」ことは、脱水や栄養失調という重大な問題につながりますし、何よりご本人の楽しみを奪うことになります。場合によっては命の危険につながる事態にもなりかねません。また、介護する方にとっても大きな負担になってしまいます。

今回は、いわゆる「摂食嚥下(えんげ)障害」について詳しくお話します。

●摂食嚥下(えんげ)障害の"障害"はひとつではない
食べることに何かしら困難をともなう障害を、「摂食嚥下(えんげ)障害」と言います。
まずは、嚥下のしくみを理解しましょう。

食べるという行為には、人間のさまざまな機能が関わっています。

1)目で見て食べものを認知し、食べる気持ちを整え、準備をする。
2)食べ物を口に入れ、咀嚼(そしゃく:口の中で食べ物をよく噛み砕いて味わう)して唾液と混ぜてひとかたまりにする(食塊(しょっかい)形成)
3)舌やほっぺたを使って、ひとかたまりになった食べ物【食塊(しょっかい)】をのどに送り込む
4)食べ物【食塊】をのどから食道を経て胃へと送り込む

普段は無意識のうちに行っていることですが、食べものが胃に届くまでには、口の周りや口の内の筋肉、舌や首、肩や背中まで、上半身のさまざまな筋肉が連携して動いています。

また、のどは食べものと空気の通り道の交差点になっていて、食道へ食べ物をうまく通過させたり、気管に食べものや水などが入らないように遮断したりしています。

「食べるのに苦労している」という方は、これらの機能のどこに障害があるのかを正しく知る必要があります。
うまく噛み砕くことができていないのか、ひとかたまりにできないのか、【食塊】を飲みこめないのかなど、障害がある場所によって、食事の種類や食べさせ方、介護の方法が違ってきます。

摂食嚥下障害の診療は、歯科や耳鼻咽喉科、リハビリ専門医などが行っているので、気になる場合は早めに相談すると良いでしょう。
ご本人の認知のレベルや食事の姿勢、口やのどの動き、食べかすの残り具合、発声や呼吸機能など、さまざまな検査から評価し、診断してくれます。深刻な摂食嚥下障害の場合、レントゲンや内視鏡といった検査が必要になることもあります。


● 嚥下(えんげ)障害のサインを早めに見つける
摂食嚥下障害は突然起きるものではなく、徐々に各所の機能が衰えていくことによって、少しずつ起きるものです。そのため、在宅介護ではすぐに気づけないことがあります。

摂食嚥下障害の兆候を見逃さないために、いくつかのサインを知っておきましょう。

・口の閉まりが悪く、よだれがよく垂れる
・声が小さい、声が出にくくなる
・口の中に食べものをため込み、飲み込めずにいる
・口の中に食べかすが多く残る
・のどに痰がからんだようなガラガラした音がする
・食事中、呼吸が荒くなる
・以前よりも食事に時間がかかる、疲れを訴える
・食事中、食後に痰や咳が増えた
・体重が減った

ほかにも、夜間にせきこむようになったとか、水分を取りたがらなくなったなども兆候のひとつ。
気になることがあったら、介護サービスの訪問看護師や歯科医、かかりつけ医などに相談して、必要ならば専門医を受診しましょう。


● 間違った食事は、「食べられなくなる」原因に
食事が取りにくくなった場合、「嚥下(えんげ)しやすいもの」を用意するのが一般的です。
専門的に言うと、嚥下障害の方のための食べ物には以下の4つの条件があります。

・形を変えやすい
・口の中でまとまりやすい
・なめらかで滑りやすい
・口当たりが均一

嚥下しやすい食べ物というと、「柔らかいもの」「小さく刻んだもの」といったイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそれだけではありません。

どの機能に障害があるかによって、適した食べ物の形状は異なります。

たとえば、噛む機能が低下している方ですと、口の中で潰しやすく、柔らかいものがおすすめ。
一方、噛む力はあるけれど、飲み下す機能が低下している方ですと、それほど柔らかいものである必要はありません。

また、認知症の方ですと、嚥下の機能は問題なくても、目の前にあるのが食べ物だと認識できないことが原因で、食事ができなくなってしまうことがあります。これは、認知症の症状で【失行(しっこう)】と言います。
多くの場合は、食べることに集中できない、子どもの遊び食べのような症状から始まります。進行すると、口に食べ物が入っていても「食べ物をたべている」ということが認知できず、いつまでも口の中にため込んだまま、飲み込もうとしなくなるといった症状がでます。
その場合の対処方法は人それぞれです。
介護食は召し上がれないけれど、好きなお肉だと召し上がるという方もいらっしゃれば、手のひらに載せることで食べものだと認知する方もいらっしゃいます。
目を合わせて「ご飯を食べましょう」と声をかけることで、食べるスイッチが入る方もいらっしゃいます。

食べることは生命維持の基本ですが、年齢を重ねれば、さまざまな理由から口から食べる機能が衰えていくのはやむを得ないことです。

身体の状態にあった「安全な」食べ物を、「美味しく」「楽しく」食べられる工夫を見つけていきましょう。

正しい知識と、その方のことをよく知っているご家族ならではの工夫で、「口から食べる」ことをできるだけ長く続けていただけたら良いですね。

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