突然、親が要介護に!長く続けられる「私の介護」のつくり方

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突然、親が要介護に!長く続けられる「私の介護」のつくり方

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

介護には「見えない出費」があることを念頭に置きましょう。介護は長く続くことが珍しくありませんが、はじまるのはたいてい突然です。
介護が必要になるきっかけに多い、転倒や骨折、脳卒中や心筋梗塞は、どれも突然起こること。

ご高齢者の場合、数日間の入院でも自力で歩けなくなってしまうことがあります。
自宅で生活できるほど体力が回復していなくても、急性期を過ぎると退院しなくてはなりません。
慌てて要介護認定を受け、バタバタと介護生活がはじまるのは、典型的なパターンのひとつです。

どこで暮らすのか、どうやって生活するのか、そして介護は誰がするのか。
もちろん介護を受けるご本人の意思が大切ですが、介護にあたる側の都合も考慮しないと、介護生活がつらく、苦しいものになってしまいます。

介護する方が無理なく、長く続けられる介護生活をつくるには、いくつかのポイントがあります。
どうすれば「大変」を減らせるかのヒントをぜひ見つけてください。

● どこで暮らすのか?迷ったときの思考の整理方法
介護が必要になったとき、「どこで暮らすのか」は最初に頭を悩ませることではないでしょうか。
いくつかの選択肢が考えられますね。

・今までどおりに自宅で暮らす
・施設に入居する
・介護者の家に要介護者を呼び寄せて一緒に暮らす
・介護者が要介護者の家で一緒に暮らす

などがあげられます。
親戚や家族で話し合いをすると、どれが最良の選択肢なのか、わからなくなってしまうことがあります。
そのようなときは、まずそれぞれ暮らし方のメリット・デメリットを整理することが肝心です。

その選択を、「誰が」望んでいるのか。
なぜそれを望んでいるのか(メリット)。
それを選択すると、「誰が」困るのか。
どうして困るのか(デメリット)。

「誰が」の部分が「ご本人(要介護者)」なのか「私(介護者)」なのか、主語をきちんと見極めましょう。
「本人がそうしたい」のか、「私がそうしたい」のか。
ここをわかったうえで話し合えば、折り合いの付け方が見えてきます。
言葉の伝え方も、違ったものになってくるでしょう。

「誰」を優先するかに、正解も不正解もありません。
ご本人の希望が「自宅で暮らす」でも、介護する方が「家に呼び寄せて介護したい」と思うなら、その選択も間違いではありません。
介護者が介護しやすい環境は、長く介護を続けるうえでとても重要なことだからです。

また、ご本人に「自宅で暮らしたい」という思いがあり、ご家族も「かなえてあげたい」と思うなら、身体がどのような状態でも、あきらめることはありません。
たとえ入院で体力や身体機能が落ちて身の回りのことが十分できなくても、「自宅で暮らし続けたい」という希望をケアマネジャーや医療スタッフに伝え続ければ、方法はきっと見つかります。
その際、大切なポイントは「自宅で暮らすと誰が何に困るのか」を整理しておくこと。
それを補う在宅介護サービスを組み合わせることで、自立した生活を営むことは可能です。

ご家族は心配が先立ってしまいがちですが、要介護の方が住み慣れた家で暮らしていく方法もあるということも、ひとつ覚えておきましょう。


● 介護する方が調整できる範囲で介護サービスを利用する
今は介護サービスが多様化しています。
デイサービスひとつとっても、整骨院に併設されていて機能訓練が受けられたり、レクリエーションが工夫されていたりと、さまざまです。
子どもの習いごとではありませんが、「あれもこれもやらせてあげたい」と考える介護者の方もいます。しかし、たくさんサービスを受けることが、必ずしも良い結果を生むわけではありません。

たとえば午前と午後に別のサービスの予定を入れるとします。
ご高齢の要介護者が1日に2つも予定をこなせば、効果より疲れのほうが勝ってしまうかもしれません。
人に会ったり、出かけたりするには、身支度も必要ですし、トイレや食事も合間に済ませなくてはなりませんので、介護する方もかなりの忙しさになるはずです。

さらに、要介護の方の場合、予期せぬハプニングも多く、予定通りものごとが進むわけではありません。時間に追われていると、心のゆとりもなくしてしまいがちです。

介護サービスは多いほど良いわけではなく、ちょうど良い分量を見つけることが大事だということですね。どのサービスを選べば良いか判断に迷ったら、ご本人が望む生活に足りないもので、家族がかわりにできないことを優先することをおすすめします。

たとえば、訪問看護や訪問介護は、医療や介護の専門家が行うサービス。
家族ではできないケアを提供してくれるのはもちろん、健康上の不安や介護生活の悩みにも対応してくれるので、「安心感」を得られます。
自分でできることを増やしたいなら、デイケアや訪問リハビリを中心にスケジュールを組むのも良いでしょう。但し、リハビリは疲れるので、「休み」をしっかりつくってあげることも大切です。

介護サービスを受けるということは、介護する方のスケジュールにも少なからず影響が及びます。
ご本人が本当に必要とする介護サービスを取捨選択し、介護する方が調整しきれる範囲で組み合わせましょう。つい、要介護者のことばかり考えがちですがここも大切なポイントです。


● 介護にかかる「見えないお金」にも目を向けて
介護には、介護サービスの自己負担のような「見えるお金」のほかに、「見えないお金」があるのをご存じでしょうか。

たとえば、こんな場面
・介護が必要な親が遠方に暮らしているので、定期的に新幹線で帰る
・介護が必要な親の家に顔を出してから帰宅すると遅くなるので、自分の家にはお弁当を買う
・食材やおむつなどのまとめ買いを頼まれたが、荷物が多いので帰りはタクシーを利用する

介護する方の負担は、労力だけではありません。
介護のために使うこうした間接的な出費は少なくありません。

介護は長く続くことが多いので、過剰に何でも引き受けようとすると、いずれ負担になります。
家族としての情も大事ですが、冷静に「できること」「できないこと」の線引きをすることも必要。
特に経済的な部分は、「見えない出費」があることも念頭に置いて、きちんと話し合っておくことをおすすめします。

「力になってあげたい」「自分が支えなくては」という気持ちだけでは、介護は続けられません。
介護する方は、まずは自分や自分の家族の生活をしっかり成り立たせることが先決です。
そのうえで、介護される人の生活をどうやって組み立てるのかを考えましょう。
ケアマネさんに相談すれば、きっと力になってくれます。
なるべく今の生活や自分のコンディションを崩さず、長く介護を続けていける方法を見つけてくださいね。

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