在宅介護での薬の管理や飲み忘れ防止の工夫
こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。
今回も、セコム医療システムの岡田和晃(かずあき)薬剤師を迎え、「在宅介護と薬」について語る第2弾をお届けします。
介護が必要となった方が住み慣れた自宅で暮らしていくためには、薬と正しく付き合うことがとても大切です。
けれども、在宅療養中の服薬(ふくやく:薬を飲むこと)管理は、薬の種類や、服用時間等、さまざまな理由で難しくなってしまうことがあります。
皆さんも、薬の種類が多かったり、飲む時間がバラバラで生活パターンと合わず、ついつい大事な薬を飲み忘れたり、薬をどこに置いたかわからなくなってしまったりした経験がある方も多いのではないでしょうか。
そこで、岡田薬剤師に服薬管理の工夫や飲み忘れ対策について聞いてみました。
具体的で効果的な方法をご紹介しますので、ぜひ介護生活にお役立てください。
● 薬の管理は生活スタイルにあわせて
在宅介護をしているご家庭では、たとえば、薬のパッケージに服薬する日付やタイミング(朝食後・就寝前など)を直接書き込んだり、洗面所や食卓など、よく目に付く場所に薬を置いたりと、きちんと服薬するための工夫を実践されているかと思います。
それでも飲み忘れや飲み間違いは珍しくありません。
服薬管理の工夫について、岡田薬剤師に聞いてみました。
「薬の管理をサポートするツールはいろいろあります。
たとえば、小分けにできるピルケース。
飲んだかどうかがひと目でわかるので、服薬管理がしやすくなります。
ただ、置き場所を定着しないと、ついうっかり飲み忘れてしまうこともあるようです。
飲み忘れが多いなら、壁掛けタイプのお薬カレンダーがおすすめです。
目に付きやすいので飲み忘れ予防に役立ちます。
ピルケースやお薬カレンダーには、いろいろなタイプがあります。
1週間分の薬を曜日ごとに朝・昼・夕・寝る前4回分収納できるものや、1カ月分の薬を収納できるものなど、曜日の並び方やサイズによっても、使い勝手や使用感が随分違うようです。
ピルケースもお薬カレンダーも、薬局やドラッグストア、100円ショップなどで扱っていますので、実際に手にされ、ご本人や介護するご家族が一番使いやすそうなもの、そして目に付きやすく、生活環境に違和感なく取り入れられるものを選ぶと良いと思います」
最適な方法が見つからなければ、薬剤師に相談してほしいということでした。
服薬が生活習慣のひとつになるよう、試行錯誤することも必要なんですね。
● 手作りアイテムも活用する
処方されている薬が、飲み薬だけではない方もいらっしゃいます。
吸入器や塗り薬などを使用している場合、使い忘れをどのように防げば良いのでしょうか。
「患者さんの枕元などに吸入器や塗り薬をそのまま置いていても、見落としてしまいがちです。
そんなときは、空き箱などを利用して、お薬の収納箱を作ってみては如何でしょうか。
手作りのものは存在感があるのか、かなり効果があります。
在宅介護の場合には、ヘルパーや訪問看護師など家族以外の方が対応することもあるので、箱に使い方や注意点などを書いておくと良いと思います」
と岡田薬剤師。
在宅介護にはヘルパーや訪問看護師などさまざまな人が関わりますので、薬の情報を共有するだけでも大変。
薬に関して、どんなときに、どうしてほしいかを明確にしておくと、迷うことなく対応できるので、ヘルパーや訪問看護師側にとってはありがたいものです。
ちょっとしたアイデアと心配りが、服薬管理がうまくいく鍵になるのかもしれません。
服薬管理は、在宅介護に関わるご家族や、訪問介護サービスの提供者が一丸となることが重要といえます。
● お薬手帳を活用して情報共有を
岡田薬剤師は、お薬手帳を服薬管理にも利用してほしいと言います。
「お薬手帳は、処方された薬の履歴を残すものですが、患者さんご自身に役立てていただくためのものでもあります。
たとえば、日々の服薬状況を記録したり、体温や体調面で気になることを書き込んでみて下さい。
さまざまな種類の薬を服用している患者さんの日々の様子や体調変化を把握することは、医療者にとってとても重要です。医療者は日常や体調変化によって、現在行っている治療に薬が体に合っているか、飲み合わせに問題がないかなどを判断することができますので、治療効果にも大きく影響してくると思います。」
お薬手帳に書き込みをしても良いということをご存じない方もいるかもしれませんね。
単なる薬の記録帳ではなく、健康手帳として活用するのがおすすめなのだそうです。
お薬手帳にまとめて書き込めば、一貫した情報に基づいて、長期的かつ多面的に要介護者の方を見ることができ、適切な治療につながっていくはずです。
次回は、薬が飲みにくい場合の対応策や、ジェネリック医薬品のことなど、服薬に関する身近な疑問についてまとめます。
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