特養とは?どんなところ?入所の基準や入所待ちの現状について

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特養とは?どんなところ?入所の基準や入所待ちの現状について

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

特別養護老人ホーム「久我山園」で市橋奈緒美施設長に話を伺いました。介護保険の「施設サービス」のひとつである、「特別養護老人ホーム(特養)」。
常時介護が必要で、自宅で暮らすことが困難な方のための「生活の場」です。

24時間体制で介護サービスが提供され、有料老人ホームよりも費用負担が少なく、期限を気にせずに滞在できることから、大変人気があります。

特養のことをご存知の方には、入所を希望しても申込者が多くてなかなか入れない...というイメージがあるかもしれません。
確かに特養の入所待ちの多さは、超高齢社会における課題のひとつになっています。
平成26年3月に発表された厚生労働省の報告によると、特別養護老人ホームの待機者は52万4000人。
なかなか入れないのも無理はありません。

ただ、「本当に入所が必要な人が入所できる」仕組みづくりも進められており、少しずつ状況が変わってきています。

特養への入所を検討するにあたっては、まずは特養とはどのような施設なのかをきちんと知るところからはじめましょう。

社会福祉法人 康和会 特別養護老人ホーム「久我山園」を訪れ、市橋奈緒美施設長に話をお聞きしてきました。
特養を希望する方にはとても参考になると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

● 現在の特養の待機状況は?
待機状況について話す市橋奈緒美施設長。市橋施設長:介護保険法が改正され、平成27年4月から原則として要介護度3以上の方しか入所できなくなりました。現在は、重い要介護状態にある高齢者の方の生活をサポートする施設として、適正に入所決定の運用がなされています。
要介護度以外でも、介護期間や介護者等の状況、行動・心理症状などをポイント制で判定し、優先度の高い順に入所が決まる仕組みです。
公平性や透明性が確保されるようになって、必要性の高い人が入所しやすくなったと言えると思います。

武石:申し込みの要件が変わったことで、入所待ちの状況は改善されているのでしょうか。

市橋施設長:地域や施設によっても差があると思いますが、久我山園がある世田谷区では、平成28年3月31日時点での入所希望申込者は約1,800人。久我山園だけでも約160人の方が待機しています。「どれくらい待ったら入所できますか?」と聞かれることがあるのですが、先着順ではないので、確実なことは申し上げられないのです。


● 「要介護3以下」でも特養に入れる場合がある
入所を希望する場合は、相談してほしいと市橋施設長。特養は地域に開かれた施設なので、足を運んでみると良いでしょう。武石:在宅介護の現場を見ていると、ご家族の介護の大変さや生活の困難さが、必ずしも要介護度と一致しないことがあるのを感じます。たとえば認知症の方ですと、体は元気でも日常的にさまざまな介助が必要ですし、目に見えない精神的負担が非常に高いと思うのですが・・・。
要介護度が低くてもサポートを必要とする方が特養を希望した場合、入所は難しいのでしょうか。

市橋施設長:特養への申し込みは、「要介護度3以上」が条件のひとつですが、要介護度1や2の方でも、やむを得ない事情があって特養以外での生活が困難だと判断された場合は、特例的に認められることがあります。
重度の要介護状態で入所を待っている方もいらっしゃいますから、入所の優先度については自治体(久我山園の場合は、管轄する世田谷区)と施設とで話し合って検討します
介護が必要な程度、介護提供の環境や困難度は、一人ひとり全く違います。優先順位のつけ方や流れは自治体や施設によっても違いますので、お困りでしたら直接、自治体や施設に相談してみるといいと思いますよ

武石:どうしても特養に入りたいという事情があるなら、諦めずにまずは入所を希望する施設や自治体などに相談することが大切なのですね。


● 市橋施設長から皆さんへ
改正された法制度のもとで、状況は少しずつ改善していますが、まだ簡単には入所できないのが現状です。そのイメージから、閉鎖的な施設のように感じている方もいらっしゃるのですが、決してそんなことはありません。
特養は、地域のために存在する施設ですから、すぐに入所できない方に対しても、お手伝いできることがあるのではないかという思いを持っています。ぜひ特養と接点をつくってうまく活用してください。
特養には、ひとつの施設の中にいろいろな専門家がいます。
生活相談員やケアマネジャーもいれば、介護士もいますし、看護師や機能訓練指導員、管理栄養士もいますので、気軽に足を運んでいただければ、在宅介護のことなどでもアドバイスできることもあるのではないかと思います。
何より、特養は介護が必要な方の"終(つい)の棲家(すみか)"になることが多いので、お看取りの心構えや準備のことでもお伝えできることがあるかもしれません。

● インタビュー後記
近年は、国の推進する「地域包括ケアシステム」のもと、介護施設と地域の連携も進んでいて、一般の方向けに介護に関するセミナーやイベントを行っている特養もたくさんあります。
久我山園でも、地域にお住まいの方や施設利用者のご家族などを対象に、在宅での看取りを経験したご家族や専門職の方々の体験を伝える "看取りシンポジウム"を定期的に開催しているそうです。

特養は要介護度が高い方への介護のノウハウをたくさん持っていますから、こうしたイベントでは介護するご家族の方はもちろん、介護施設や介護情報に関心がある方にとっても、とてもためになる話が聞けると思います。

地域と連携し、開かれた施設を目指す特養。
入所を検討される際は、実際に足を運んで話を聞いてみることをおすすめします。

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