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認知症の「理解できない」行動をちょっとだけ「理解する」ために

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

行動には理由があるものです。謎を解くように「なぜ?」を探してみましょう。 認知症の方と過ごしていると「なんでそうなるの?」「理解できない」と感じる瞬間があります。
思わずイラッとしてしまったり、強い言葉で反応してしまったりすることもあるかもしれません。

ですが、どんな行動にも理由があるものです。
その人なりの行動がそこにあらわれています。

「なんでそうなるの?」
「理解できない」

そのすべてを完璧に理解することはできなくても、「なぜ?」「どうして?」を想像することで少し気持ちがやわらぎます。


●認知症の人の行動の裏には「不安」が隠れている

認知症になると、記憶力や判断力が低下します。

言葉にしたくても、うまく気持ちが整理できない、伝えられない。
周囲の状況を正しく把握できない。

そうなると日常生活に支障が出てきます。

・自分の状況を理解できない不安や戸惑い、もどかしさ
・自分のペースが崩される怖さ
・周囲にわかってもらえない悔しさや孤独
・失敗やできないことへの恥ずかしさ

こうした感情が「理解できない行動」となってあらわれることがあります。
私たちは言動に対して「理解できない」と感じますが、ご本人からすれば不安な状況、よろしくないと思う状況をどうにか乗り切るための行動でもあるのです。


●イラッとしたときこそ、「ひと呼吸」を置いてみる
認知症の方はとても敏感で、こちらの感情や雰囲気を察知します。
こちらが怒れば、相手も不安になり、さらに行動が激しくなる。
こうしたやりとりが続くと、BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementiaの略、徘徊、暴力や暴言、妄想などの行動・心理的症状)が強まることがあります。そうなってしまうと悪循環です。

だからこそ、理不尽な状況に対して怒りで返す前に、ほんの少しだけ「間」をつくることが大切。
特に認知症の方の拒否や怒りなどネガティブな言動にさらされる時、ほんの数秒間でかまわないので、「どうしてだろう?」と考えてみてください。


そのとき思い出してほしいのは、

・「私を困らせたい」のではなく、本人もどうしていいかわからない
・理不尽な言動に見えて、実は困っているのかもしれない

ということです。
介護者の方に、がまんやがんばりを強要しているわけではありません。

「このネガティブな言動は、私個人にむけられているものではなく、何か困っているサインかもしれない」

このように受け止め直すと、怒りに飲み込まれずに済みます。
何より介護者自身の心を守るセルフケアにもなります。


●「どうしてだろう?」の積み重ねは「謎解き」のようなもの
認知症の方の行動は本当にさまざまです。
その背景には、その人なりの理由が隠されています。

行動の「なぜ?」を考えることは、ちょっとした謎解きのようなものだと思っています。

・怒っているのはできない自分を隠そうとしているのかもしれない
・そわそわ落ち着かないのは、家族の役に立とうとしているのかもしれない、迷惑をかけまいと思っているのかもしれない
・拒否が激しいのは他人に弱みを見せたくないという、もともとの性格が原因かもしれない

認知症になると、行動や表現の仕方は変わるもの。
その変化だけを見ると、「認知症=理解できない」という見方になりがちです。

「認知症だからこうなる」のではなく、その人の性格やこれまで大切にしてきた価値観などが、違う形であらわれているだけだと考えてみてください。

「その人がどんな人生を歩んできたのか」を思い出すと行動の背景が見えやすくなり、「理解できない」がちょっとだけ「理解できる」に変わっていきます。


その答えがひとつとは限りませんし、いつも同じとは限りません。
昨日の正解が、今日は通じないこともあります。
いつだって手探りだからこそ、一人で抱え込まず、周囲の人を巻き込んで一緒に考えていきましょう。

「どうして?」「何が起きているんだろう?」と、考える習慣そのものが大切なのです。
それは理不尽な状況に向かい合うあなたの心を、少しだけ救うことになるかもしれません。


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