こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。
親の近所に住むきょうだいと、離れて暮らすきょうだい。
親の介護をめぐっては、きょうだいのあいだで「関わり方」に差が出るものです。
離れて暮らすきょうだいにも、親の介護に関わる方法はあります。
「きょうだいを支える」という考え方について考えてみましょう。
●「親の支え」ではなく、「介護しているきょうだいの支え」に
久しぶりに帰省して親の様子を見ると、「前よりも元気がない」「部屋が散らかっている」など、気になることも多いでしょう。
けれども、そこで「ちゃんとやっているの?」「もっとこうすればいいのに」などと言ってしまうと、つらいのは、介護を担っているきょうだいです。
遠方に住むきょうだいが心がけたいのは、「親」ではなく「介護しているきょうだい」を支えるということ。
「いつもありがとう」「大変だったね」と伝えるだけでも支えになれます。
そばで面倒をみてくれている人の努力を理解し、ねぎらうことが大切です。
●親の言葉をうのみにせず、冷静に状況を見つめる
久しぶりに親に会うと、親の言葉をそのまま信じてしまうことがあります。
「お姉ちゃんは冷たい」
「こんなひどいことを言うの」
そんな言葉を真に受けてしまうと、そばで介護を続けているきょうだいを傷つけることにもなりかねません。
高齢になると、体の不調や日常の不自由さに加え、外出の機会が減り、関心の範囲が身の回りのことに限られていきます。
そうした閉じた生活環境のなかでは気分が揺れやすくなり、ちょっとした不満や苛立ちが、近くにいる家族へ向けられてしまうことは少なくありません。
毎日そばで支えている介護者ほど、理不尽な言葉を受け止める場面も多いのです。
親の言葉の表面だけを受け取らず、冷静かつ客観的に、親の話とあわせてきょうだいの話も聞く姿勢が欠かせません。
介護を担うひとは、目には見えない、他人にはわかりにくい葛藤や苦悩を抱えているものです。
何気ない介護、何気ないやり取りでも、実は大きなストレスになっていることもあります。
ぜひ、その立場になって考えてみてください。
普段介護しているきょうだいを支えることが、そのまま親の支えになります。
介護を担うきょうだいに
「何を助けてほしい?」
「どうしたラクになる?」
シンプルに尋ねてみると良いと思います。
きょうだいが話してくれるまで、寄り添い聞くことが大切です。
親の介護の中心から離れているなら、中心にいるきょうだいの声に耳を傾けましょう。
「仕切る」「判断する」のではなく、「聞く」ことが大きな支えになります。
●離れて暮らすきょうだいができる「本当の支え」とは?
それは、介護の一部分を代わりにこなすことではありません。
親の世話や日常の段取りを部分的に引き受けても、結局は中心となって介護しているきょうだいの負担は続きます。
効果的なのは、介護の苦労を理解し、受けとめること。
そして、介護そのものを一度まるごと引き受けて、介護を担うきょうだいを休ませること。
「2~3日なら私が見るから、旅行にでも行ってきたら?」
この一言がとても大きな救いになります。
介護は、体力よりも気力が試される長距離走です。
数日でも介護から離れて心身をリセットできるだけで、その後の関わり方や気持ちの余裕がまったく違ってきます。
普段は遠方に住んでいても、まとまった時間をつくって交代したり、一時的にショートステイを手配して「休む期間」を支援したりすることはできるはずです。
家族のかたちも、関わり方も、それぞれ違って当然。
お互いの立場を尊重しながら、無理のない距離で支えあえたら良いですね。
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