こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。高齢の親がこぼす「しんどい」「大変」といった言葉。
あなたはどう返していますか?
「また同じことを言っているな」
「それは前にも聞いた」
受け流してしまいがちな言葉ですが、なかには助けを求めるサインがあるかもしれません。
親の言葉の「真意」をどう見極めるか。そのヒントをまとめます。
●同じ言葉を繰り返すのはなぜ?
繰り返される言葉には強い不安や訴えが隠れていることがあります。
同じことを何度も言うのは、単なる身体の不調ではなく、孤独感や不安感のサインかもしれません。
たとえば「膝が痛い」。
「痛いなら病院に行こう」と促しても、あいまいに受け流されてしまうことがあります。
それなのに「痛い」と繰り返す。
「そんなに痛いなら病院へ」「いったい、どうしたいの?」という気持ちになるのも無理はありません。
「膝が痛い」という言葉の裏にある「親の気持ち」を想像してみましょう。
・本当に治療が必要な痛みがある
・日常の不便や大変さをわかってほしい
・ただ話を聞いてほしい。単なる話のきっかけづくり
・「辛いね」と優しい言葉を掛けて欲しい
など、いくつもの気持ちが重なっているのかもしれません。
言葉だけで判断せず、口調やそのときの様子、過去の行動パターンから「いつもとの違い」を見極め、本当に抱えている思いは何かを考えることが大切です。
●「大丈夫!」は強がり?本音?
高齢の親が「大丈夫!」には、強がりのケースと本音のケースがあるものです。
必ずしも安心して「大丈夫」と言っているとは限りません。
本音では「大丈夫」ではなくても、「迷惑をかけたくない」「自分らしさを維持したい」という気持ちから強がっているのかもしれません。
「いちいち呼ぶのは、申し訳ない」という気持ちから、ギリギリまで我慢している。
「大丈夫」と言いながら、うまくできなくなったことを隠そうとしている。
なんとかがんばることで自分らしさを維持している。
「頼りたいけど頼りたくない」という葛藤。
加齢による身体機能の低下で自分だけではままならないことが増えてきたとき、そんな現実をすぐに認められる人は決して多くありません。
「どうしたの?」「手伝おうか?」と声をかけるだけでも、親の気持ちは少しラクになるものです。
あるいは、多少危なっかしくても手出しせず見守ることが、本人のためになることもあります。
どちらが正解かは個人によりますし、タイミングにもよります。
どちらにしても、相手のペースにあわせて寄り添うことが大切です。
表面的な言葉に振り回されるのではなく、「その奥にある本当の気持ち」を考える、想像する、そして寄り添うことです。
●SOSを見逃さないために
まずは、「ふだんの様子」を知っておくことが何よりの対策になります。
元気なときとの違いに気づければ、小さなSOSを見逃しにくくなります。
家族だけで判断するのが難しいときは、かかわっているサービスのスタッフに相談したり、家族がいない日中に声を掛けてくれるご近所の方に話を聴いてみるのもひとつの方法です。
定期的にかかわってくれる人と「本当に困っているときはどうなるのか」「ふだんとの違いは何か」を共有できると、家族だけでは拾いきれないSOSに気づけることもあります。
愚痴なのか、本当に困っているのか。
ついモヤモヤしてしまうのは、親のことをちゃんと見ようとしているからこそ。
すれ違いや、いら立ちの奥には、あなたの「思いやり」があることを、どうか忘れないでください。
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