在宅介護で覚えておきたい「かゆみケア」のポイント
こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。
前回は、「在宅介護で覚えておきたいスキンケアのポイント」と題して、保湿を中心とした肌荒れ対策をまとめました。
乾燥しやすい部位、肌トラブルを起こしやすい部位などを、きちんとケアすることが健やかな肌を守るコツです。
今回は、「肌のかゆみ」をテーマにまとめます。
肌のかゆみを訴えるご高齢者は非常に多く、在宅介護でも「よくある困りごと」のひとつです。
かゆみはコントロールが難しく、ご本人にとってもつらいこと。
なんとかしてあげたい...と考える介護家族が多いのではないでしょうか。
かゆさのあまり寝不足になったり、かきこわして炎症や化膿(かのう)してしまったりすることもあり、「かゆみくらいたいしたことはない」とはいえないほど深刻なケースも見られます。
では、肌のかゆみに対して、介護者であるご家族は何をしてあげれば良いのでしょうか。
具体的な方法をまとめますので、ぜひ参考にしてみてください。
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● かゆみの原因を特定する
かゆみの原因となるのは、乾燥だけではありません。
湿疹やかぶれ、細菌性の皮膚炎、アレルギー反応など、かゆみの原因はさまざまです。
疥癬(かいせん)というダニの一種がかゆみを引き起こす疾患もあります。
疥癬(かいせん)は、デイサービスやショートステイなどの高齢者施設などで集団発生することがあり、利用している方にとって無縁とはいえません。
また、肌の乾燥が原因のかゆみも、ひどくなれば皮膚炎として治療が必要な場合もあります。
念入りに保湿していても、スキンケア用のクリームがご本人の体質にあわないこともあるかもしれません。
いずれにしても皮膚疾患は一般の人が見ただけでは判断できないので、皮膚科を受診して、かゆみの原因を特定することが大切です。
ご家庭でのスキンケアでかゆみを解消できないのであれば、早めに皮膚科を受診してください。
● 処方された薬と保湿剤を上手に使う
かゆみをともなう皮膚疾患では、病院から塗り薬や保湿剤を処方されることが多くなっています。
処方されるステロイドの塗り薬を敬遠する方もいらっしゃいますが、指導されたとおりに正しく使えば、さほど心配はありません。
ステロイド剤を上手に取り入れていくことが大切です。
ご本人の肌の状態を診断して、最適な配合のステロイド外用薬が処方されるはずですが、使用前に医師や薬剤師に使い方や副作用をよく確認しておいたほうが良いでしょう。
また、病院で処方してくれる保湿剤は、いろいろな成分のものがあります。
軟膏やクリーム、ローションなど、テクスチャーもさまざまです。
こちらも症状にあわせてご本人にあったものが処方されるので、市販のものをあれこれ試すより、安心して使えるのではないでしょうか。
もし症状が改善されなければ、塗り薬や保湿剤を別のタイプのものに変えてもらうなども可能です。医師に相談しながらかゆみケアをしていくようにしてください。
● かゆみがどうしても治まらない!そんなときどうすれば?
肌のかゆみがでやすいのは、布団に入って体があたたまってきたとき。
ウトウトしてきたところで、猛烈なかゆみに襲われる...。
この繰り返しでなかなか寝付けない方もいますし、介護者も起こされて睡眠不足になるなど、悪循環で苦労している方も少なくないと思います。
このようなときは、ステロイド外用薬を塗布すると良いのですが、何度も塗り直すのは心配ですし、それでもかゆみが治まらないこともあるようです。
かけばかくほどかゆみは広がりやすいので、なるべくかかずにかゆみを抑えることが肝心。
どうにもならないかゆさを抑えるなら、一度肌の状態をリセットしてあげてください。
冬ならばあたたかい蒸しタオルで、夏ならば冷たいタオルで、かゆい部位をやさしく拭いてみましょう。
塗っていた薬や保湿剤もぬぐわれてしまいますが、お風呂あがりのように肌がさっぱりすると、かゆみの感覚が軽減することがあります。
かゆみが治まったところで、あらためてスキンケアや薬の塗布をおこなってみましょう。
「手当て」という言葉がありますが、人の手が触れることで、痛みが和らぐといわれているのをご存じでしょうか。
人の手のひらには、癒しや落ち着きをもたらし、痛みを忘れさせる効果があるのだそうです。
かゆみも同じこと。
対処しようがないかゆみに困ったときは、優しい気持ちで肌に触れてあげてください。
気持ちの良い温度のタオルでやさしく拭いてあげるのも、「手当て」のひとつ。
かくのはNGですが、肌に直接手を触れて、繰り返しなでてあげるだけでも良いと思います。
在宅介護では、日々さまざまな困りごとがあると思いますが、痛みやかゆみの対処方法のひとつとして「手当て」も覚えておくと役立つことがあるかもしれません。