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在宅介護で新型コロナウイルス対策に有効な手洗い・手指消毒のコツ

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

感染症予防のため、手洗いを習慣化しましょう。いまや私たちの生活は、新型コロナウイルスと切り離して考えられないものになっています。
インターネットなどでは出どころや根拠が定かではない情報も入り乱れ、さらに不安や混乱を招いているようにも思えてくるこの頃です。

在宅介護をしているご家庭では、決して免疫力が高いとは言えない要介護者との生活が続きます。
ナーバスになったり、うわさに振り回されてしまったりすることも、あるのではないでしょうか。

新型コロナウイルスはまだわからないことが多く、決定的な対策が確立されていませんが、現時点(*)でわかっている有効な予防対策のひとつは「手洗い」です。
(*)2020年9月 厚生労働省発表

在宅介護でも、要介護の方にしっかりと手洗いしてもらうことはとても大事。
しかし、身体の機能の問題もあり、手洗いを習慣化しにくいケースが多く見られます。

そこで今回は、要介護の方に行う手洗いのコツや、アルコール消毒液を使った手指消毒についてお話しします。
手洗い・消毒を徹底して、新型コロナウイルスの不安を少しでも減らしましょう。

● 要介護の方の手洗い習慣は「声かけ」から
新型コロナウイルス感染症は、感染者の咳やくしゃみで飛んだ飛沫を吸い込んで感染する「飛沫感染」のほか、ウイルスが付着した手指が目・鼻・口の粘膜に触れることで感染する「接触感染」が確認されています。

そのため、感染を防ぐには「ウイルスが付着したものに触れないこと」と「手指についたウイルスを除去すること」が重要とされています。
新型コロナウイルスに限らず、インフルエンザなどほとんどの感染症の予防対策の基本です。

しかし、ご高齢の方ですと、そもそも手洗いの習慣がなかったり、洗面所への移動に支障があったりして、手洗いを避けてしまうことがあります。
生活習慣のなかに手洗いを取り入れてもらうには、まず「声かけ」からはじめましょう。

一緒に出かけて帰ってきたら、「手を洗いましょう」
食事のしたくをするときや、食事をする前に「手は洗った?」

このように折に触れて繰り返し声をかけるだけでも、手洗いが日常の習慣として根付いていきます。
認知症の方ですと手洗いの必要性を認識できない場合もあり、習慣化するのがなかなか難しいのですが、なおのことこまめな声かけを意識しましょう。
帰宅時や食事の前に必ず洗面所の前を通るなど、さりげなく誘導する工夫も必要です。

また、最近はスーパーや郵便局などにもアルコール消毒液が備えられています。
お出かけ先で見かけたら、必ず「消毒しましょう」と声をかけましょう。

ご家族や周りの方の働きかけで、「いつも手をキレイにする」ことを習慣化することは可能です。


● 要介護の方に手洗いをしっかり行うコツ
せっかくの手洗いも、正しく行わなくては手指についたウイルスを除去することができません。
まずは厚生労働省が紹介している手洗いの手順をおさらいしましょう。

(1)流水で手を濡らし、石けん液を手のひらで泡立てて、よくこすります。
(2)手の甲にも石けんをのばして、反対の手でこするように洗います。
(3)指先や爪の間も念入りにこすります。
(4)両手を組むようにして、指の間を洗います。
(5)親指は反対側の手でつかんでねじり洗いします。
(6)手首まで忘れずに洗います。
(7)流水でよくすすぎ、清潔なタオルかペーパータオルでよく拭きとって乾かします。

手洗いは、水で洗い流すだけでもウイルス除去効果がありますが、「石けん」と「水洗い」でさらに効果が高まります。特に新型コロナウイルスは石鹸に含まれる界面活性剤で不活化することができます。
ハンドソープで10秒もみ洗いしてから流水で15秒洗い流すと、付着していたウイルスは1/10000にまで減り、これを2セット行うと1/1000000にまで減らせるというデータもあります。
介助する方がそばについて、正しい手洗いができるよう見守ってあげてください。
麻痺や拘縮(こうしゅく)がある方は、特に手のひら(内側)が不衛生になりやすいので、介助する方が「正しい手洗い」をしてあげると良いですね。

また、要介護の方の手洗いは、なるべく安定した姿勢で行うことが肝心。
足腰に不安がある場合は、車いすや丸椅子などを用意して座った姿勢で手洗いを行うと良いでしょう。
腕が伸ばせず、蛇口まで手が届かない場合は、やかんやペットボトルに水を入れて流してあげる方法もあります。寝たきりで洗面所に行くことが困難な方は洗面器やおむつの上で手を洗い、
同じように洗い流す「手浴」をするとよいでしょう。

● アルコール手指消毒をすれば手洗いは要らない?
ハンドジェルやアルコールスプレーなど、消毒液を備えているご家庭も多いと思います。
洗面所で手を洗うより手軽なので、「消毒すれば、手洗いはしなくても良いのでは?」と思うかもしれませんね。

けれども、アルコール手指消毒は手洗いに替わるものではありません。
アルコールには殺菌力がありますが、目に見える汚れを除去することはできませんし、目に見えないウイルスを除去するにも「洗い流す」ほうがおすすめです。

どうしても手洗いができない場合を除いては、「まずは手洗い」を心がけてください。
アルコール消毒剤は、手洗い後に手指をより清潔にしたいとき、必要に応じて利用すると良いでしょう。

新型コロナウイルスの感染予防対策としてアルコール手指消毒を取り入れるなら、手洗いと適切に組み合わせて行うことが大事です。
たとえば訪問介護スタッフは、手洗いを徹底したうえで、以下のようなタイミングでアルコール手指消毒を行っています。

(1)ご利用者に触れる前
(2)ご利用者に触れた後
(3)衛生的に行うケアの前(口腔ケア、ぬり薬の塗布、食事の準備、介助など)
(4)ケアや介助を行った後
(5)ウイルスやばい菌が付着しているかもしれないものや場所に触れたとき(食事後にテーブル周りを拭いた後、おむつやシーツ交換を行った後など)

ご家族の方は、要介護の方のそばに行くときは、まず手洗い。
枕元や食卓にアルコール消毒液を備えておき、お世話をする前と後に手指消毒を行うと良いかもしれませんね。
食事の前などは、介護する方だけではなく、ご本人にも手洗いや、手指消毒してもらいましょう。


● アルコール手指消毒のポイント
アルコールによる手指消毒にもコツがあります。

ポイント1:アルコール消毒剤はたっぷりつける
手のひらに500円玉くらいの量を出しましょう。
プッシュ式の容器なら、ポンプをしっかり押し切るまでワンプッシュ。少量では殺菌効果が乏しく、せっかく使用しても意味がなくなってしまいます。

ポイント2:「正しい手洗い」と同じ手順で
アルコール消毒液も、手洗いの石けんと同様に、手のひら・手の甲・指の周り・爪の間・手首までまんべんなく広げてしっかり揉みこみましょう。
特に爪の間は汚れが残りやすいので、くぼませた手のひらに消毒液をため、その中でこするようにすると効果的です。

ポイント3:アルコールの接触時間は1分以上
アルコール消毒液は、蒸発するときに殺菌効果を発揮します。
消毒液に触れている時間が短いとばい菌が手指に残ってしまいます。そのため「たっぷりつけて」「しっかり揉みこむ」ことが大事です。

要介護の方の場合、洗面所で何度も行くのが難しいこともあると思います。
どうしても手洗いができないときは、特に念入りにアルコール手指消毒を行ってください。
ただし、アルコール消毒剤は手荒れしやすいので、頻繁に使うなら保湿剤が入ったハンドジェルを選ぶのがおすすめ。
また、こまめにハンドクリームも塗りましょう。荒れた皮膚にはウィルスやばい菌が潜みやすくなります。

新型コロナウイルスとの共存は、これから先もしばらく続きます。
要介護の方やご家族の健康を守るためにも、正しい「手洗い」と「手指消毒」の方法をぜひ覚えておいてくださいね。


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