地震、台風、災害時...もしも訪問介護サービスがストップしたら?

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地震、台風、災害時...もしも訪問介護サービスがストップしたら?

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

いつ起きるかわからない自然災害。落ち着いて過ごせるよう必要な準備をしておきましょう。地震や台風、集中豪雨など、私たちは自然災害のリスクと共に生活しています。
最近では、災害が発生しても自宅が安全ならそのまま生活を続ける「在宅避難」が注目されていますね。

在宅介護を受けている方の場合、自宅が被害を受けていなくても、サポートの手が届かなくなることは重大な問題です。
公共交通機関がストップして、訪問介護スタッフが来られないなどの事態も考えられます。

ご家族が同居していれば、訪問介護が受けられなくても生活を維持することは可能かもしれません。しかし、独居や老老介護の世帯では、家族の助けをすぐに求めるのが難しい場合も少なくないはずです。

「助けが来るまでの数日間、第三者の助けを借りずになんとか乗り切る」方法を考えておかなくてはなりません。

どんな準備をしておけば良いのか、離れて暮らす家族はどのように行動すれば良いのか。
要介護の方を守るために、具体的な対策を立て、備えをしておきましょう。

● 「訪問介護サービスがストップしたら?」をシミュレーション
広域にわたる災害が発生したときには、誰もが危険と隣り合わせです。
ご高齢の要介護の方にすぐに支援の手が届くかどうかはわかりません。
少しでも長く、自力で生活を維持できるよう、準備を整えておく必要があります。

非常時に何が困るのか。
どんな助けが必要なのか。

起こり得ることをシミュレーションして想像をふくらませると、必要な備えや、相談しておくべき相手が整理されるでしょう。

ひとりで身の回りのことをするのに不安がある方の場合、「福祉避難所」を利用するという選択もあります。
福祉避難所とは、高齢者や要介護者など、特別な配慮を要する人たちを受け入れるための、設備や人材を備えた避難所のこと。
しかし、収容人数は限られており、普段からケアマネジャーに相談するなどして、いざというときの段取りを整えておきましょう。

台風のように、事前に予測できる災害の場合は、危険に備えて、あらかじめショートステイに行く、社会的な入院をするという方法もあります。
昨年の台風の際には、予報が出た時点で緊急のショートステイを調整し、避難された方も何人かおられました。
「大型台風が直撃するかもしれない」「大雨が続いて水災のリスクが高まっている」など、気象情報が報じられた時点でケアマネジャーに連絡を取り、緊急対応について話し合っておくと安心でしょう。

ご家族としては、誰が助けに向かうのか、どのように対応するのか、ご本人を含めて話し合っておくことが大切です。
近くにご家族が住んでいない場合は、ケアマネジャー、頼りにできるご近所の方にも相談し、できるだけ孤立しないための手段を整えておきましょう。
近くにご家族が住んでいる場合も、助けに行くまでご本人が落ち着いて過ごせるよう、必要なものはそろえておいてください。


● 非常時でも欠かせない「食べ物」と「水」
災害時には、ご家族や公的な救助が到着するまで、どれくらいかかるかわかりません。
独居、老老介護の世帯でも、少なくとも1、2日程度は、なんとか過ごせるための備えは必要です。

非常時においても絶対に欠かせないのは、「水」と「食べ物」。
災害時の非常食というと、缶詰や瓶詰、レトルト食などが思い浮かびます。
しかし、ご高齢の方の場合、自分で開封できないものをストックしても、非常食として役に立ちません。特に缶詰や瓶詰を開封することは、難しい方が多いようです。
また、認知症の方の場合、普段と違う行動、食べ慣れていないものを受け付けない場合もあります。

ご本人の残存能力に応じて、「これなら自分でできる」「1日くらいなら、なんとかこれを食べて過ごせる」というものを用意しておくことが大切です。

また、食べ物と同様に重要なのは「水」。
ペットボトルの蓋を自力で開けられない方も少なくありません。
その場合は、ストローを刺して飲める紙パックのお茶やジュースをストックしておくと良いかもしれませんね。
非常時の数日間のことですから、水分補給を「水」に限定しすぎる必要はありません。

要介護の方の災害の備えは、私達健常者の目線ではなく、ご本人にできること・できないことをきちんと見極めて準備することが何よりも大切。
備蓄品は「人の助けがなくても自分でできる」「必要なカロリーや水分が補える」という視点で考えてみましょう。


● 「好きなもの」「甘いもの」は災害時の支えになる
私は、東日本大震災の支援チームの一員として、現地の救援活動に参加した経験があります。
そのときに学んだのは、非常時こそ、明るい気持ちになれるものが必要だということです。

食べ物に関しても、防災用品として売られている非常食は便利で保存もききますが、そればかり食べていては、非常事態に置かれている不安を増長してしまうかもしれません。
ストレスが高まるからこそ、好きなもの、「おいしい」と心が喜ぶものを食べて、心身のバランスを取ることがとても大切なのです。

防災用の食品にこだわらず、好物や食べ慣れているメニューを中心に、保存がきくものを多めにストックしておくと良いでしょう。
佃煮や梅干しはもともと保存がききますし、おいしい煮物や焼き魚、お漬物など、真空パックなどで日持ちがするメニューも最近は豊富です。
また、レトルトのカレー(温めなくてもそのまま食べられる)、インスタントラーメンなども、たまに食べるとおいしく感じるという方もいます。これらは非常食としても十分です。

また、心身が疲れているとき、ストレスが高まっているとき、人間の脳は甘いものを欲します。
羊羹やキャラメル、チョコレートなどは、カロリー補給においても優秀ですし、疲労回復や精神安定にも役立ちますので、ご高齢の要介護の方の非常食にはぴったりです。

東日本大震災の支援チームの一員として経験しましたが、これは本当に効果があります。
認知症のご利用者が不穏になっているとき、甘いコーヒーとお菓子をお出しして一息ついてもらっていました。すると、驚くほど落ち着かれるのです。
甘いお菓子は保存がきくものが多いので、普段から多めにストックしておくのもおすすめ。

いつ起きるかわからない災害は、誰にとっても他人事ではありません。
要介護の方が、介護サービスなしでも救助がくるまでなんとか生活を維持するために、何が必要か、どうすれば良いかをあらためて整理してみましょう。
1日の過ごし方を考えたとき、どうしても介助が必要な事柄があるならば、ケアマネジャーやサービス提供事業者に事前に相談しておくことが大切です。

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