「終活」を考えはじめたら...終の棲家の決め方・考え方

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「終活」を考えはじめたら...終の棲家の決め方・考え方

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

どこで最期を迎えるか悩むよりも。どのような最期を迎えたいのか、その方針を考えることが大切です。「終活」という言葉はすっかり耳慣れたものになりました。
しかしながら自分や親の死を考えることに、抵抗感を覚える方も少なくありません。
まだ、先のことと実感のない方もおられるでしょう。

今は元気でも、高齢期にさしかかれば、急に病気になったり、介護が必要になったりする可能性は誰にでもあります。

「体が動かなくなって、今までのように暮らせなくなったら、どうしよう...」
このように想像すると、なんだか暗い気持ちになってしまいますね。

でも、終活は、自分らしく最期を迎えるための準備。
望まない暮らしのなかで、不本意な最期にならないよう、前向きに「自分はこうしたいな」を考えておくことなのです。

今回は、終活を考えるきっかけとして「終の棲家」の決め方や考え方についてまとめます。
ご自分が、あるいは親御さんが、「充実したシニアライフを送るならどこがふさわしいか」をイメージすることからはじめましょう。


● 終の棲家選びは、まず「方針」から決める
終の棲家をどうするかを考えるとき、「家に居るか?それとも施設に行くか?」という選択肢がまず浮かんでくるのではないでしょうか。

内閣府の高齢社会白書などによれば、60歳以上の方の半数以上が「自宅で最期を迎えたい」と考えているそうですが、一方では自宅で暮らせるだろうか...?という不安もあると思います。
「施設」を選択肢に入れている方も、どんな施設が良いのか、お金は大丈夫かなど、気がかりなことがいろいろ浮かんでくるはずです。

終の棲家は、「家か?施設か?」を決めるところからスタートすると、はっきりとした答えが見つからないもの。
場所から考えるのではなく、まず人生の最期に向けての「方針」を決めるところからはじめてみてください。

ここでいう「方針」とは、自分がどうありたいかということ。
「どのように暮らしたら自分は幸せか?」「自分らしく居られる暮らしとはどんなものか?」をイメージすることがポイントです。

たとえば、「人に干渉されず気ままに暮らしたい」と思うなら、それを実現できるのはどこでしょうか。

・病気になったり、介護が必要になったりしたときも、自宅で気ままに暮らせるかな?
・施設なら、どんな施設を選べば、自分らしい暮らしができるのかな?
・グループホームのようなところだったら、認知症になっても自立して暮らせるかな?
・他人と共同生活を送るのは、やっぱりしんどいかもしれない......

このように、自分を中心にして想像を広げてみましょう。

この例で大切なのは、「自分は気ままに暮らしたい」という「方針」。
どこで暮らすのか?は、方針を実現するための「手段」でしかありません。

手段から考えようとすると、「自分がどうしたいのか」が後回しになり、終の棲家も決めきれません。
でも、「自分がどうしたいのか」という方針から考えると、それにふさわしい環境が見えてきます。
なんとなく終の棲家のイメージも固まってくるのではないでしょうか。


● 「医療をどこまで受けたいか?」で最期を迎える場所も決まる
人生の最期は、ほとんどの場合、医療的なケアが必要になります。
ただ、終末期医療にもいろいろな選択肢があり、「どこまで医療を望むか」によって、最期を迎える場所は変わってきます。

「なるべく長生きしたいから、最先端の治療を受けたい」
「家族が心配だから、どんな方法を使ってもできるだけ命を永らえたい」
このように思うなら、最期を迎える場所は「病院」ということになるでしょう。

「自分で食べられなくなったら、積極的な治療はせずに静かに最期を迎えたい」
「治すことができない痛みが続くなら、緩和ケアを受けて穏やかに逝きたい」
このようなお考えなら、在宅でも高齢者施設でも実現することは可能です。


いよいよのとき、どこまで医療を受け入れて、どこまで命をつなぐのか。
「終活」や「終の棲家」を考えるうえで非常に大切です。
最期の場面での医療的な選択は、遺(のこ)される方に重くのしかかってきます。
できれば元気なうちに、「自分はこうしたい」「こういうのは嫌だ」という気持ちを伝えておくことが大切です。


●「決める」のではなく「考える」ことが大事
人生の最期に向けての活動「終活」は、いろいろと考えておかなくてはならないことがあります。
実際に行動して、準備を進めておく必要もあるかもしれません。
たとえば最後まで自宅にとどまりたいなら、介護や医療を受けやすく自宅を改修する。
いろいろな施設を巡って、「ここなら」と思える施設を見つけておく...といったことです。

しかし、「終活」を考えはじめた時点で大切なのは、具体的な決定や行動ではありません。
実際に老後を迎えると、想像しなかった出来事が起きるものです。

「子どもの世話にならず、夫婦で何とかやっていこうと思っていたのに、要介護になって2人の暮らしを維持するのが難しくなった」
「最期まで家で暮らそうと思っていたのに、体の無理が利かなくなって、ひとり暮らしが心細くなってきた」
このような話を聞くことはよくあります。

自分を取り巻く状況や、自分の体の変化によって、気持ちが変わったり、「終の棲家」が別の場所になったりすることは十分にあり得ることです。

今「こうしよう」と思っていることは、「絶対」ではありません。
「先のことを今、決める」必要はなく、「先のことを今、考えてみる」習慣をつけることが大切。
なにか状況が変わったときは、その都度立ち止まって「自分はどうありたいか」をまた考えれば良いのです。

今の気持ちを見つめ、自分自身の本質的な思いに気づくこと。
このような思考習慣を持てば、この先にどんな出来事が待っていようとも、自分らしい最期を迎えるための最良の選択ができると思います。

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