歩行介助のコツと大事なポイント

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歩行介助のコツと大事なポイント

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

在宅介護では、歩行介助に苦労されている介護家族をよく見かけます。
「転ばせたらいけない」と思うと力も入りますし、歩行介助ほど介護する方、される方の息をあわせなければならない介護もありません。家のなかのわずかな歩行介助でも疲れてぐったり...そういう経験をしている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回から2回にわたって、在宅介護における「歩行介助」について連載します。
初回となる今回のテーマは、歩行介助によくある間違いや、安全に介助するコツなどです。
わかりやすく解説しますので、最後までご一読ください。

動きを妨げないのが、歩行解除のポイントです。● 歩行介助のつもりが「歩行の邪魔」に?
介護における歩行介助のポイントは、「動きを妨げない」こと

歩行介助をするとき、すべてを支えるつもりで力んでしまいがちなのですが、力で歩行を助けることはできません。

二足歩行をする際には、体のあらゆる関節や筋肉が連動して、バランスをとっています。
介助する方は、人が歩くときの動きを正しく理解しておくことが必要です。

歩行の際に意識したいポイントは、重心移動。
人がまっすぐ立っているときの重心は身体の中心にありますが、歩行のときには、骨盤の動きによって重心が左右に移動します。
また、前に進むときには、踏み出した足のかかとからつま先へと体重が移動して、次の足が踏み出されますよね。
人間の体は、歩きながら左右、前後に重心移動しているのです。
ご自分で歩くとき、体の動きや重心の変化を意識すると、よくわかると思います。

「転んだらいけない」との気持ちから相手に密着しすぎると、歩行に必要な重心移動を妨げてしまうことがあるのです。あまり近づきすぎないのがポイント。

また、腕の動きひとつ妨げられただけでも、重心移動の際にバランスがとりにくくなります。
腕の付け根あたりに手を添えたり、脇を固めるように腕をしっかりつかんだりしている歩行介助を見かけますが、自然な腕の振りを妨げてしまいますので、避けたほうが安全です。

歩行時の動きの特徴を把握して、歩く邪魔にならないように介助することを心がけましょう。


● 歩行介助は介助者の「ポジション」が大切
密着しすぎると体重移動を妨げてしまいます。
では、歩行時の正しい介助者のポジションはどこなのでしょうか。

歩行介助のときの基本の立ち位置は、要介護者の斜め後ろ。
要介護者が右利きの方なら左側に、左利きの方なら右側に立つのが原則です。
麻痺がある方の場合は、麻痺のある側に。
杖を使っている方の場合は、杖を持っていない側に立つようにします。

前に立つと、「前進する」という歩行の動きの邪魔になりますので、ご本人の視界に入らないやや後方が介助者のポジションです。

体は密着させませんが、歩く動きを妨げない範囲で、極力体に近い位置に寄り添いましょう。
離れすぎると、バランスを崩したときに受け止める力が多く必要になりますし、とっさの対応が難しくなります。
「何があっても対応できる・支えられるポジション」をご自分の感覚でつかんでおくことが大切です。

手をつなぐ場合は、右側に立つならご自身の右手で相手の右手を、左側に立つならご自身の左手で相手の左手を、下から手で支えるように握りしょう。
つないだ反対の手は背中側へ。腰のあたり、骨盤周辺に添えておくとバランスを崩して転びそうになっても、腕のなかで受け止めることができます。
転倒の危険が高い場合や、膝折れの不安がある場合は、つないでいないほうの手(骨盤周辺に
添えた手)の位置を脇のほうへ移動させて支えましょう。腕の動きを妨げないように気を付けてくださいね。


● 相手の動きにあわせて、「イチ・ニ、イチ・ニ」
歩行は重心移動の繰り返しです。
片足に体重を乗せる、反対の足を出す、体重を乗せる、反対の足を出す。
この繰り返しが二足歩行の基本動作です。
介助する方もその動きにあわせてみてください。

右に重心が動いたら、自分も右に、左に重心が動いたら、自分も左に。
足の運びや歩幅も、同じリズム、同じ間隔を意識してみてください。
相手の動きにあわせて、イチ・ニ、イチ・ニと一緒に動くと、うまくいくと思います。

足腰が弱っている方や、足が前に出ない方も重心移動を意識してください。
重心のあるほうの足に体重を乗せるように支えると、次の一歩がスムーズに踏み出せます。

残存機能をうまく利用して、歩く動きを助けてあげることを意識してみてくださいね。
体の状態によって、歩き方は人それぞれ違います。
つま先は上がっているか、それともすり足なのか。
前のめりになるか、それとも後ろなのか。

歩き方の特徴を把握して、それにあった歩行介助をすることが大切です。

歩行介助に不安があるなら、理学療法士などリハビリの専門家に聞く良いでしょう。
力を少なく、介護者の負担を軽減する歩行介助の方法を教えてくれると思います。

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