介護家族が知っておきたい高齢者ならではの「身体の変化」とは

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介護家族が知っておきたい高齢者ならではの「身体の変化」とは

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

加齢とともに見え方が変わってくるものです。視覚から得ている情報は多く、生活への影響が大きくなります。加齢とともに身体のいろいろな部分が衰えてくるということは、誰もが知っています。
しかし、どのように衰えるのか具体的な感覚は、実際に経験しないとわからないものです。

たとえば、老化現象としてよく知られている「目が見えにくくなる」「耳が遠くなる」といった変化。
言葉としては理解できていても、「目が見えにくくなる」とは、実際のところどのように見えているのか、「耳が遠くなる」とは、声や音がどのように聞こえているのか、具体的には想像しにくいのではないでしょうか。

在宅介護生活では、ご本人の身体の状態を把握することがとても大切です。
身体機能の変化が生活や行動にどのような影響を及ぼしているのかを知っておけば、事前にリスクを排除したり、コミュニケーションの方法を改善したりすることもできます。

今回は、高齢の方の身体の変化について、具体的にまとめます。
加齢による変化がどのようなものか理解を深めて、在宅介護生活にお役立てください。

● 感覚機能が低下すると「入ってくる情報」が減る
私たちは、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚という、いわゆる五感と呼ばれる感覚機能の働きを通じて、情報を得ています。

ところが、感覚機能は加齢により低下します。
感覚機能が衰えるということは、外から入ってくる情報がどんどん少なくなってくるということです。
感じたり、判断したりするための情報量が不足していることをまず、理解しなくてはなりません。

なかでも「視覚」と「聴覚」は、情報を得るために重要な役割を果たしていると言えます。


● 生活動作に影響する「視覚の変化」
視覚が変化する原因として、老眼や、白内障、緑内障などが考えられます。
また視野が狭くなったり、視野の一部が欠けたりすることもあり、見え方は人それぞれです。
ほかにも、色の見え方が変わるため、色で判断する能力が低下したり、距離感覚や大きさを正しく把握できなくなったりすることもあります。

視覚から多くの情報を得ているため、生活のさまざまな場面に影響がでるのです。

・部屋のなかに落ちているゴミやホコリに気づかない
・洗ったお皿の汚れが落としきれていない
・本や新聞、取扱説明書などを読むのがおっくうになる
・レジで小銭を間違える
・上の棚に頭をぶつける
・段差につまずく
・信号機や標識を見落としてしまう
・車が近づいているのに道路を横断しようとする。これは自らの歩行速度が遅くなっていることに
気付かず、視覚と運動(歩行)機能のアンバランスによるもの。

思い当たることがあれば、老化現象として放置せず、原因や見え方を医療機関でチェックしてみましょう。
どんなときに手助けが必要なのかもわかりますし、注意しなくてはならないことも明確になるはずです。


● 「聴覚の変化」にはコミュニケーションの工夫を
加齢により聴力が低下し、周りの音を聞き取りにくい、そばで話しているのに声が聞き取れないといった症状が見られます。

・後ろから声を掛けると気づかない
・聞き間違いをよくする
・聞こえていないので理解できていないことがある
・何度も聞き返される

女性や子どもの声、電子レンジや体温計のような電子音など高い音は特に聞こえにくく、男性の声のように低い音は比較的聞き取りやすいのが特徴です。
耳元に大声で話しかけるのはあまり効果がありません。
大きな声を出すより、低い声でゆっくりと話すことを意識してみてください。

耳が遠くなっている方にとって、顔つきやジェスチャーは大切な情報源。
離れた場所から話しかけるより、近くで目を合わせて話すことが伝え方のコツです。

なかには耳アカがたまって聞こえにくくなっていること場合もあるので、話しかけたときの反応や普段の様子で気になることがあったら、医療機関で診てもらいましょう。


● 物忘れ?それとも認知症?
物忘れは、多かれ少なかれ誰にでも現れます。
ただ、あまりにも物忘れが多いと、「もしかして認知症なのでは...?」と心配される介護家族もいらっしゃるかもしれません。

物忘れと認知症の初期段階はよく似ているので、判断は難しいのですが、注目すべき点があります。
人間の記憶力は、3ステップで成り立っています。

1)覚える
2)保持する
3)思い出す

「うっかり約束を忘れてしまった」「印鑑をどこにしまったか思い出せない」という場合は、老化による物忘れであって、認知症ではありません。
ちょっとしたヒントがあれば「ああ、そうだった!」と思い出すこともできます。

認知症が疑わしいのは、「覚える」「保持する」ができなくなっている場合です。
「約束したことそのものを忘れる」「印鑑をしまった記憶そのものがない」といったことが起こります。

症状が進行するほど対応が難しくなりますので、早期に医療機関で診断してもらうことが肝心です。
物忘れが多くなってきたら、「忘れ方」を見極めることを意識してみてください。


● 「できてない」「やりきれない」ことに理解を
感覚機能と脳の機能だけではなく、身体機能もだんだん低下します。
体力が落ちて疲れやすくなりますし、筋力の低下や関節の不具合から、着替えや立ち座りなどの日常動作がおっくうに感じることもあります。

昔は凛としていた父親が「おっくうだから」と着替えやお風呂を嫌がったり、きれい好きだった母親が掃除をおろそかにしたりしていたら、悲しい気持ちになるかもしれません。
しかし、年齢を重ねれば、誰でも昔は当たり前にできていたことができなくなっていくものです。
また、見えていない、気づいていないために、やったつもりができていないこともままあります。

加齢にともなう身体の変化に起因することだということを理解してあげることが大切です。
かつての父親像、母親像と比較して悲しく感じたり、「できていない」「やっていない」ことを責めたりするのではなく、今の状態をありのまま受け止めるような気持ちでフォローしていただけたら...と思います。

時の経過とともに、支える側と支えられる側が入れ替わるのは、必然のことです。
身体だけではなく、親子の関係性が変化するのもまた必然なのだと思います。

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