認知症の方が落ち着かないときの対応

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認知症の方が落ち着かないときの対応

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

優しく、穏やかに伝えてみましょう。笑顔で話しかけるのもポイントです。前回は、認知症の方の「徘徊(はいかい)」についてまとめました。
徘徊(はいかい)のきっかけや原因がわかると、接し方や言葉のかけ方が見つかり、落ち着く場合もあります。

「認知症だから何を言ってもわかってくれない」と決めつけては、症状を改善することはできません。理屈ではわからなくても、会話が成立しなくても、伝える方法もあるものです。

今回は、認知症の方が落ち着かないときに「どうやって伝えるか」をテーマにまとめます。

● 落ち着かない認知症の方の気持ちはどんなもの?
ウロウロするなど落ち着きがない行動は、認知症特有の不安やいたたまれなさに起因しています。
自宅にいるのに、「もう帰らなくては」「いつまでここに居たら良いの?」などと繰り返し訴えることがあると思います。
献身的に介護している方としては、「なぜそんなことを言うのだろう」と悲しい気持ちになることもあるのではないでしょうか。

認知症の方の言葉をそのまま受け取ると、こちらが傷ついてしまうことも少なくありません。
でも、「なぜそのような言葉を口にするのか」を理解できると、受け止め方も変わります。

考えてもわからない、聞いても忘れてしまうということが増えていくのが認知症です。
長年親しんできた場所も人も、記憶から少しずつ失われていくため、まったく知らない場所で、知らない人に囲まれているような心もとなさを感じていることがあります。

転校の初日や、会社に入社したばかりのことを想像すると、認知症の方の気持ちが少しわかります。
緊張してストレスを感じますし、どう振る舞って良いのかわからず、身の置き所がない思いがするでしょう。
言いたいことがあってもうまく表現できないので、言葉が通じない外国にひとりで置かれたような心細さに近いものがあるでしょう。
「早く帰りたい」「ここではない場所に行きたい」と考えても不思議ではありません。

うまくできないことが増えたり、そのことを家族に責められたりすると、「迷惑をかけている」「できない自分を消してしまいたい」と考える方もいます。
自信をすっかり失い、考えてもどうして良いかわからない。
そんなときは、誰だってその場から逃げ出したくなるのではないでしょうか。

落ち着きのない言動は、認知症の方が失われていく自分をなんとか保とうとする抵抗なのかもしれませんね。


● 自分だったらどんな言葉をかけられたいか?
認知症の方が感じている不安や心細さを自分に置き換えて想像すると、そこから認知症の方を落ち着かせるヒントが見つかります。

たとえば自宅にいるのに「家に帰る」と訴える認知症の方の場合、自宅が「自分の居場所」となっていないのかもしれません。安心できる場所ではないということです。

不安や心配でいてもたってもいられないとき、あなたならどんな言葉をかけられたいでしょうか。

「違うよ」「また忘れちゃったの」といった否定的な言葉より、「そうだったの、つらかったね」「大丈夫だよ」といった共感や思いやりの言葉なのではないでしょうか。

人間は誰でも、自分が受け入れられていると感じると安心するものです。
ちょっとしたひと言で気持ちが落ち着いたり、気分が変わったりするのは、認知症の方も同じです。

認知症の方に伝えていただきたいのは、「あなたはここに居て良いのですよ」というメッセージ。
落ち着かない時だけではなく、普段から繰り返し声に出して、言葉にして伝えていきましょう。
「ここに居てくれると、私も嬉しい」というメッセージがあれば、認知症の方も嬉しく感じます。
言葉で居場所をつくってあげることが、認知症の方を落ち着かせる方法のひとつです。

認知症の方は言葉の認知力も衰えていくので、相手の思いを汲み取るとか、言葉の裏を読み解くといったことができなくなっている場合があります。
優しい言葉でストレートに伝えていくことが大切です。


● スキンシップでメッセージを伝える
「ここに居て良いのですよ」というメッセージは、言葉だけではなく、表情や接し方でも表現できることです。
たとえ会話が成り立たなくても、穏やかな笑顔や声のトーンを心がけるだけでも、メッセージは伝わります。

記憶や言葉が失われていく認知症の方にとってのコミュニケーション手段は、「スキンシップ」です。
赤ちゃんがお母さんに抱きしめられることで、心から安心したりお母さんへの信頼感が育まれていくように、スキンシップが認知症の方を落ち着かせます。
優しく手に触れて握りしめるとか、そっとなでるとか、シンプルで愛のこもった触れ合いが「ここに居ても良いのですよよ」というメッセージとして伝わるはずです。

認知症の方は知覚できる範囲がとても狭いので、「大丈夫だよ」「落ち着いてね」と伝えたいときは、正面から近づいて目線をあわせて、優しく身体に触れながら声をかけてみてください。目の高さをあわせるのがポイント。

いきなりつかんだりすると怖がらせてしまうので、少し離れた場所から少しずつ距離を縮め、相手の表情や反応を見ながら触れたり、声をかけたりすると良いようです。
穏やかな笑顔も忘れないでくださいね。

こうした触れ合いは、認知症の方を落ち着かせるだけではなく、介護する側も癒やされます。
何度メッセージを伝えても、ご本人は忘れてしまうかもしれません。
それでも心のなかに安心感を育むことはきっとできます。
お互いの癒やしの時間として、認知症の方との触れ合いを大切にしていただきたいと思います。

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【関連ページ】
認知症の方の「徘徊(はいかい)(はいかい)」を考える

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